心の狭い僕、反省。
チャコル伯爵邸へ着き、仔達に籠で待っているように話すと、
「えぇ〜…、暇だよぉ〜…。」
「僕達も行きたいよぉ〜…。」
等、不満を言われる。
…ゴメンよ…。やっと外に出れたんだもんね…。
心が痛む…。
「これ、我儘を言うでない。アルの言う事を聞くと出立前に約束しただろう。さぁ、皆一旦籠に戻れ。アル、すまんな。この仔達は任せて行って来なさい。」
ライデンがぶうぶう言う仔達を見てくれている間に僕達はチャコル伯爵邸へと案内された。
良かった…。周りの目が痛かったから助かったよ。
応接室に案内され一通り紹介されて、これからの方針について話し合う。ここからは団長さん、よろしくお願いします!
僕ははじめましての緊張から少し解放されてソファに座りお茶を頂く。シロガネが僕のお膝を枕にゴロリと寝転び、ヤモ君が僕の肩にちょこんと乗る。
可愛い。初めての所だから緊張したのかな?
陛下達と決めていた通り、まずはチャコル伯爵家騎士団の疲弊が激しい為サンガリア公爵家の騎士団に食糧や医療品、その他支援物資を持って来て貰うことにした。
「では、行ってまいります。すぐに戻りますのでジル殿、こちらをよろしくお願いします。」
騎士団長さんがパッと転移し、消える。それを見ていたチャコル伯爵家の皆様が団長さんがいた所を二度見して呆然としている…、と直ぐに団長さんが後ろに何人か騎士さんを連れて戻って来た。
「え…?」
「は…?」
団長さんが苦笑して、
「驚かせてしまい申し訳ございません。これは賢者による転移という魔法です。今回私達はその恩恵に預かりオルガナイト王国サンガリア公爵家より転移して参りました。
今回のような緊急事態においてのみ使用させて頂きました。今後は勝手に転移は致しませんのでご安心下さい。」
「いやぁ…、私も転移を経験させてもらったが端から見るとこの様に見えるのか…。
…これは…、びっくりですなぁ…。」
団長さんがチャコル伯爵にサンガリア公爵家からの支援物資を渡し今後の方針を話し合う。
僕は仔達が心配なのでちょっと抜けさせてもらってライデン達の元へ。
仔達はプンプンと怒っていた。
「せっかく来たのに〜!お外に出れないなんて!」
「お外で遊びたかったのに〜!」
「遅い〜!!もう僕達寝ちゃう所だったんだぞ!」
文句も可愛いなぁ…。ごめんねと謝りながら籠の外へ。
「カーを出したから結界から出なければ自由にしていいよ〜。」
わぁい、と皆が外へ出て各々ふんふんしている。
初めての遠出だからね、皆興奮している。
ふと視線を感じて後ろを振り返ると、チャコル伯爵の長女のリアナ様だった。
僕はペコリと頭を下げる。
「賢者様。少しお話させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ、こちらへ。」
リアナ様はそろりそろりと近くへ。
「この度は我が領地の為に色々お気遣い頂きましてありがとうございます。久しぶりに父の笑顔が見れました。」
ご挨拶から始まり領地の現状など話していると、
「アル〜?その人だぁれ?」
と兎の仔が僕の膝に乗りながら聞いてきた。
くりくりお目々が可愛いなぁ。
内心ほっこりしていると、リアナ様がうっとりしながら、
「こんにちは、聖獣様。私はリアナと申します。」
リアナ様の挨拶を皮切りに興味津々だった仔達がリアナ様の周りに寄ってきて、兎の仔がリアナ様のお膝に乗る。
……、僕は心が狭いんでしょうか……。
僕の時と比べて皆警戒心が薄いんじゃないんでしょうか……?
僕は…、お菓子で釣ったのに……。
お菓子なしでも来ちゃう感じですか……。
ぐぅぅぅ………。鼻息荒くなっちゃう……。
そんな僕に気づいたハクエンが僕の後ろにゴロリと寝転び尻尾で僕を包む。
「おぬしのお陰よ。己を誇れ。」
むふぅぅぅ……。深く息を吐いてハクエンにゴロリと寄りかかる。
はぁ〜…、温かい…。
心の狭い僕に反省…。
すると他の仔達が僕の側に来てハクエンの上や僕の膝の上にゴロリと寝転び寛ぎ始めた。
「気持ちいいねぇ~…。」
実際にチャコル伯爵領では瘴気があちこちで湧き大変な思いをしている人達が沢山いるのだろう。
でも、此処は大気が澄んでいる。
空は青く白い雲がゆっくり流れ、陽射しが柔らかく振り注ぎ、草木は風で気持ち良さそうに揺れている。精霊さん達が楽しそうに歌い踊り、花の上を飛び回っている。
きっと良い土地なんだろうなぁ…。
人間達だけでなく、精霊さん達の為にもこの土地を救おう。
僕は決意した。




