皆と一緒だと楽しい!
カーをモートンの森に移動させて、3ヶ月経った。
ギルが僕の所へ来て、お友達のウィル君にも森を見せてあげたいと相談してきた。
ウィル君のお家、モートンの森の被害が酷すぎて大変な事になっているんだって。
公爵家騎士団もケガ人が多くなり、かなり疲弊しているらしい。
だから、少しでも浄化出来ている所を見れば、安心するし、もう少し堪らえようって思えるんじゃないかって…。
ギルは友達想いの優しい子だねぇ。
う〜ん…。でもウィル君に僕のスキル見せて大丈夫かなぁ…。
ジルに相談すると、サンガリア公爵家当主(ウィリ君のお父上ね)は義理堅く立派な方らしいので、何かあった時には僕の後ろ盾となってくれるのではないか…って。ジルからは前向きな返答。
ギルに、ウィル君に公爵様には話してもいいけど出来るだけ他言無用ならば…って伝えてもらった。
ウィル君からも公爵様からも了承を得たので1週間後、ウィル君を連れてモートンの森に行く事になった。
「アルフォンス様、此度は当家の我儘をお聞き入れ下さり、真にありがとうございます。サンガリア公爵家当主より心より感謝をとの言葉を預かって参りました。」
「……ウィル君?どうしたの…?いつもと口調が違うよ?」
ウィル君がおかしくなった!!
「申し訳ございません。以前の物を知らない私をお許し下さい。アルフォンス様は当家の為に瘴気を浄化下さる尊きお方。父からも、くれぐれも失礼のないようにと申し付けられておりますゆえ。」
「何を言ってるの?いつも通りで良いよ。
君は私の可愛い可愛い弟の親友の可愛いウィル君だよ。ウィル君の為になる事がギルのためになりギルが喜んでくれるなら僕も嬉しいよ。
だからこれは僕の為だよ。
さぁ、ウィル君。いつも通り僕を呼んでね。」
ウィル君は呆然とした顔をして、
「アル君はそれでいいのですか?
アル君は賢者と呼ばれる方だと聞きました。」
「いいの!僕は何も凄くないよ。凄いのはスキルだもん!
さぁ!早速行こう!!」
シロガネも一緒に遊びに行きたいと言うので、僕、ギル、ウィル君、シロガネ、ジルでカーに転移する。
カーの外に出ると以前より少し浄化され、明るくなっているがまだまだのようだ。
せっかくだから皆で魔獣討伐しながら魔法の練習をする事にした。
ギルとウィル君は最初戸惑ってたけど、カーの中が安全だと分かると、色々な魔法を試していた。
この魔獣は何の魔法が効果的なのか、どの位の威力が必要なのか、経験しないと分からないことはたくさんあるからね。
2人が倒した魔獣を収納袋に入れる。これは2人のお小遣いにする予定。
シロガネも着々と力を付けてきている。
僕は皆が倒した魔獣を、回収する為に走り回っていた。はぁ…、疲れた…。
「皆様方、一度休憩に致しませんか?」
ジルがお茶を淹れてくれた。そういえば喉が渇いたなぁ…。
カーの中に入り、お茶の時間。
「アル君、スゴイね!こんな風に魔獣討伐の経験が出来るなんて!
騎士団の皆は体を張って討伐してくれているのを考えると申し訳ないけど、けがの心配をせず、色々と試せるのは正直ありがたい。」
「いいんだよ、ウィル君。君はまだ子供だよ。
そして嫡男だ。安全な所にいるのは当然だ。」
このモートンの森はホーエンの森よりも広い。ホーエンの森ですら浄化に5年もかかったんだ。モートンの森が浄化されるまでどの位かかるんだろう…。それまでウィル君のお家は大変な事が続くんだろうな…。
何か良い方法はないかなぁ?
ジルに相談すると、カーを公爵邸の近くに設置してはどうかと提案された。
そうか…、それならば、公爵邸近くに魔獣の出る確率は少なくなる。
その後、浄化の状況を見ながらカーを森の深部へと移動させながら設置すれば、被害が少なくて済むのかな?
黒い板で地図を出し、サーチしてみる。
うん。やはりこの周辺しか、浄化されていない。
ウィル君にジルの案を相談してみる。
ウィル君は嬉しそうに、「そうしてもらえるとありがたい。」と。
小さい頃から、騎士団の皆に可愛がってもらってたから、騎士団の人達がどんどんケガをして動けなくなっていくのを見ているのが、とても辛かったんだって。
ウィル君が、泣き笑いしながら言う。
では移動しよう。
ウィル君と設置場所を決めて、自動運転。
さぁ、ひと休みしよう。疲れたでしょう?
皆でロフトに上がって、大きなベッドに横になる。
大きなベッドにして良かったぁ〜。ぐぅ…。
ジルに起こされた。
「坊ちゃま方、カーの移動が終わりましたよ。」
目が覚めるともう夕方になっていた。
僕の家に転移。
公爵様にカーの設置した場所を伝えて貰うよう話しして、今日は解散となった。
皆と一緒にいれて、今日は楽しかったぁ!!