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嫌ですよ。


 あらから僕は地下牢へと連れて行かれた。

「お前の部屋だ。良かったな、部屋が貰えて。」

ニヤニヤ薄ら笑いを浮かべた生物学的父が嘲る。


そこは石壁に囲まれた寒く日の入らない牢屋だった。かび臭くベッドも毛布もない。

僕を突き飛ばし牢へと入れるとガチャリと音をたてて鍵をかける。

「ここでしばらく過ごせ。仕事が来たら出してやる。飯が欲しければ仕事するんだな。仕事がない時は飯抜きだ。ははは!」

何が楽しいのかさっぱり分からないが僕が惨めに過ごすのが嬉しいようだ。

先程とは打って変わって上機嫌に去っていく。


「なんだろうね…、あれ…。」

僕の周りにいる精霊さん達に話しかけるも皆首をかしげ口々に、

「ねぇ…、あれがアルのお父さん?あれ…、あの…、何ていうか…、あの…やばい人じゃない?」

皆気を使って言葉を濁してくれている…。


なんか気を使わせてごめんね…。


「うん…、そうだね…。僕殆ど会ってないからこんなに会話したの初めてだよ。なんかやばい人達だね。でも、ギルとジルが色々動いてくれるから、僕はここで時間稼ぎと悪事の証拠集めでもしようかな。

でも、とりあえずここをある程度住めるようにしなきゃね。」

僕は精霊さん達にお願いして地下牢を快適に整えていく。

壁や床をキレイにしたら壁にはツタを這わせ石壁が見えないようにした。床にはマジックポーチに入れていた分厚いカーペットを敷いて寛ぐためのテーブルとソファを置き、クッションやひざ掛けも出しておく。天井もキレイにしてツタを這わせ明かりを灯しておく。トイレと思わしき所は使う予定はないので大きな木を置いて目隠しをする。ついでに僕が見えないように監視の窓の前にも目隠しで木を置く。

勿論僕は転移してカーで過ごす予定。此処に居ない事がバレるとうるさそうだから声だけ聞こえるように魔法陣でカーと結ぶ。一応地下牢が常に快適であるように空調管理の魔法陣も付与しておく。

勝手に入られると困るので地下牢全体に結界を張って立ち入り禁止にした。

こんな感じでいいかなぁ?


じゃあ疲れたから僕は一旦カーへ戻って休もう。



 カーでご飯を食べてゆっくりウトウトしていると何処からか声が聞こえる。

「…んん?何だろう…?」

カーから地下牢へと転移すると、生物学的父とお付きの人が地下牢の入り口に立っていた。

僕はさも此処にいましたよ…、という顔をして木の陰からひょっこり顔を出す。

「どうしましたか?仕事ですか?」

生物学的父は飛び跳ねるほど驚き、

「うわぁぁぁ!!な…!何だ!貴様!これはどうゆうつもりだ!何処に隠れていた!!」

「此処にいましたよ。そして此処はちょっと快適に過ごせるように整えておきました。ちょっと不潔だったり寒かったり…、人が住むには不向きでしたから。」

「何を勝手な事をやっている!クソ!!何で入れないんだ!」

「この地下牢全体に僕に悪意や害意を持ってる人は入れないように結界を張ったんです。入れないって事は僕に何かするつもりでしたか?」

「うるさい!さっさと結界を解け!」


嫌だよ…。何で自分を害すつもり満々の人を入れなきゃいけないんだよ…。ギャーギャー喚いてうるさいなぁ…。

なんか…、こんな人と同じ屋根の下で過ごさなくて僕、良かったかも…。ギルは大変だっただろうなぁ…。


と、ギルに思いを馳せながらうるさい生物学的父を放ってソファへ座り温かい紅茶を取り出す。


はぁ〜、温かい。不意にジルの淹れてくれたお茶を思い出し寂しくなる。

“ジルの淹れてくれたお茶が飲みたい…。”

寂しい気持ちを誤魔化すように読みかけの本を取り出しソファで読み耽る。


気が付くと生物学的父はいなくなっていた。


再び僕はカーへ転移してこちらで過ごす。


またしばらくするとまた声が聞こえる。

“もう…、何だよ…。うるさいし落ち着きない人達だなぁ”

再び地下牢へと転移。

生物学的父がリリカル公爵を連れて立っていた。

「はははは!!凄いぞ!これは色々使える奴だ!

おい!出てこい!仕事の話をしてやる!」

…嫌だよ…。何で上から目線で仕事させられなきゃいけないんだよ…。

「そこからどうぞ。」

ニコッと笑ってソファに腰かけお茶とお菓子を出す。足を組み、さぁどうぞ?

対してリリカル公爵と生物学的父は立ちっぱなし。

リリカル公爵は立ち位置の違いに気付かず笑みを深めて凄い凄い言っている。

「今からこのリリカル領と隣り合う隣国のチェイス伯爵と会ってもらう。お前はそこで賢者として瘴気の浄化をしてもらう。お前の力を見せつけてやれば金を出す奴が増えるぞ!!」

僕はニコッと笑って、

「嫌ですよ。それはこの国の陛下が決める事です。僕の扱いは全て陛下にお任せしてるので隣国の瘴気の浄化をするつもりはありません。どうしてもと言うなら陛下の許可を取ってからにして下さい。」

姿勢良く香り高いお茶を愉しみながら断る。

リリカル公爵は断られると思ってなかったのか、ポカンと口を開けて僕を二度見する。


聞こえなかったのかな?

「嫌ですよ。僕への依頼は陛下を通して下さい。」

もう一度言う。

リリカル公爵はワナワナ震えながら何かを喚き出す。

「断れる立場だと思っているのか?!お前は仕事を受けなければどうなるか分かっているのか?!」

「どうなるのですか?」

足を組み替え優雅に聞いてみる。

「そこから出さんぞ!飯もなしだ!」

残念。貴方がここから出さなくても私は出ていけますし、ご飯もカーで食べられる。おフロも入れるしね。

「残念ですね。ここから出さないは交渉材料にはなりませんよ。

また何か交渉材料が出来たらいらして下さい。」


まだ喚く人達を放っておいて本へ集中する。



 今度は誰が来るのかなぁ…。







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