脳筋かもしれない…。
皆驚きすぎて、誰一人言葉を発しない。
でも僕はこの後遊ぶ為に、淡々と次の作業をする。まず、コテージ周囲20mを結界を施し、魔獣対策をする。
次にコテージの中へ。
どうしようかなぁ…。
僕、公爵家の方々の使うお家の事なんて分からないよ。内装やレイアウトは家令さんに任せよう。この別荘は公爵家管理になるんだしね。
家令さ〜ん!家令さ〜ん!
そろそろ正気に戻ってぇ!!
僕は黒い板をそっと家令さんの手に押し付ける。
家令さんは呆然と手の中の黒い板を見て、僕を見る。
僕は貴族的微笑み。ニコ。
美的センスに自信がない。丸投げだ。
家令さんは頷き、猛然とレイアウトし始める。壁がど〜んと出て、仕切りができる。みるみる内にキッチンや浴室、お手洗いが出来始める。
壁紙も、カーペットもセンスいい!
重厚で、でも重すぎない。ギラギラせず、でも品が良い。
流石だね。
各部屋の内装を整え、バルコニーまで終わった所で、僕の出番。
まずは別荘がいつでもキレイに保たれるように、保全、防汚、空気清浄、空調管理の魔法陣を付与。
また、今後瘴気が薄くなり別荘の設備が滞る事が無いように、太陽光発電と蓄電池を付ける。
また、ロバート様と事前に決めていた事。
この別荘はサンガリア公爵家の血縁者のみが使用、管理出来るようにした。
中に入れるのは、血縁者とその方が認めた者のみ。(従者とか)
血縁者にはあらかじめリングを着けて貰い、そのリングに魔力を通して別荘内へ転移してもらう事に。
でも、その周りにセーフティゾーンを設けることにした。そこは誰でも出入り自由だ。
コテージ周辺が第1の結界。その周囲20mを第2の結界…、みたいにね。
第2の結界の境が分かるように、レンガをこれまた家令さんがセンス良く並べてくれる。
さすがぁ〜!!
どうかな?これでやってみて不具合が出る時は要改善だ。
そわそわ…。そろそろ遊べるかな?
ジルをチラッと見ると頷いてくれた。
やったぁ!!
「皆様方、そろそろお昼に致しませんか?」
ジルが声をかけてくれる。カーの中にお昼を用意してくれていた。
僕の執事も気が利くてしょう?
負けてないでしょう?ジルも凄いんだから!!
お昼を食べた後、少し別荘を使いながら様子を見る事を提案する。
その間、僕達子供組は遊ぼう!と企んでいる僕です。
ロバート様からお許しが出たから、皆で遊ぶことにした。
「何して遊ぶ?」
僕が尋ねると、皆
「「「魔獣討伐!!」」」
深部の魔獣は強さが違った。全然歯が立たない。
僕達が手こずっているのを見て、ロバート様と騎士さんが参戦した。
騎士さんは騎士団長さんだった。
2人は凄かった。バシュッバシュッと魔法を飛ばし、魔獣を討伐していく。
ギルとウィル君とシロガネが教えを受け、魔法の精度を上げている。
「風の刃を細く、強度を上げてタイミングを合わせて首を刎ねるんですよ。」
だって…。
僕?僕はいつもの様に回収係だよ…。
少しして、休憩。
僕は湖の方へ。実は黒い板で見つけたんだ。
釣り竿を。
水辺にイスを出して、釣り竿を投げてみる。
「っっ」
何で直ぐにかかるの?少しまったりさせてよ!!
ここの魔獣達、”待て“が出来ないの?
待ち構えていたかのように食い付いかれた!
グイッと体が持っていかれる!ヤバい!!
竿を離す?いや、もう少し踏ん張ってみる?
と思案していると、ズルズルと水辺へと引き寄せらせていく。
いきなり体が支えられた。
騎士団長さんが僕に気付いて助けに来てくれた。
団長さんに竿を渡すと、団長さんと魔魚の一騎打ちが始まる。団長さんの腕が大きくなり、竿も大きくしなる。
気付いた皆がこちらへやって来た。
皆の声援を受けて団長さんが格闘する。
「うぉぉぉ!!うなれ!俺の〜上腕二頭筋!!」
団長さんが謎の雄叫びをあげて、遂に釣り上げる!!
わぁ!!と歓声が上がり団長さんが勝利した!
魔魚はカーと同じ位の大きさだった。
凄いね!こんなのに勝てるなんて!
食べられないけど、貴重な素材かもしれないから、これも回収。
ちなみに僕は、怒られた。
1人でやるなって。誰かに一言、言いなさいって。
反省。
団長さん、気付いてくれてありがとうね!
うなれ!俺の上腕二頭筋!
もしかしたら、団長さんは脳筋かも知れない…。




