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泣いちゃう…。


 ライデンによる華麗なる魔獣討伐を皆で見学し世界樹の所へ戻り、温泉に皆で入ってから戻る事になった。


いい感じの所に温泉を作ったからね。皆喜んでくれるといいなぁ。ちっちゃい子でも入れるように浅い所も作ったのだ。


わくわく。


 温泉に着くと先客?湯気の中に大きな姿が見える。

「母様?!」

熊の仔が走り出し大きな影、熊の聖獣の元へ。顔を寄せ合い親愛の情を交わしている。


再会をひとしきり喜び、熊の聖獣がこちらを向く。

「おぉ!そなたがアルか?今代の賢者と聞いたぞ。この温泉もそなたが作ってくれたのだとか。

いやぁ…、いいなぁ、この湯は。穢れが洗い流され疲れや怪我が癒されていく。」

「母様、お怪我してたの?」

「少しな。ここを出た後、何処もかしこも魔獣だらけで心安らかに休む事も出来なくてなぁ…。

しかし、風の噂で賢者により聖なる山に結界が張られ安全になったと聞いて戻って来た。これから戻って来る同輩がたくさん居るぞ。皆の母御父御も戻るだろう。」

皆がわぁっと歓声をあげる。


良かったぁ〜。やっぱり寂しかったよね。いくら仔達の事を思って離れたとしても親子は一緒にいた方がいいもんね!!


「ねぇねぇ、アル、早く温泉入ろうよ!」

皆がチャポンチャポンと温泉に入っていく。

皆に誘われたが、僕は躊躇する。

「どうした?賢者よ。そなたは入らぬのか?」

「失礼。初対面のレディと一緒におフロに入るなど紳士としては言語道断。今回私は遠慮しておきます。」

皆がキョトンとして僕を見る。

「レディ?」

「そうだよ。君の母君だろう?一緒におフロに入るなんて失礼な事出来ないよ。

僕は一旦カーでおフロ入ってからここに戻ってくるね。

皆ゆっくり入るんだよ。」



 カーに転移し、おフロに入る。

さっきまで賑やかだったのに今は静かだ。


……寂しい……。

でもレディと一緒におフロに入る訳にはいかないのだ。

僕の決断は正しいはず。

ジルは褒めてくれるはず…。


しん…、と水音しかしない浴室で天井を見上げて、

目を閉じる。

静かだなぁ…。皆と離れたらこういう毎日を送るのかなぁ…。


僕…、泣いちゃうかも…。



浴室の外側騒がしい。なんだろう?

すると声がする。

「アル〜!あ〜け〜て〜!」

「は〜や〜く〜!」


「???」

僕は急いで浴室のドアを開けるとそこにはシロガネと聖獣の仔達がいた。

「なんで?せっかくお母さんと会えたのに…。仲間と会えたのに?」

「?アルも仲間でしょ?お母さんに会えたからアルとおフロ入る!おフロ終わったらまたふわふわしっとりしてちょうだい!!」


目が熱い…。

「任せて!!フワッフワのもっちりにしてあげるね!!」



 おフロで体を洗ってあげてから乾かしてブラッシング。このポチッたブラシで皆をフワッフワにしていく。肉球とお鼻にクリームを塗り塗り。

皆気持ち良いのか“ふぅぅん”と鼻から深く息をはく。そしてウトウト…。仔トカゲさんや仔蛇さんや仔ヤモリさんにもオイルを塗り塗り。ふわふわのタオルの上へ乗せるともぞもぞと潜りウトウト。


シロガネもじっくりブラッシング。

「シロガネ、ありがとう。大好きだよ。」

僕が今寂しくないのは皆のお陰だ。

シロガネもウトウトしながら、

「僕もアル好き〜……。」

と。


せっかくキレイにしたシロガネの毛皮が濡れちゃう。


泣くな泣くな…。皆びっくりしちゃう。

スーハースーハー深呼吸をして目を冷やしたら僕もシロガネの隣へ寝転ぶ。


僕も一緒に寝るぅ……。



 目が覚めると日が傾いていた。

しまった!寝すぎた!


皆はもう既に起きて遊んでいた。

「あ〜!やっと起きたぁ!!」

皆に謝り、世界樹の元へ転移すると熊の聖獣さんとライデンがいた。

「遅くなってごめんね。」

「良い良い…、気にするな。そなたが一緒ならば心配しておらぬ。

改めて礼を言わせておくれ。賢者よ。

ありがとう。あの仔達を大事にしてくれて。

一目見てみたらすぐ分かる。屈託なく笑い、毛並みもふわふわでそなたが大好きなようだ。

不甲斐ない我らに代わり、あの仔達を可愛がってくれてありがとうな。」


やめてよぉ…。泣いちゃう…。


「こちらこそ。あの仔達が居てくれてどれだけ僕が救われているか。

僕を信頼してくれてありがとうございます。」

「いつか共に風呂でも入ろうぞ。」

「それはちょっと…。お断りします。レディの前で裸にはなれません。」


熊の聖獣さんに大笑いされながら家へと転移する。

小熊君は今日は皆と別れてお母さん熊聖獣さんと山に残るそうだ。


 一応聖獣さんのおやつと聖獣さんのご飯をポチッて置いてきた。



 たくさん食べてね〜!!





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