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生きる術。


 孤児院に協力を求めるべきだと言うサンガリア家騎士団長さんがロバート様に相談する為にサンガリア公爵家へと転移した。

僕がはらはらしながら過ごしているとジルから、

「あの御仁ならば大丈夫ですよ。アル様の意向をきちんと伝えてくれるでしょう。」

と言われた。


翌日騎士団長さんが戻って来た。

「ロバート様へ話して参りました。孤児院と子供達の意向も確認の上協力してもらえるのならば国として派遣される事になるでしょう。

勿論、無理強いは絶対しないように伝えておきました。アル君に嫌われたくなければね。」

団長さんはニヤリと笑って付け加えた。

「でも実際これはあの子達にとって良い事だと思いますよ。これが成功すればあの子達には付加価値が付く。生きる術になる。あの子達はどこへ行っても大事にされますよ。勿論、そうされるように国として守るでしょう。」


生きる術…。それはあの子達にとって大切な事だ。

大人になり孤児院を出た子達が行き着く先はほとんどが死亡率の高い冒険者だ。冒険者に憧れていたり、適性のある子はよいだろうが、適性のない子にとっては…、先が見えてしまう。

生きる為の選択肢が増える事は悪いことじゃない。

あの陛下ならば悪いようにはしないだろう。


ちょっとホッとした。



 数日後コズ君と共に孤児院の子供達が転移でチャコル伯爵の邸宅へ来た。

「あれ?コズ君?久しぶりだねぇ。ちょっと大きくなったね。」

「あぁ、アル兄ちゃんもな。今日はこいつらの引率役として俺も一緒に来たんだ。」

コズ君の後ろには10人位の子供達がいた。皆ソワソワしたり、キョロキョロしたり、固まってる子もいる。

「おい、皆落ち着け。練習の通り、失礼のないようにな。

…外国なんて初めてだし転移なんてのも初めて聞くし、皆楽しみにしてたんだ。旅行みたいで…。」

後半小さい声で教えてくれた。


無理矢理じゃなかったらなら良いや。

旅行かぁ…、落ち着いたらあちこち連れて行ってあげよう。


子供達と一緒に来た精霊さん達とラス君達とこちらにいた精霊さん達が交流を深めたり、子供達に興味を持った聖獣の仔達も警戒しながらふんふんと近寄ったりと室内はだいぶ賑やかになっている。


皆の緊張が解れたあたりでチャコル伯爵と挨拶する時が来た。


室内にいた使用人に伯爵の訪れを知らされる。

皆一気に緊張が高まる。

コズ君が代表だ。頑張れ!


「お、お、お初にお目にか、かかります。オルガナイト王国から、は、派遣されました。こ、この度は我が孤児院へとい、依頼を受け参りました。わ、私は代表のコズとも、申します。後ろにいる子供達が精霊術を使い穢れを払える者達でございます。」


おぉ〜!!コズ君がきちんとご挨拶出来ている!!


「私はチャコル伯爵当主だ。この度は要請を聞いてもらい感謝している。君達の事は無碍に扱う事は無いと誓おう。この領地領民の為、遠い所まで来てもらい本当にありがとう。」


挨拶が済むと、今日はこの近くを案内して、明日になったら領地を巡り穢れを払う事になった。


孤児院の子供達には男女に分けて部屋を用意されていた。皆楽しいのかわいわいしながら過ごしている。

このお屋敷には悪い人は居ないだろうけど利用価値のある子達だ。なにもないように僕も見ておこう。まぁ、何かあれば精霊さん達が黙ってないけどね…。




 翌日、僕達は広範囲で穢れてしまった土地へと来ている。後ろにはこの土地に住んでいた人達だろう。心配そうに見ている。

魔獣の気配もないし、始めるか。


皆、等間隔に並び穢れた土地を囲い歌を歌う。

1人で歌うより人数が多いからか、相性が良いのか、共鳴するように大気が、大地が震える。

土精霊さん達も喜び歌い、風の精霊さん達が空を舞い、火の精霊さん達が祝福を巻き、水の精霊さん達が希望の雨を振らす。


歌い終わるとそこは穢れが払われ綺麗な清浄な土地となっていた。

後ろからはすすり泣きが聞こえる。ここの領民だろう。

「ありがとうございます。奇跡だ。またこの土地に住める様になるなんて…。」

顔を覆い泣き出している。

また、精霊さん達が見えたのか、

「あれは…、あれが精霊ですか?僕達が見えていなかっただけで精霊とは本当にいたのですね…。」

呆然としながら話す人もいた。

「いますぅ〜!僕達は君が産まれる前からここにいたんですぅ〜!分かったら僕達を敬えよ!!」


また新たな交流が増えると良いなぁ…、と思いながら孤児院の子供達との仕事は順調に出来そうだ。




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