家族との再開
3月11日
もう真っ暗な夜だった。
俺達は、親戚の家に着いた。
勢い良く、戸を叩いた。
そうすると、母さんが勢い良く戸を開けた。
「……………隆平!」
「母さん!!」
俺はそう言って、母さんに抱き着いた。
母さんも、強く抱き返した。
「ん"ん"っ………隆平さん!」
陸に、声を掛けられた。
俺は、思い出して、母さんに紹介した。
「紹介する!こいつは、陸だ!!
陸が居たから、ここまで安全に来れたんだ!」
「……陸…………」
「そ、そんな褒めても、何も出ませんよ!」
そう、陸は照れていた。
「そして、こっちが壱助と三太郎だ!
2人は、途中の山で出会ったんだ!」
「陸君の、お菓子が美味しかったの!!」
「僕は………こいつが、懐いたから……何となく!」
「2人で?」
「はい!母とは、逸れてしまって………」
「………そうだったの!辛かったわね!
もう大丈夫よ。私達が、着いているわ!」
母さんは、そう微笑んだ。
「恥ずかしいだろ……辞めてくれ!」
「やっぱり、親子ですね!!
彼も、そう言ってくれました!」
壱助は、微笑みながら答えた。
「………そんな事、言ったか?」
「言ったぞ!」
ガシャンッ
その時、外から音が聞こえた。
「おにさん!!」
「……空…………!」
「ゲンキ!!元気にシテタ?」
「もちろん!空も、元気だったか?」
「ハイ!ゲンキ、元気!!」
嬉しそうに、はしゃいでいた。
「梨々子と、義徳は何処に居るんだ?」
そう聞くと、空はトコトコと奥に歩いて行った。
「なぁ………彼って……?」
壱助が、言葉を詰まらせながら聞いてきた。
「空だ!本名は、スカイ•ジェーソン!
アメリカ人の父と、日本人の母の元に産まれた!」
俺は、そう答えた。
「あいつも、苦労したんだな………」
そう、悲しそうに微笑んだ。
しばらくすると、2人が走ってこっちに来た。
「なんだ?寝てたのか?
別に寝てたなら、明日でも良かったのに!」
「兄ちゃんに、早く会いたいから、来たら言ってと頼んだんだ!!」
「そうだよ……!1秒でも、早く会いたかったの!」
「お前って、兄弟が居たんだな!」
壱助が、聞いてきた。
「当たり前だろ!俺にだって、居るさ!」
俺は、二人の頭を撫でながら答えた。
「そうか。だから、陸や三太郎に対して、
手慣れていたんだな!」
「どういう事ですか!!」
そう、陸が不満そうに質問した。
「だって、機嫌悪くなったら、お菓子あげたりするのってさ。
小さい子を、宥めてるみたいだろ?」
壱助が、意地悪そうに笑った。
「………確かに!」
俺は、それに微笑んだ。
陸は不満そうだったが、事実だから、黙り込んでいた。
ーーー
やがて、俺達は眠りに着いていた。
久々の柔らかい布団。
野良犬にも、天気にも左右されない室内。
こんなに、家が有難いものだったのかと、
再認識出来た。
ーーー
次の日。
陸に起こされて、目が覚めた。
「全く、お寝坊とは!何事ですか!
その間に、敵にやられたらどうするんですか!!」
俺が言った事と、同じ事を言ってきた。
「全く、俺はそんなすぐにやられないぞ!!」
そう、笑った。
そうすると、顔を真っ赤にして、
もっと怒った。
それを横目に見ながら、洗面所に向かった。
「あら、おはよう!隆平!!」
そう、母さんが微笑んだ。
「うん、おはよう!母さん!!」
俺も、微笑み返した。
「兄ちゃん!!チャンバラしよう!!」
義徳が、走ってこっちに来た。
「いえ!隆平さん!!僕と、お菓子作りませんか!!」
陸が、言ってきた。
「いや、俺は………」
「僕が先だ!!」
「いいえ!隆平さんは、僕とが良いと言っています!!」
俺を、二人は引っ張り合っている。
「あはは!人気者だな!!」
俺は、声がする方を見た。
そこには、壱助と、笑いを堪えている親戚のおばさんが居た。
「見てないで、助けてはくれないのか?」
問いかけると、少し残念そうにこっちに来た。
「残念だな、二人共!こいつは、僕とお出かけだ!」
そう言った。
「陸君………私が、手伝うわ!」
「それは、助かります!!
身長が足りなくて、オープンが使えなかっただけなので!!」
「それじゃ、行ってくるな!!」
そして、無理矢理連れて行かれた。
ーーー
俺達は、買い物に来ていた。
町は、人々で溢れていた。
「見ろ!!軍人じゃないか?」
「本当だな!!初めて見た!」
2人で、話していた。
すると、見ていた軍人達がこっちに来た。
「見ない顔だな!疎開児童か?」
「は、はい!そうです!!」
「は、はい!!」
俺達は、緊張気味に答えた。
「うわぁ〜!お買い物?偉いね〜!!」
そうすると、可愛い顔をした、
男性が出てきた。
「このおじさん、怖いよねぇ〜!!
でも、安心して!!このおじさん、優しいから!!」
そう、一方的に話し掛けてくる。
「…………」
(Kみたいな、タイプか………)
「お、おい!!驚いているだろ!
そんなに、話しかけるな!」
「だ、大丈夫です!な?」
「あぁ、平気だ!」
そう言うと、2人はにこやかに笑った。
「ごめんな、買い物中だよな!
もう、行くと言い!!」
強面の人が言った。
すると、もう一人の可愛い顔の人が、
「ねぇねぇ、僕達も一緒に良い〜?」
そう、聞いてきた。
「はぁ……!?何を言うんだ!!」
強面の人が、怒鳴った。
「別に良いでしょ〜!
今は、自由行動許されてるじゃん!!」
でも彼は、フランクに話す。
「全く…………」
そんな彼を、強面の人が呆れていた。
「ねぇ、僕さ!秋山 龍玄!
こいつは、古来 吉原!!
君達の名前は〜!!」
そう、聞いてきた。
「俺は、高麗 隆平だ!!こいつは、武山 壱助………!」
「高麗…………?ねぇ、もしかして君って……
⬛⬛⬛の人間?」
そう聞かれた。
「………………」
「ゴラッ!!」
ボカッ
「い、イタッ!?ちょ!!な、何するの〜!!」
彼は、古来さんに殴られた。
「余りそんな事を、軽々しく言うな!!
偉大なる方、なんだぞ!!」
そう言いながら、頬をつねっていた。
「わぁ〜!!ごめん、ごめん!!」
痛そうに、叫んでいた。
「でもさ〜!本当に、そうなら!危ないよ〜!!
尚更、一緒に行こうよ〜!!」
「…………隆平!」
壱助が、するべきだと訴えてきた。
「……分かった、そうしよう!!」
俺は、致し方なく、承諾した。
そうして、俺達は四人で、買い物に向かった。
ーー
少しして、商店街に着いた。
商店街は、人々で溢れていた。
「僕が居た所と、大違いだ!!」
壱助は、興味津々な顔で見ていた。
「そうか?よく、見る光景だ!」
そう言うと、壱助は少し羨ましそうにこちらを見た。
「へぇ〜!2人は、何処出身?」
龍玄さんが、探るように聞いてきた。
「僕は、兵庫県です!!」
「俺は…………言えない!」
そう言うと、少し緊張した顔をした後に、
すぐに笑顔になった。
「そっか〜!良いところだよね!!」
「はい………!」
「軍人さん達は、何処出身なんですか?」
壱助が、聞いた。
「俺達は、ここだ!」
「へぇ〜!珍しいですね!」
「大変だったんだ〜!
色んなアピールをして、何とかあっちが折れたよ!!」
そう、自信満々に話していた。
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