ビックリ!
カーの移動位置を指定して、自動運転に。
後は遊べるぞ!って思ってワクワクしてたんだけど、ロバート様とウィル君がカーの前方へ移動する。
今まで魔獣により、深く森の中へ入る事が出来なかったんだって。だから今回、森の植生観察や起伏等の地形観察、魔獣の種類の把握などやりたい事がたくさんあるらしい。
カーの前方を照らす灯りがあるから、ある程度見えるそうだ。
公爵家の方々が何を見て記録に残しているのかを次期当主として勉強になるだろうから見ておくようにロバート様から言われて、ギルも前方へ行ってしまった…。
しょんぼり…。皆で遊べると思ったんだけどなぁ…。
でもお仕事だもん。仕方ないよね。
僕とシロガネはちょっとお暇…。もうおフロ入ろうかなぁ…。
「ロバート様、お仕事はまだかかりそうですか?宜しければ入浴出来るよう整えておりますのでご利用ください。」
先におフロ入りますとは言えない。
貴族的に遠回しに「おフロ先にどうぞ」を引き出す為に声をかける。
公爵家の面々が振り返り、ギョッとする。
「入浴?浴室があるのか?」
「…? あぁ、そうでした。まだ案内しておりませんでした。手が空きましたらカーの中を案内させて頂きます。」
記録を取っている騎士さんを残し、ロバート様と家令さんを案内する。
僕のこだわりはおフロとトイレだよ。見ておどろいてね!
僕の期待通り、とっても驚いてくれた。えへ。
ロバート様用に整えた部屋と続き部屋へ案内。
2人とも遠い目をして無言だった。何か言ってくれていいよ?僕頑張ったんだよ?
僕の微妙な顔を見て察したウィル君が上擦った声で
「わぁ〜、すごい!!」
…なんか違う…。
呆然としている2人を放って、ウィル君が先におフロどうぞを言ってくれた。
やった!
僕とシロガネはいそいそとおフロへ。
2人でゆっくりおフロに入り、シロガネを泡でモコモコにして洗う。シロガネも気持ちよさそうです。僕とシロガネにドライをかけて、次に入る人の為に浴室にクリーンをかけておく。
ソファに座って水分補給。まだ皆頑張ってる。
真面目だなぁ。
ギルはチラチラと僕を見るけど、ロバート様から教わる事を疎かを出来ない為、僕と遊んでる暇は無さそう…。
残念。明日に希望を残そう。
僕とシロガネは先にロフトへ上り、ベッドに横になる。シロガネを抱きしめる。ふわふわで気持ち良い…。目を閉じる。お休み。
すやぁ。
朝起きると、ギルとウィル君もベッドで寝てた。
遅くまで頑張ってたのかな?いつ来たのか、全然分からなかった。
1人でロフトを降りるとジルがすでに起きていた。
「ジル、おはよう。ちゃんと寝た?」
「アル様、おはようございます。大丈夫でございますよ」
声を潜めて挨拶する。
前方の騎士さんが1人地図に色々書き込んでいる。
「騎士様、おはようございます。少しは寝れましたか?」
「アル様、おはようございます。いえ、全く眠くなりません。こんなに深く森に入った事がないので新発見ばかりで眠ってなどおられません。」
バッキバキの目をした騎士さんが笑顔で答える。
…うん、怖い…。
朝のお茶を飲んでいると、ロバート様が起きてきた。
「ロバート様、おはようございます。」
「あぁ、アル君おはよう。いや、凄いな、君のスキルは。昨日おフロも頂いたよ。まさかモートンの森の中で入浴出来るとは思ってもみなかったよ。」
あっ!おフロ入ってくれたんだ。良かった!僕の自信作だからね!
ギル、ウィル君、シロガネが起きてきた頃、カーは目的地へ着いたようだ。
外へ出てみると、やはりここの瘴気も凄そうだ。
公爵家の面々の顔が青褪めている。
大丈夫だよ。カーの周りには結界があるからね!
薄暗い森の中、何処に別荘を建てるかロバート様と相談。木が乱立していて、なかなか建てられそうな所が見当たらない。
黒い板で何かないか探すと、“整地”というのがあった。
これ、使えるよね?
折角だから見晴らしの良さそうな所。ここは?
目の前に湖があるし、きっと素敵だと思う。
ただ、今は水がドロドロ濁ってるし、水の中て居る魔獣同士が闘っていて殺伐としてるし、めちゃくちゃ安らがない感じだけど…。
黒い板の地図で位置を決めて、20m四方を整地。ポチッ。
目の前の木々が消え、整地された土地が現れる。
そして、別荘の選択をする。
別荘(小)がログハウス、別荘(中)がコテージ状の建物、別荘(大)が城…。
待って…、城って…。中と大の間にもう少し選択肢があってしかるべきじゃない?
ロバート様と相談、コテージを、選択。
ポチッ。
ボンッと、コテージ状の建物が建った。
僕含め、誰も口を開かなかった…。
僕もビックリしたんだよ!
 




