親切心ですよ。
フィラムの花については陛下と宰相さんにお任せする事にした。
魔獣の血で大地が穢れると魔獣の往来が増え、その後穢れが蓄積されていき、ゆっくり瘴気に覆われた大地へと変化する。
大昔、精霊使いと言われる人達がいた頃、大地の穢れを祓い正常な状態に戻していた。
また、フィラムの花が瘴気を吸収し魔素へと変換されていた為、瘴気が拡大する事もなかった。
しかし、精霊と意思疎通出来る者がいなくなり、フィラムの花も取り尽くされ地上から消えた。
その結果、瘴気は増え続け、討伐を繰り返し穢れた大地が広がり、各国首脳陣が悩まされ続ける瘴気問題が産まれた。
…なんていうか、本当人間の自業自得感が凄いよね。
精霊さん達から教えてもらった瘴気についての新事実。フィラムの花を取り尽くさなかったら、もしくは精霊を大事にし交流が続けられていたら、ここまで瘴気は広がらなかったかも知れない。
本当はこっそりフィラムの花を森に植えようかと思ったんだけど、国を巻き込んで各国連携した方が今後の瘴気問題が解決されやすいかもしれない…。
と思った僕は全てを陛下に丸投げする事にした。
いやぁ、頼れる大人がいるって楽だねぇ…。
後はよろしくお願いしますね。
そんな事より、最近のアレク君の殺る気が凄い。魔獣討伐の腕も魔法の精度もガンガン上がり、あの可愛くほのぼのしたアレク君はいずこへ…。
まあ、相変わらず可愛いけどね…。
今僕の目の前にはギルとウィル君とアレク君とシロガネと精霊さん達が殺り尽くした魔獣が死屍累々と広がっている。
皆良い笑顔…。楽しそうで良かったね。
今日はアミンの森の中層へ来ていた。
アレク君はあれからちょこちょこ僕のお家に遊びに来てくれる。ギルとウィル君も時間がある時は遊びに来てくれるので、タイミングが合うと今日みたいに一緒に討伐に行っている。アミンの森だったり、モートンの森だったり。森によって生息している魔獣が違うので勉強になるみたい。
皆にそれぞれ回収袋を持たせているので各自回収。それは自分達のお小遣いになっている。
その後は皆で穢れを浄化の歌で精霊さん達にキレイにしてもらう、までが一連の流れになっている。
今ではギルもウィル君もアレク君も精霊さん達と意思疎通が出来るまでに仲良くなっている。
次代の瘴気の森の管理者は優秀だね。
サンガリア公爵家とスピール公爵家にはフィラムの花の種を渡してあり森に植えてもらっている。ホーエンの森の瘴気は浄化された為ギルに念の為種を渡している。時間停止機能の付いた袋に入れて。
ストロイエ侯爵当主?蚊帳の外だよ。だって、こんなに森の様子が変わったのに気が付かないなんて無能じゃない?既に王家も他の公爵家も議論の対象はギルだと認識している。
ざまぁ……。
そういう事で今日は討伐した魔獣を持って皆でギルドに来た。
皆ギルドは初めてみたいでキョロキョロしている。
僕はお兄さんぶって皆を引率する。
えへ…、頼れる所を見せたいからね。
そんな僕ですがまたまた速攻で絡まれてます…。
なんでぇ…、今日はやめてよぉ…。
「おい!お前が漆黒の風の腰巾着か?随分いい思いさせてもらってんじゃねえか!低ランクのクセに高ランク冒険者にレベル上げてもらっていいご身分だなぁ、おい!」
僕がダンさん達と一緒に討伐に行くのをやっかんでいた人達は一定数いたが、最近は絡まれなくなって安心してたのに今日に限って絡んできた…。
あぁ…、格好良い所を見せたかったのにこれじゃあ腰巾着だと思われちゃう…。
もう!もう!
僕は怒りのまま貴族的微笑み発動、ニコ。
「貴方のような人がまだいたんですねぇ。最近は皆さんにご理解頂けたと思っていたんですが認識が甘かったようですね。
貴方のような真実も見極められない、誰彼構わず絡むような冒険者がいるから冒険者はバカな乱暴者の集まりだと揶揄されるんですよ。
もう少し、紳士的に出来ませんか?
いくら無教養な乱暴者でも…。あぁ…、無教養とは学がないという意味ではなく、考えが足りないという意味ですよ。そうでない冒険者を私はたくさん知ってます。
口から言葉を出す前にきちんと頭で考えてから話をして下さいませんか?
正直、そういう人と話すのは疲れるんですよね。」
一気に言い放ってみた。どう出るのかな?
相手は顔を真っ赤にしていきり立つ。
「ああ?!誰に物を言ってやがる!!」
「貴方以外に私に話しかけた人はいませんよ。貴方に言ったに決まってるじゃないですか。
だから考えて話をしなさいと言っているんです。
はぁ…、これだから疲れるんです。」
相手に話す隙を与えず言い募る。
「まず、相手に話しかける時は喧嘩腰は止めなさい。そしてむやみに喧嘩を売らない。
これは世間一般では子供にも出来る当たり前の事です。常識ですよ。
さらに、僕が高ランク冒険者の腰巾着ですか?ランク上げをしてもらっていると?
何処からそんな話が出たのですか?
貴方は真実を見たのですか?
私がランク上げに彼等を使っている所を…?
彼等も馬鹿にされたものですねぇ。
ねぇ、私は貴方が心配ですよ。
真実を見極められない者は早々に死んでしまいますよ?それが冒険者と言うものなんでしょう?
次貴方と顔を合わせる事が出来るんでしょうかね?
ねぇ、おバカで浅はかな冒険者さん。」
僕は一歩一歩その冒険者に威圧を込めて近付く。
僕の怒りを感じた精霊さん達も、一緒に威圧する。
皆の前で絡まれたんだ。折角楽しかったのに…!
八つ当たりも込めて圧を強める。絶対逃すものか。
青褪め硬直しているその冒険者の耳元で囁く。
「ねぇ、私は舐められるのが嫌いなんだ。そして、貴方にとって残念な事に私は社会的に人を抹殺する方法を知っている。
貴方が絡んだ人がそういう事が出来る人かもしれないって想像出来てた?」
大切な事を1つ。僕は決して抹殺するとは言ってないよ。出来る人がいるかも知れないから絡まない方が良いよって忠告してあげてるんだ。
ほら、前にも僕を貴族だと思って絡んできた人がいたじゃない?
貴族に絡んだら危ないよ。殺されちゃうよ。
何しろ僕はこの国の1位2位の権力を持つ人達に媚びと恩を売っているんだから。
だからこれは僕なりの親切心なのです。




