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決意。


 リリカル公爵家へと転移した直後から僕への攻撃が凄い…。

いやぁ…、凄い…。この一言に尽きるね。


僕、一応この国のトップである陛下とナンバー2である宰相さんから頼まれて来てるんだけどなぁ…。そこに来てこの発言。陛下をないがしろにしていると思わないのかなぁ…。

思わないんだろうね。この人達、人の意見聞かなそうだし、僕の周りを排除して僕を自分達の都合の良いように扱いたくて堪らないんだろうなぁ…。


まぁ…、一応思惑に乗ってみようかな…?


「サンガリア公爵閣下。僕は父上と母上と少しお話がしたいのです。よろしいですか?」

泣きそうな顔を作って見上げる。

「そうだぞ!そなたは一度帰られよ。後の事は我らアテンザ公爵家が主体となりこの者の処遇を決める事とする。」

欲に目が眩んだギラッギラの目でリリカル公爵が言う。


恐っ……。


「いやっ…、しかし…。アル君、大丈夫かい?

無理しなくて良いんだよ?私も一緒に残ろうか?」

ロバート様が僕の意思を確認してくれるけど、

「はい。大丈夫です。僕はこちらに少しの間残りますけどロバート様は一度帰られて下さい。お忙しいでしょうからあちらをよろしくお願い致します。」


ロバート様と団長さんが僕を気にしながらも転移で戻って行った。

僕がこちらで気をそらしている間にロバート様には陛下やギルと連携してリリカル公爵とあの人達の失脚、世代交代を進めて貰おう。


「ジル、お前もあちらに戻ってもらう。父上が亡くなってから十数年、お前にはもう何の力もないのだ。大きな顔をして口出ししてきたがお前はもう解雇する。いつまでも我らの邪魔をしおって…。

もうこいつの側にいる事は許さん。どこぞへと消えろ。」

「ステファン様、貴方はまだそのような事を…。

先代侯爵が貴方を見たらさぞガッカリするでしょうね。

先代が大切にしてきたホーエンの森の管理もせず、領地経営も人に丸投げ、血を分けた子供の世話もせずに快楽のみを求めている今の貴方を見ずに済んでアーサー様は良かったのかもしれません。これ以上の失望は無いですからね。」

相変わらずジルは辛辣です。でもこれは煽りではなくジルの心からの声なのだろう。いつも表情を変えないジルが辛そうな顔をしている。

「ジル、僕は大丈夫だよ。ジル、今までありがとう。ジル、僕という柵を捨てて自由になっていいんだよ。ジル…、ジル…、僕は大丈夫だから。」

ジルにとって先代侯爵のアーサー様は何より大切な方なのだろう。そのアーサー様の忘れ形見のこんな姿は見たくないに決まっている。

僕はジルの手を握りポンポンと軽く叩きジルをここから遠ざける決断をする。

演技ではなく、涙がこみ上げる。

「ジル、帰って良いよ。僕は大丈夫。あちらをお願い。」

ジルが跪き僕の手をギュッと握る。

「アル様、ご無理はされないように。辛くなったらすぐにお戻り下さい。私がいつでも待っている事をお忘れなく。」


ジルも転移で帰っていった。

ロバート様にもジルにもギルにも必要となりそうな物はマジックポーチに沢山入れて持たせている。それを使ってあちらで暗躍してくれるだろう。

普通に迎えて普通に僕を扱うのであれば僕もこんな事しないけど僕にとって敵なら仕方がない。


 …排除しよう。



皆が帰ったのを確認してリリカル公爵が口を開く。

「賢明だな。そなたには我が妹を不幸にした分の償いとしてしっかり働いて返してもらおう。」

「そうよ、その顔を見なくて良いように外で沢山働いてもらいますからね。」

「あぁ、お前を待っている奴らが沢山いるんだ。ゆっくり休めると思うなよ。沢山働いて沢山我らの為に稼いで死んでくれ。」


ヘラヘラと笑うその顔に反吐が出る。内心を隠しつつ、泣きそうな顔で僕はあの人達に問いかける。


「父上も母上も何故そんなに僕を厭うのですか?

僕はお二人の子供だと魔力鑑定で認められたじゃないですか!何故死を望むほど僕は嫌われているのでしょうか…。」

生物学的に父と呼ぶしかない人が、

「うるさい!そんなの貴様が知った事じゃない!

ただお前が覚えておくべき事はお前は親からも死を願われている程穢らわしい存在だと言う事だけだ!何が賢者だ!何が救世主だ!!

貴様にそんな資格はない!我らの為に働いてさっさと死ね!!」

話が通じない。なら仕方がないよね。事情があるなら情状酌量の余地もあるけど言わないんだもん。



 全力で叩き潰そう……。


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