誤魔化したほうが良い。
血の描写があります。
レッドサーペントの巣の目撃情報があった場所に着いた。
シンさんが斥候役として先に森へ入っていく。
他のメンバーは戦いに備えて武器や防具の確認をしている。
皆さんの緊張感が高まっているのを肌で感じる。
その間にシロガネを起こすも、
「まだ眠い〜…。」
と、目が開かないようだ。
エルさんがシロガネにメロメロになっている。
分かる〜。可愛いよね。
意外なのが、カイさん。
遠くで手をワキワキさせてた。可愛いのが好きなのかな?
シロガネが起きない。仕方ない…。
シロガネが目を覚ますまで、僕が身体強化して抱っこして移動しよう。
抱っこ紐も持ってきたしね。
シロガネを抱っこする僕を皆さんが見る。
「ア…アル君?大丈夫なのかい?」
「はい。もう少ししたら起きると思うので、すみません。」
皆さんに迷惑かけないようにしないと。
「いや…、アル君、動けるの?」
「大丈夫ですよ。それに僕、結界張ってるので魔獣は近寄れません。」
斥候から戻ったシンさんが僕を2度見する。
すみません。シロガネはまだ子供なんです。
巣を見つけたようだ。
では、行きましょう!!
ワクワクしながら後に続く。
漆黒の風のメンバーは、ダンさん、カイさんが接近戦で、シンさんは斥候役と飛び道具での遠距離、エルさんが、魔法での後方支援。
バランスの取れたパーティーなんだそうだ。
ラス君とメルちゃんが
楽しそうに遊んでいたが、僕の近くに来てくれる。
「僕が居るから心配ないよ!」
「私が燃やし尽くしてあげるから!」
ダンさんから、初めての共闘の際は、お互いの戦闘体制を共有しないと連携が取れないからある程度、情報共有するように教えられたので、僕はラス君とメルちゃんの紹介をする。
「風の精霊のラス君。火の精霊のメルちゃんです。2人とも殺る気マンマンです。
寝ているのがシロガネ。起きれば魔法で討伐に参加します。
僕は主に魔法を使いますが、剣を使った接近戦も出来ます。
こうゆう時の動き方を僕は知りません。
ご迷惑おかけしないようにしますが、何か気付いた事がありましたらご指導よろしくお願いします。」
挨拶する。いざ!!
…、いや…、今日の僕は人との連携を学ぶつもりだった。
でもラス君とメルちゃんが……、殺る気マンマンすぎて、他の人が手を出す間がなかった…。
ラス君はこの前のように、首を一撃でスパッだし、メルちゃんは跡形もなく燃やす。
「メルちゃん、魔獣はお金になるからなるべく燃やさないで欲しいな。」
「ええ〜!燃やしちゃった方がスッキリするのに〜!」
メルちゃんにも首をスパッ…の方向性でお願いする。
僕達人間が手を出すタイミングがないまま、シロガネが目を覚ました。
「なんで?!なんでもうやってるの!
アル!アル!降ろして!僕もやる!!」
ジタバタするシロガネを降ろし、シロガネも参戦する。
シロガネも魔法と爪でレッドサーペントを切り裂く。
何となく大丈夫な気がして、僕は結界を周囲に張り、イスとテーブルを出してお茶の用意をする。
「楽しそうにしてるし、僕達は座って待ちましょう。」
皆さんにお茶と軽食を出し、テーブルの上に彩りをと、お花を飾る。
皆さんが信じられないものを見る目で僕を見る。
「?? 立って待つより座った方が楽だと思ったんですが…?」
皆さんが席に着いたので、ラス君メルちゃんシロガネの奮闘を見ながらお茶をする。
今日の軽食はサンドウィッチです。ルイが愛情込めて作ってくれました。えへ。
食べ終わった辺りに皆が戻って来た。
「あ〜!何食べてるの?僕も〜!」
シロガネが言うので、シロガネ用のお水とサンドウィッチを、あげる。
ラス君にはジャムの乗ったクッキー、メルちゃんには赤いーちごのジャムをお皿に載せてあげた。
「みんな、ありがとね〜。ケガはない?」
「「「ない!!」」」
良かった。皆楽しそうだった。
さて、僕はいつもの様に回収でもするかな…。
結界を出て、収納袋を片手にレッドサーペントをひょいひょいと回収していく。
唖然としている漆黒の風の皆さんがハッとして手伝ってくれる。
粗方回収は終わったけど、辺り一面血の海だ。臭いも酷い。
僕は水の魔法で周囲に雨を降らし、血を洗い流す。
更に、風の魔法で臭いをちらす。
これで大丈夫かな?
後ろを向くとダンさんが頭を抱えていた。
「…ねえ、アル君。いつもこんな感じかい?」
「その時々ですけど、皆楽しそうに殺るので、僕はだいたい回収係です。」
ダンさんがメンバーさんの方を見る。
他のメンバーさんも頭を抱えている。
「ねえ、俺、何を教えればいい?」
「……」
皆、無言…。
僕の動き方何か悪かった?
サンドウィッチを食べたシロガネがまた、ウトウト。
頑張ったもんね。
また抱っこ紐で帰ろうと思った時、頭上に大きな影がかかる。
漆黒の風の皆さんが戦闘態勢をとる。
あっ!ハクエンだ!
「ハクエン!シロガネを迎えに来てくれたの?
皆さん、こちら、ハクエンです。シロガネのお母さんです。」
紹介する。
「あぁ、初めての遠出でこうなると思ったからな。シロガネは我が連れて帰る。そこの者達も迷惑かけたな。
アル、気を付けて帰って来い。」
シロガネを咥えて飛び立つ。
「えぇ…、あれ…、魔獣じゃないよね…?
聖獣…??」
「まさか…。」
「ア…アル君、あれは一体…?」
「…シロガネのお母さんです。」
ニコ。
聖獣とかは誤魔化した方がいいんだろうな…。
思ったより早く解散し、家に帰った僕はルイとジルに今日の話をたくさんした。
楽しかったぁ!!




