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振られてないから!!


 それからの僕は聖獣の仔達に懐かれた。

「ねぇねぇ、またキレイにして?」

よし!任せて!ブラッシングするよ!

「ねぇねぇ、足が冷たいよぉ…。」

よし!任せて!おフロ入って肉球にクリーム塗ろうね!

「ねぇねぇ、お体がカサカサするよぉ…。」

よし!任せて!オイル塗ってしっとりしよう!

「ねぇねぇ、あれある?あの美味しいやつ!」

よし!任せて!沢山あるからじゃんじゃん食べちゃって!!


って具合でハクエンやライデンに呆れなれながら日々仔達に貢ぎ物、もといプレゼントをして、甘やかしながら過ごしている。


 聖なる山の中心近くにいい感じの景色の所があったのでそこに聖なる露天風呂をポチッた。

入るとあら、不思議。体内の穢れが浄化され、ケガも治るという優れもの。

これで瘴気なんか怖くない!


 たまにギルやウィル君やアレク君と遊び、たまに冒険者ギルドに行き、たまに孤児院へ行きコズ君達に色々教えたり遊んだり、毎日忙しくしている。


でも聖獣さん達に貢いでいるせいで別荘を建てるお金が貯まらない…。

…だって…、可愛くお強請りされるんだもの…。後でね、なんて言えない。じゃんじゃんあげちゃう。


 ロバート様〜!!僕に新しい狩場を下さい!!




 心の叫びが聞こえたのか今日はこの国の4カ所目の瘴気の森の管理家とお会いする事になっている。


ロバート様、あざっす!!


4カ所目はアテンザ公爵家の管理しているアガールの森。

アテンザ公爵家当主のスティーブ様、次期当主のマリア様をロバート様が紹介下さる。

「お初にお目にかかります。アルフォンスと申します。」

スティーブ様にご挨拶申し上げる。

「あぁ、こちらこそ、賢者にご挨拶申し上げます。アテンザ公爵家当主、スティーブ・アテンザと申す。こちらは次期当主、娘のマリアと申します。どうぞ、よしなに。」

スティーブ様は背が高く筋骨隆々の陽気な感じのおじさんだった。

マリア様は僕より少し年上の綺麗なお姉さん。

「いえ、私の事はどうか賢者ではなくアルとお呼び下さい。」


 王宮での顔合わせとなるので、勿論オルガナイト王国としての浄化依頼となるが、アガールの森は今の所逼迫した状態では無いようで僕にはカーと別荘の設置をお願いしたいそうだ。

「森の様子を見ておきたいので都合の良い日にでも一度そちらへお邪魔させて頂いてもよろしいですか?」

「えぇ、ぜひ一度お越し下さい。我がアテンザ公爵領もアガールの森も良き所ですから。」


オススメの郷土料理やらをスティーブ様にお聞きする。切羽詰まってないならちょっと観光してもいいかなぁ…?パエーリアっていう美味しいご飯を勧められた。美味しそうな気配がする…。


ロバート様とスティーブ様は当主同士お話があるようで僕はマリア様とお茶をしながらアテンザ領についてお聞きする。

…が、何がおかしい…。マリア様の顔が強張っている。僕何が失礼な事したかなぁ…?

「失礼、マリア様。単刀直入にお伺いします。

僕、何かマリア様に失礼な事してしまいましたか?すみません、僕公式の場に全然出ていないので知らずに無作法してしまいましたか?」

マリア様は一度下を向くと、意を決したのか真っ直ぐ僕を見て、

「いえ、アルフォンス様は何も…。私の方こそ失礼な態度をお取りしてしまい申し訳ございません。

実は父は私とアルフォンス様の婚約を望んでいるのです。」

「……。」

えぇ……、聞いてないよ…。しかもこれ嫌がられてるやつじゃない?告白もしてないのに振られるの?

「実は元々私が女公爵として家の管理と社交を担い、森の管理、魔獣の討伐に関しては我が公爵家騎士団の者を婿に迎える事になっていたのです。

私には次期アガール公爵家を共に支える約束をしている者がいるのです。

ですからどうか、このお話をアルフォンス様からお断りして頂きたく存じます。

我が公爵領をお助け頂く方に失礼な事をお願いしているのは重々承知で、どうかお願いいたします。」


 なんか微妙…。好きとかじゃないけど…、綺麗なお姉さんだなぁ〜って思っていた所にぶった切られた感じ…。振られた…。しかも怖がられてる…。

僕…、何も望んでなかったのになぁ…。


聖獣の仔達に会いたい…。

癒しを…、癒しを下さい…。


「そんな話は初めてお聞きしました。安心してください。僕は元々そんなつもりでアガールの森の浄化をする訳ではないんです。」

聖獣の仔達に貢ぐ為にお金を稼ぐ為だもの!

「マリア様はマリア様のお好きな方をお迎えすればよろしいと思いますよ?」


ラス君達が僕の周りでクスクス笑っている。

振られた〜、じゃないから!



 もうっ!ロバート様にチクっちゃうからな!!

ロバート様〜!変な画策してる人がいますよ〜!



 家に帰るとギルに精霊さん達に、「アル、振られたんだよ〜!」ってチクられた。

だから、違うから!振られてないから!!

ギルも殺気を出さないで!!「どこのどいつが兄上を?」じゃないから!

もう!ギルは本当に僕が好きだなぁ!!


 可愛いやつめ!!




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