表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/21

世界は甘くない

グロくはありませんがら生き物が死ぬ描写があります。

「バトじい?おはよう〜。今日は大丈夫…?」

「アル坊、おはようございます。大丈夫ですぞ。

アル坊のシップとポーションが効いたようです。

いや…本当に…。

アル坊には、薬師の才があるかも知れませんぞ。」

嬉しい!

でも、確かに僕の属性には光もあったなぁ…。

「今日は一緒に種まきをしますぞ。」

…あー… 実は昨日帰りに畑を直そうと思ったんだけど、カーを隠す方法を考えてて、すっかり忘れてたんだよね…。

 バトじいの小屋に来る前に、畑を見に行ったら、朝の光の中で見ると、うねうねがが思っていたより、うねうねだった…

「あ〜…バトじいゴメンね。 

実は、昨日耕した畑が思ったよりキレイに出来なかったの……ごめんなさい…。」

しょんぼり…。

「良いのです。最初からキレイに完璧に出来る人などおらんのですから。

では、アル坊の初仕事を見に行きますか!」


 畑に行き、うねうねの前に2人で立つ。

うぅ…。やっぱり、不格好だ…。

「そうですなぁ…。初めてにしては上出来ですぞ。

では、アル坊。畑を作るコツをお教えましょう。」

バトじいから、畑を作る土魔法を教わった。

もっと深く、土をまぜまぜするんだって。

畝がうねうねなのは、慣れ。

野菜の種類によって畝の高さを変えたりするんだって…。

奥が深いねぇ…。

バトじいは、さすが!!

僕のイメージトレーニングの様に、ふわぁっと畑を作っていったよ。

さすが、バトじい!

僕も頑張らなきゃ!


バトじいに、昨日のカーを隠す方法が見つかったことを話した。

森の中に隠したい事を話すと、人が滅多に来ないポイントがあるから後で、そこに案内してくれることになった。

たた、1人では行かない事、必ず、ジルかバトじいと一緒に行く事を約束させられた。

やったぁ!さっそく行ってみたい!!

屋敷の浄化?それは夜にやろう…。

森の方が貯まりそうな気がするんだよね。


 朝ごはんの後、ジルにも説明して、ジルとバトじい、僕の3人で行ってみることになった。


 思ったより遠かった…。

本邸の人間よここまでは流石に来ないだろう…って位、遠かった…。

森の中の空気が重く、陽の光も入らないからか、薄暗い…。

何か…怖い…。

カーを出してみる。

中に入り、黒い板を出して、内包魔力と貯蓄額を見ると、どんどん貯まっていく。

嬉しいけど、逆に恐ろしい…。

ここ、どんだけ瘴気が溜まっているの…?

たまに、魔獣が出たりもするらしい…。

ひゃぁぁ… 隠蔽も必要だけど、結界も早く装備した方がいいかもしれない…。

出しっぱなしにして、いったん屋敷に帰ることにして、夕方、回収に来ることにした。

大丈夫かなぁ…。魔獣にボコボコにされちゃわないかなぁ…。

後ろ髪を引かれながら、来た道を戻っていると、いきなりジルに抱きかかえられた!

バトじいもジルも怖い顔で同じ方角を見ている。

嫌な予感がする。

空気がビリビリする。

バトじいが腰にあった剣を構えた。

ジルが何かをモゴモゴと小さく言うと、僕を抱えたジルの周りが淡く光った。

繁みからいきなり黒い塊が飛んできて、バトじいはそれを剣で振り払った!!

「ブラックウルフですか。」

ジルが冷静に言っているが、僕は頭が真っ白になり、ジルの首に手を回し、ジルの服をぎゅっと掴んだ。

バトじいが再び飛びかかってきましたブラックウルフを躱すと、剣を振り下ろす。

ブラックウルフの首から黒い血?がバァッと飛び散り、地面に倒れる。

まだ生きているのか、ブラックウルフは立ち上がろうとするけど、立てないようだ。

バトじいがブラックウルフの胸の辺りに剣を突き立てると、ブラックウルフは動かなくなった。

僕はそれを見ているだけだった。

「こんな所まで魔獣が来ていたのですね。

それにしても、腕が落ちていないようですね。」

「あぁ…。魔獣除けの薬草が枯れちまったのかも知れん…。後で見回ってみるよ。

アル坊。大丈夫ですかい?

怖かったでしょう。」

「アル様。もう大丈夫ですよ。」

2人が声を掛けてくれるが、僕は返事も出来ないし、体も動かない。

「アル様?」

ジルが僕の背中に手を回す。背中が少しづつ温かくなってくると、僕はカタカタ震えてきた。

何か話そうとするが、声が出ない。


 ジルは急いで僕を屋敷に連れ帰ってくれた。

ルイが温かいミルクを出してくれたが、僕の手はジルの服から離れない…。

手を離そうとするが、手が固まったかのように動かない。

ジルが僕を抱きしめてくれて、大丈夫、と何度も言われてるうちに、少しづつ手が動くようになってきた。

温かいミルクを飲むと、少し落ち着いてきた。

ジルから今日は屋敷から出ずに、ゆっくり休むように言われた僕は、いつの間にか、眠っていたようだ…。

体が熱くて目が覚めると、すっかり夜になったようで、あたりが暗い。

喉が渇いて、水を飲もうとするが、体が重い。

ルイが気が付いて水を飲ませてくれたが、僕の意識はまたすぐに、闇に呑まれた。


 その後、再び目を覚ましたのは、だいぶ日が高くなってからだった。

ルイが気が付いて水を飲ませてくれて、ジルを呼んできてくれた。

僕は初めて魔獣との戦いを見て熱を出したそうだ…。

あれから3日経っていた。

ジルは反省し、見せるべきではなかったと謝られた。

ルイからも、怒られたらしい…。

まだぽやぽやする頭であれは必要な事なのだと分かった。

僕はここを出たら、ああいう事もするんだと。


 僕は魔獣も怖かったし、戦いも、バトじいがケガをするのも怖かった。

けど、僕が1番怖かったのは、魔獣が死ぬ時だ。

僕もああやって、少しずつ動けなくなって、死んだのだ。

あの時の苦しさが思い出されて、ただ、ひたすらに怖かった…。

ジルも、バトじいも、僕も、少し間違えればああなっていた。

僕は再び、死ぬかもしれないんだ。


 急に世界が怖くなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ