同じ穴の狢。
あの後も、小物感満載の生物学的父とリリカル公爵はちょこちょこ現れてはギャアギャアと騒ぎ帰って行く。
…暇だなぁ……。
あれから僕は、夜はあちらへ帰り情報のすり合わせをし、朝こちらの地下牢に情報収集に来るようにしている。
今もソファにごろりと横になり読み物をしている。お腹にはシロガネが乗り、胸元にはヤモ君が乗っている。
はぁ〜、お腹が温かい〜。
ひざ掛けをシロガネに掛けてあげ、ヤモ君にはハンカチを掛けてあげている。2人とも布からちょこんと顔を出し眠そうに微睡んでいる。
はぁ〜、まったり〜…。
そこへ今日も今日とて懲りずに現れた生物学的父。
シロガネもヤモ君ももう起き上がる事もせずに、
「また来たの〜…。アルのお父さんってちょっと残念な感じだね。アルのお父さんじゃないみたい。」
「ごめんねぇ。なんでああなったんだろうねぇ…。先代侯爵はすごい人だったらしいよ。見て学ばなかったんじゃないかなぁ〜…。」
ヤモ君が、
「アルのお父さんはジルだと思ってた〜…。」
「本当にね。僕もジルが良かったなぁ…。」
ぐだぐだと僕たちが話すのをワナワナと体を震わせて聞いている生物学的父。
今日もひとしきり騒ぎ僕へ呪いの言葉を吐いて去って行き、そして今日も今日とて、リリカル公爵を連れてきた。
毎日同じ事の繰り返しで学習しないのかなぁ…?
「小僧!いい加減にそこから出ろ!お前は両親の為に働かなければならない!人を不幸にした償いをしろ!」
「ふふふ…、ならば僕を不幸にしたその人達に償いをしてもらいたいですね。いや、今は幸せですけどね。」
いつもの問答に飽きてきた。
「仕事をしてもらいたいなら相手を連れてきて下さい。僕がその気になったら仕事をしてあげましょう。僕はここから動きませんからね。」
ソファに寝そべり欠伸をしながら言う。
「するか!そうか!ならば相手を連れてきてやる!寝るなよ!そのまま起きていろよ!」
アテンザ公爵が生物学的父を連れて急ぎ走り去っていく。
寝るなと言われても…、眠いぃぃ……。
実は僕、悪事の証拠集めの為記録装置を作ったんだ。水晶に画像録画、音声録音、記録、の魔法陣を付与してなんとか出来上がった。
沢山失敗もして、苦労したよ…。
夜はそれを作ってたもんだからもう…、眠くて眠くて…。
ちなみに天井へ灯りに見せかけて配置している。
さて…、誰が来るのかなぁ…。
しばらくするとバターンと牢の扉が開いた。
「小僧!連れてきたぞ!さぁ、仕事をしろ!!」
リリカル公爵と客人?依頼人?が立っていた。
依頼人は僕が地下牢にいる事にドン引きして、その後、僕が整えた室内を見て目を輝かせた。
僕はソファに寝そべりながら目線を向ける。
「やぁ、始めまして。依頼人さん?
ねぇ、見て!ちょっと酷いと思わない?僕をこんな所に入れて碌な世話もしてくれないのに働け働け言うんだよ?
この部屋もあまりに酷いから僕がちょっと整えたけど、ご飯はくれない、毛布もくれない世話人も付けてくれない…。ないないづくしなのに文句ばかりは毎日よこすんだよ?働け〜働け〜ってね。
貴方も僕に何も与えず働かせるつもり?」
リリカル公爵は顔を真っ赤にし、依頼人は鼻白み、何も言えない。
「ねぇ、貴方は誰?貴方は僕の事を聞いたかも知れないけど僕は貴方の事を何も知らないよ。
話も碌に出来ないでギャアギャア騒ぐ奴しか来ないからちょうど退屈してたんだ。話をしようよ。
さぁ、貴方のことを話して。何を依頼したいの?」
結果、同じ穴の狢でした。領民の為にとか苦しんでいる人をなんとかしたいとかだったら考えるけど、金儲けに使われるのはゴメンだ。
ベラベラと個人情報垂れ流してお馬鹿さんだなぁ。
しっかりと身元も不正も王家を出し抜きたいだの記録装置に映ってるから後で隣国の王様に見せてあげよう。
この人どうなるのかなぁ…?
「もういいよ。貴方な話は面白くないもの。
自慢話や犯罪の片棒担がせようとか、もう聞きたくないや。
帰って。僕、貴方の話には興味ないんだ。
仕事?する訳ないじゃない。
ねぇ、公爵。僕がやりたくなる仕事持ってきてよ。それまでは僕、やらないからね。」
寝そべって読み物をしたまま断る。
「なっ!なっ!なんだと!!賢者だなんだと言われているが随分と無礼じゃないか?!この私がここまで来て話してやったのに断るのか?!貴様!ふざけるなよ!!」
牢の中に入ろうとするも結界に阻まれ入れない。
しばらく奮闘するが赤い顔をして髪を振り乱して帰っていった。
あんなへなちょこ、結界に入れるわけないじゃないか!こちとら、ジルに鍛えられて高位魔獣でも破れない結界なんだぞ!
さぁ、次はどんな奴が来るのかなぁ。




