僕、尊いんだって!
「バトじい〜!おはよう!今日も暑くなりそうだねぇ。バトじい体に気をつけてね。今日はこのナースを収穫するんだね?」
昨日、スキルの確認をしてから体が軽いんだ!
やり直してから、多分ずっと不安と緊張があったんだと思う。それがあれを見てちょっと今後の不安が薄くなったかな…?
と、言う事で今日も1日勉強頑張るぞ!!
ジルとの勉強をスキル向上の時間にする事をジルと決めた。
でもまだまだジルには教えてもらうことがたくさんあるから早くスキルを使いこなせるようにならなくちゃ…。
再び"キャンピングカー"を出して中に入ってみる。
ソファの前のテーブルの上に何かある?黒い板?なんだろこれ…?
色々触っているといきなり黒い板が光った!!
「びっくりした〜!何?これ…。ん? [スキル"キャンピングカー"についての使用説明書] だって?」
ふむふむ……
取り敢えず書き出していくと、
① "キャンピングカー" (もう面倒くさいのでカ ーにしよう) は、移動式住居である。
② カーはレベルにより設備、広さ等進化する。
③ カーを出している時間が長い程、レベルが上 がりやすい。
④ カーのエネルギー源は大気中の瘴気である。その為、その土地の瘴気が薄れると、取り込む量が少なくなります。逆に瘴気の濃い所へ行くと、どんどん溜まる。
(注釈) 瘴気は魔獣を発生させたりするので出来るだけ色々な所に行って浄化してね。
⑤ 瘴気を取り込んだ分はカーを動かす原動力にもなるが、カーの中で使えるお金にもなる。
そのお金でカーの設備を整えたり、食事を買うことが出来る。
⑥ 現在のスキルLvが表示出来る。
と言う事で、現在のLvがこちらである。
スキル : キャンピングカー
Lv ︰ 1
内包魔力: 1
貯蓄額 ︰ 1ベル
設備 : 初期設備のみ
所有者 ︰ アルバート・ストロイエ (7歳 )
HP︰260 MP︰3800
魔法属性︰水Lv2 火Lv2
風Lv1 土Lv3
光Lv1 闇Lv3
称号︰賢者
………どうしよう……え…えぇ…1人じゃ処理しきれない…
「ジル〜!!ジル〜!!」
困った時のジル!こんな時こそジル!助けて!ジル!!
僕は1人で抱えられずジルをこの意味不明な称号 に巻き込む事にした。
ゴメンね。ジル…。
……結果、ジル。大喜び。
「さすがアル様でございます。この賢者とは女性ならば、聖女。男性ならば、賢者と呼ばれ、瘴気を浄化出来る方の事を言うのです。
さすがアル様。この度の不可思議な巻き戻りも世界がアル様を必要とされていたからでしょう!
さすがアル様でございます!!」
……ジルも混乱してない?
さすがアル様って3回も言ってたよ。
瞳孔も開いちゃってるしちょっと怖いかも…でもおかげで落ち着いてきた。僕より混乱してる人をみたからかなぁ…。
少しして僕の涙目に気がついたのか、
「コホン…んん…さて、この度はおめでとうございます。
これ程の称号であれば、このストロイエ侯爵家に残り、次期当主を望むことも出来ますが、どうなさいますか?」
ジルが確認してくれる。ジルはいつも僕の意思を優先してくれる。さすが!ジル!!
「当初の予定通り、この家は出るよ。
あの人達に会いたくもないし、僕のスキルを知ったら利用しようとするんじゃないかな?
あいつらの良い様には使われたくない!」
「さすがアル様。分かりました。ではこのまま当初の予定通りこの家を出ましょう。
アル様の好きに生きて良いのです。
賢者として、瘴気を浄化しながら世界を回っても良いですし、そんな事気にせず、好きな所へ行き、好きなものを好きな人と食べる。
そんな自由もあるのです。アル様は自由に好きな道を選んで頂きたい。」
そうか…生きていくことしか考えてなかったけど、このカーがあれば生きていく幅が広がるのか…
そしてまだジル、混乱してる?さすがに、さすがさすが言い過ぎじゃない?
「うん。ありがとう、ジル。
僕は好きな所へ行って好きな様に生きるよ。
正直言って、賢者って言われても全然ピンとこないんだ。
賢者として生きなくても、ジルは僕の事を軽蔑しない?」
ジルはびっくりした顔をしてた。
賢者として生きないって言ったから?がっかりした?
ジルの顔を見れなくて、下を向いた。
「アル様。私はアル様を軽蔑等いたしません。
いつだって私の自慢のアル様です。
アル様の好きにして良いのです。
賢者であろうが、なかろうが、アル様が尊い事に変わりはありません!」
……やっぱりジル混乱してる?涙も引っ込んだ…。
でも嬉しい…ジワジワと、ジルの言葉が心に染み込んできた…。
僕!尊いんだって!!!