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もふもふは正義。


 先程までとはうって変わって朗らかにお茶会は進んでいく。

すると、侍従さんが近寄ってきて陛下の耳元でゴニョゴニョ。

陛下が頷き、暫くすると1人の大柄な男性と、まだ小さい男の子が部屋へ通された。


「スピール公爵家当主、クレイス・スピール。共に嫡男、アレクサンダー・スピール、陛下の御前に罷り越しました。」


わぁ〜!格好いい!!ビシッとしてるぅ!

あれ?スピール公爵家って、アミンの森の管理者?

じゃあ、この子は次期当主?


ロバート様を見るとわずかに頷く。


そっかぁ…。ギルとウィル君と一緒に次代の瘴気の森の問題に取り組む子かぁ。

アレクサンダー君はギルよりも小さく8歳。

こんなに小さい頃から責任を持たせられるんだなぁ…。

アレクサンダー君の目には幼いながらも覚悟があった。


 この子の目が曇りませんように。この子の覚悟を守れますように…。


僕は瘴気の森の浄化を改めて心に刻んだ。



 ロバート様が僕達を紹介してくれた。クレイス様はロバート様の学生時代の同期なんだって。

僕達に見せる顔とは違う顔で笑ってた。


 クレイス様の管理している森も魔獣被害が著しく騎士団が崩壊寸前で苦労しているらしい。

アレク君も暗い顔をしている。


 大人達は久しぶりに顔を合わせたので報告やら何やらがあるので、僕達子供組はお庭でお話する事にした。


 アレク君からアミンの森の現状を聞き心が痛んた。

終わらない討伐。途切れない怪我人。先の見えない未来に心が折れる人や病む人もいる。

アレク君の母上もその1人。心が折れて実家へ帰ってしまったと…。

こんなに小さなアレク君を残して?!

驚きと憤慨と小さなアレク君への憐憫に気持ちがぐちゃぐちゃだ…。


それでも残っている人達で何とか維持しているとか…。

アレク君は我慢出来なくなったのか、ポロポロと涙を落とす。

その目には諦めがあり、暗い。


 その時頭上に影がでた。

「まだか?!待ちくたびれておるんだが…。」

ハクエンだった。

シロガネを咥えて飛んできたらしい。


「……。…えっ??」

アレク君の涙が止まる。

ビックリするよね。ごめんね。


「ハクエン、ごめんね。陛下達もう少しかかるみたい。」

ハクエンに謝るも周りがザワザワザ騒がしい。

ギルが、

「兄上まずいかも…。衛兵がこっちに来た!」

あぁ…、確かにまずいね。不法侵入だもんね。しかも陛下の居る所に。怒られるかなぁ…。


「止まれ!そこの獣はお前が手引きしたものか!

陛下を害する狼藉者か!」

あわわ…!ごめんで許してくれるかなぁ…。


ハクエンの前に立ち、

「申し訳ございません。この者は我が友でございます。陛下への目通りも伝えてございます。いきなりの飛来で皆様方を驚かせてしまい失礼しました。ですが、この者たちに害意はありません。」

ニコ。

通じますように…。


剣を下ろすべきか、警戒を続けるべきか衛兵達が迷っている。膠着状態だったが、ロバート様が来てくれた。

「おぉ!ハクエン殿。お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。陛下もお会いしたいと首を長くしてお待ちしておりました。」

ロバート様の言葉を聞いて衛兵さん達が剣を下ろす。

はぁ〜、良かったぁ〜。



陛下達、クレイス様が庭へ来て、ハクエンを見て唖然としている。


分かる分かる〜。ハクエンは大きくて白くてフサフサで格好いいよね!!


僕はハクエンを紹介する。

「陛下、聖獣のハクエン。その仔のシロガネと申します。以後お見知りおきを。

今回、ハクエンより陛下にお話がありましてご紹介いたします。。」

シロガネはトコトコ僕の所へ走り寄る。

「ねぇ~!アル、何か美味しい物食べたでしょう!僕も食べたい!!精霊達に自慢された!ずるい!」


ええ〜、君達自慢したの?

まあ確かに美味しかったしね。

「後で頼んでみるね。」

もふもふしながらシロガネと話していると、アレク君と目が合う。

ははぁん…、シロガネを仲良くなりたいんだな?

分かるよ分かるよ!シロガネ、可愛いもんね!!


アレク君を手招きすると、恐る恐る僕の近くへ。

「触ってみる?シロガネもいい?」

シロガネは了承。アレク君がそろそろと手を伸ばしシロガネに触る。

「っ!ふわふわ!!」

満面の笑みで僕を見る。

シロガネも満更ではなさそうにわしゃわしゃされている。その目にはもう涙も悲壮な決意も見当たらない。


 やっぱいアニマルセラピーって凄いね!!

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