……ニコ………。
その後、騎士団の人が迎えに来てくれた。
領内を案内してくれるそうだ。
「僕行ってくるけど皆はどうする?」
聖獣の仔達はキョトンとして、
「どうするって?」
「ん?ここでライデンと待ってるか聖なる山へ転移して帰るか?」
「……ん〜……もう!!」
熊の仔が地団駄を踏みながら
「もう!もう!帰るわけないし待ってるわけないでしょう?!
勿論僕達も一緒に行くに決まってるよ!!」
…怒らせてしまった……。
でも心配だなぁ〜…。瘴気も魔獣も、それに聖獣を無理矢理連れ去ろうとする人間もいるかもしれないからなぁ…。ちらっとライデンを見ると諦めろと目で言われた。うぅん……、一緒に行くなら出来る限りの事をやっておこうかなぁ…。
「なら皆瘴気予防の為にお菓子を食べてから行こうよ。悪い人間もいるかも知れないから絶対に1人になっちゃ駄目だよ?疲れたらライデンの籠に入る事。出来る?」
「「「はぁぃ!出来るよ!!」」」
はい。良いお返事頂きました。ならば、
「精霊さん達もこの仔達をよろしくね。何かあったら守ってあげてね。」
「「「任せろ!!何かあったら俺達が殺ってやるよ!!」」」
はい。相変わらず殺意高めですね。では、
「出発〜!!」
チャコル伯爵が馬車を出して下さった。馬車の中には僕とジルとジェラルド様とネイト…、の他に、仔達が足元やらお膝やら頭やら肩に鎮座している。
ジェラルド様も嬉しそうにお膝に鹿の仔を乗せて撫でまわし、肩には鳥の仔を留まらせ頬ずりし、頭にはリスの仔を乗せてリズムを刻み楽しませている。
僕もネイトもジルも似たような感じ。
馬車な乗り込む時にリアナ様が羨ましそうにこちらを見ていた。
ごめんね、リアナ様。僕ってば…、これが優越感ってやつなの?鼻歌が止まらない〜!はっは〜ん!
皆で楽しく歌を歌いながら馬車を走らせる事少々。
着いた先は教会だった。
僕達が馬車を降りるとそこには疲れた顔をしたチャコル領の領民達がたくさんいて、僕達を遠巻きに見ていた。
まずは騎士さん達が場所を整えて炊き出しを始める。僕達も毛布を運んだり炊き出しを手伝ったりとちょこちょこと動いていると、
「僕達は何をすればいいの?」
仔達に聞かれる。
「じゃあ、皆で協力して具合の悪い人がいないか見てきてちょうだい。具合悪そうな人を見かけたら僕に教えて。絶対1人で行動しちゃ駄目だよ。」
「「「は〜い」」」
仔達がわらわらと教会の中へと入って行く。
念の為、ジェラルド様とネイトが後ろから付いて行ってくれた。それなら安心だ。
その後は仔達に呼ばれてポーションを飲ませに行ったり、怪我している人を騎士さんに預けて治療してもらったり、動けない人にご飯を届けたりしている内に僕達は領民に受け入れられたのか話かけられるようになった。
皆でわいわいしていると遠くで悲鳴が聞こえた。
騎士さん達がそちらへ駆け出す。
僕は念の為領民の皆さんに教会の中へ避難するように声をかける。
「さぁ、皆も教会の中入っててね。」
「嫌だよ〜!僕達もここにいるよ!ね!ライデン、いいでしょう?ね!ハクエンもいいでしょう?」
ライデンもハクエンも頷いたので仕方ない。
「ではジェラルド様は中へお入り下さい。」
「いやいや、ここまで来て僕だけ避難なんて出来ないよ。こう見えて次期瘴気の森の管理者だよ。きっと僕は君の役に立てると思うよ。」
えぇ…、次期当主に何かあったら不味いんですけど…?
ネイトをちらっと見ると頷いたので大丈夫だろう。大丈夫だと信じよう…。
騒ぎのある方へと向かうと魔獣が大量発生していた。騎士さん達だけでは応対しきれず徐々に押されてきている。不味いなぁ…。この量の魔獣の血で大地が穢れると瘴気の広がりが早まりそうだ…。
よし!
「全員、しゃがめ〜!!」
喉に強化をかけて叫ぶと騎士さん達や逃げていた領民達がいっせいにしゃがんだ。
今だ!
僕はしゃがまなかった=言葉の通じない魔獣と認識して先程まで戦っていた皆の顔から上を狙って辺り一帯を水没させた。窒息させよう。
大丈夫…、人間は含まれてないよね…?
あっ!あっ!含まれたぁ!!その人を下に引っ張り出してぇぇ!!
僕人殺しになっちゃうぅぅぅ!!
涙目で人命救助の指示を出してる内に魔獣は窒息したようだ。水の中に漂う無数の魔獣…。
うん…。グロテスク…。
ちょっと皆の目が痛い…。マジかよ、こいつ、やべぇ…、みたいな雰囲気を感じる…。
……証拠隠滅。ないないしよう…。魔獣の死体を1箇所に纏めて高火力の炎で跡形もなく消そう。
大地も穢れないし一石二鳥だね!
「メルちゃん力を貸して!」
「了解!燃やすのね!跡形もなく燃やしてあげる!任せて!!」
メルちゃんが魔獣を骨も残らない程の火力で焼き上げていく。
これで良し!
後ろを振り向くとドン引きしている騎士さん達、チャコル伯爵、ジェラルド様、ネイトに聖獣の仔達がいた。
ハクエンとライデンが呆れた様に僕を見ている。
………、僕は唯一慈愛の眼差しを向けてくれているジルに笑いかけたのだった。
……ニコ………。




