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さすがジルです。


 アテンザ公爵家へと行く日、ギルも次期当主として一緒にご挨拶に行くと言い出した。


絶対僕が振られたからって敵愾心を持ったんだよ。

あの後、しばらくギルはギリギリしてたからね…。

何度も言うけど、振られてないからね!別に好きになったりしてないからね?!


ちなみにジルも「ほう…、あの方が…、はぁ…、なるほど…。」と、何故か黒かった。




 ロバート様が仲介役としてアテンザ公爵家へと一緒に転移してくれる。いつもの様にサンガリア公爵家騎士団長さんが先触れとして転移。その後問題ないなら僕達も転移。


そこにはスティーブ様、マリア様、多分家令さん、絶対騎士団の人…がいた。

何故分かるかって?物凄い睨んでる人がいるからね。あれがマリア様のお婿さん予定の人だよ、絶対!


あぁ…、ギルも睨まないで…。

僕…、平和主義者なんだけどなぁ……。


「ようこそお越し下さいました。これが転移という賢者しか使えない魔術なのですね!さすが!驚きました。」

ニコニコと笑いながらスティーブ様が歓迎してくれる。


騙されないぞ!ニコニコ陽気に笑っておいて裏で画策しているんだろう?

その笑顔の裏があるんだろう?!


 ロバート様が代表してご挨拶をして下さる。その後、僕もご挨拶…、と思っていたら、

「こちら賢者の付き人のジル殿、これからも世話になるだろうから紹介しておくぞ。」

…えぇ?いきなりのジル?

「はじめまして。ただ今紹介に預かりました賢者のアルフォンス様の付き人をしておりますジルと申します。どうぞお見知りおきを。

さて…、此度我が主人に婚約の打診があったとか…。当家といたしましては何も、えぇ、何も聞いておりませんがどのようなおつもりでしたでしょうか?しかも婚姻前の男女を付き人も付けずに一緒の部屋にするとは、まさかアテンザ公爵家当主ともあろう御方が我が主人を、賢者を、子供だからと軽んじておられる訳ではございませんよね?」

ニコニコと黒い笑顔でジルが流れる様に挨拶に見せかけた喧嘩を売る。


…おぉぅ…、ジルもお怒りだ…。

本来、貴族の婚姻は家同士の契約だから僕への打診を家を通さずに僕へ直接した事に対し、僕を軽んじた、と怒っているのだ。

しかも僕に恥をかかせたと…。

ジルは僕をとても大切に思ってくれているからね。

これで公爵家に対し使用人が失礼だとか言われるならジルを連れてすぐに国外に出るからね!


「使用人が無礼だぞ!」

僕を睨んでいた騎士団の人がいきり立つ。

「失礼なのはどちらでしょうか?我が主人を軽んられて黙って引けません。

そしてそちらの…、私は今サンガリア公爵家当主様に紹介され話をしております。

さて…貴方は?どなたかに紹介されて話されているのですか?残念ながら貴方のお名前も私は存じませんが?この様な時には主人に一言お伺いを立てるものですよ。それを主人の了解を得ないままいきなり使用人が怒鳴るなどあり得ない事でございますよ。それこそ公爵家ともあろう使用人が…。ご自分が公爵家当主よりもお偉いとでも思っておいでなのですか?使用人の態度でその家の格が分かるというものです。反省なさい。そしてその口を閉じて2度と我が主人の耳を汚さないで頂きたい。」


…おぉぅ…、辛辣ぅ…!

僕の喧嘩の売り方はまだまだ甘かったようだ。

流石、元祖ジル!立石に水とはこの事。相手に一言も話す隙を与えずダメージを与えている。

参考になるなぁ…。


相手の騎士団の人らしき人は青筋を立ててギリギリしている。

マリア様も青い顔をして俯いてしまっている。

スティーブ様は?

スティーブ様は呆気に取られた顔をしているけど、貴方が事の発端だからね!


「ジル殿、私が何を?賢者殿に婚約を?」

??話が噛み合っていない…?あれ?

皆がクエスチョンマークを浮かべているがジルだけは表情を変えず、

「先日王宮にてサンガリア公爵家当主様よりアテンザ公爵家当主様と次期当主様を紹介された時、我が主人とアテンザ公爵家次期当主様の婚姻を望まれたとか。その際、室内に使用人がいるとはいえ、付き人も付けずに2人だけの空間にしたあげく、婿は決まっているからと一方的に我が主人に恥をかかせたと。そのように聞いておりますが?」

「何を!そのような事計画しておりませんぞ!婿もまだ決まってはおらぬのに誰がそのような事を!!」

筋骨隆々の体に相応しい大きな声が響く。


あれ?本来に知らない感じ?

「それにジル殿、そんな他人行儀に怒らないで下さい。」

あれ?ジルを知っているの?

スティーブ様を見ると、

「実は昔、ストロイエ侯爵前当主殿に師事していた時お世話になったのです。あの時もよく今のように怒られたものです。いえ、もっと容赦なかった。」


だよね、怒るジルは怖いよね。途端に親近感。



 結局何だったんだろう……。

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