見ちゃった…、禁断の日記。
夜、僕はジルと地下牢へと戻って来た。
ジルが忍び込ませていたという執事と合う為だ。
深夜、皆が寝静まった頃1人の男が牢の扉をノックした。
びっくり…。ここに来てからノックされた事がなかったから…。
それを言うとジルのこめかみに筋が浮かび、
「アル様、おいたわしい。そんな最悪の環境におられたとは…。もう宜しいのではないですか?充分断罪の証拠はありますから、これで出来なかったならばこちらの能力不足という問題になります。そうしましょう」
と、不敬な事を言い出した。
「ジル、ジル。大丈夫だよ。まだ隠れている奴らも炙り出したいし、何より楽しいんだよ。部屋にも入れずギャアギャア騒ぐお馬鹿さんが空回ってて…」
ジルと2人でクスクス笑っていると、再びノック。
しまった…。忘れてた。
ジルに頷くと、ジルが扉を開けてくれた。
そこにいたのは青年と言っても良い位のまだ若い男だった。この若さであの男に認められるならば、さぞ優秀なのだろう。
なんたってジルが送り込んだ人だからね!
流石、ジルだね!
青年は優雅に腰を折り、
「お初にお目にかかります。私の事はネイトとお呼び下さい。この度アルフォンス様には数々のご不便を強いた事、申し開きの言葉もございません。大変申し訳ございませんでした。」
あぁ〜、ここでまともに扱われたのが久しぶり過ぎてムズムズする…。
「いいよ。君も大変だっただろう?私は夜にはここを離れていたから中々挨拶も出来なかっただろう?すまなかったね。
君の事はジルから少し話を聞いていたよ。さぁ、こちらへおいで。」
僕は部屋へと招き入れる。僕に悪意や害意がなければ入れるはずだ。どうかな?
「失礼致します。」
ネイトはすんなり部屋へと入った。
あぁ〜、良かったぁ〜。この人は大丈夫な人だ。
そこで暫く僕たちは情報交換をして色々な物をジルへと預けていた。きっとあれが不正の証拠となる物だろう。
ジルがホクホクと嬉しそうだ。
リリカル公爵はやはり不正だけでなく、人身売買や薬物等犯罪にまで手を染めているようだ。その相手となるのがギルの婚約者とされた家だ。
生物学的父はリリカル公爵に勧められた婚姻を嬉々として受け入れ、ギルに犯罪に連なる家の者を充てがったのだ。
僕は怒りで震えてくる。
あいつも、あいつも、あいつも絶対許さない!
あいつはリリカル公爵、あいつは生物学的父、あいつは生物学的母だ。
最近僕が寝転がり読んでるのがあいつ(生物学的母)の昔の日記だ。
いや〜、凄いよ!呆れながらも下らなくて、かえって面白くなってきた。
僕が疎まれてた理由は生物学的母の浮気だ。
結婚後暫く黒髪黒目の男と不貞をしていたらしい。
その時の心情や行為が赤裸々に書かれていて、我が母ながらアッパレだ。
その後産まれたのが黒髪黒目の僕だったから浮気相手の子供だと思ったらしい。
ちなみに、ストロイエ家にも何代か前に黒髪黒目の方が存在する。
魔力診断の結果、僕はストロイエ家の血を持っていたが浮気を疑っていた生物学的父は受け入れられなかった。その結果、僕は浮気を彷彿させると両親共に放置され、なんなら死んでほしいと願われていた訳だ。
くだらない…。全てあいつのせいじゃないか…。
あいつが僕を不幸にして、あいつらがギルを不幸にしようとしている。
もう、潰して良いよね。
何の役にも立たないろくでなしなんて…。
ちなみに日記はこっそり忍び込んだ時に発見した。ちなみに浮気はその時一度だけでなく、今も定期的に行われている。勿論色々な人とね。アッパレ!
朝、再び地下牢へと戻った僕はソファにごろり。
昨日夜更かししたから眠いんだよね。
いつもの様に生物学的父、リリカル公爵、依頼人、全てを怒らせ楽しんだ。
夕方になり暇になる。またこっそりこの家を探検してこようかなぁ…。
あそこの塔が気になるんだよね。
囚われの人が居たりして…。
なんて想像していたらその人が僕の所へやって来た…。
びっくり…。
あちらもびっくり…。
あちらの方はリリカル公爵家の嫡男、ジェラルド様だった。
ジェラルド様はリリカル公爵の不正や犯罪行為を断罪しようと証拠を集めていた最中、リリカル公爵にバレて幽閉されたらしい。しかし、味方となっている使用人がちょこちょこ連れ出してくれてこうして邸内を廻っているそうだ。
僕の噂を聞き、助け出そうと来てくれたけど、思いの外快適に暮らしててびっくりしたそうだ。
えへ。
試しに牢屋内に入ってもらったら普通に入れた。
この人も多分大丈夫な人だろう。
親が碌でもないと子供は苦労するよね…って意気投合した。




