世間知らずだからよろしくね。
ギルマスは、なかなか納得してくれなかったけど、僕がひたすら”薬草採取が好きだから。““家の周りには魔獣がいっぱい居るから練習で討伐した。”“袋は家にあった”と、繰り返した。
もう暗くなってきた。ジルが心配しちゃう…。
コンコンコン…。扉がノックされた。
扉が開くとそこにはジルが居た。
「??」
「アル様。お迎えに参りました。」
そして、ギルマスに顔を向けて、凍える程冷たい声で、
「どのようなおつもりで?子供1人を大人2人がかりで寄って集ってこんな遅くまで拘束して。
あぁ!お可哀想なアル様。ご安心下さい。もう大丈夫ですよ。このジルがおりますからね。」
そこからはジルの独壇場だった。
ギルマスもおじちゃんも“あぁ、”とか“うぅ…”
位しか声を発していない。
ジル…、すごいなぁ…。
結果的に僕はこうゆう者だと受け入れてもらった。
さすが!ジル!
目立たない為にいくつか約束事をした。
収納袋は他の人に見られないように、解体場でこっそりと出す。ランクに合わない魔獣もこっそり出す。
で、納得してもらった。
凄いね。さすがジル!頼りになるぅ!
僕もこうゆう事を1人で出来るように頑張らなきゃね。
下に行き、こっそり魔獣を出す。
おじちゃんの他、筋肉もりもりのおじちゃん達も
「おぉ!!」
と、どよめく。
「アル坊、さっきはすまんかったな。
しかし、こんなに凄い魔獣を出してくれて感謝する。凄い素材だっ!!
悪いが数が数だ。明後日までに解体しておくが、すべて買い取りでいいか?」
使い道も分からないし、すべて買い取りしてもらう事にした。
さぁ、ジル、帰ろう。
2日後、僕はギルドに来た。
ジルが心配してたけど、1人でやっていかなきゃね。
おじちゃんが僕に気付いて、
「アル坊、悪いがまた上に来れるか?」
「えぇ…。」
上には悪い印象しかない…。行きたくない…。
「大丈夫だから心配するな。もう困らせねぇよ。」
ギルマスの部屋へ行くと、前回の謝罪があった。
そして、希少な魔獣の為、買い取り額がかなり高額になる為にここでの取引になったそうだ。
でもまだまだ僕の収納袋には魔獣が入ってる。
これも買い取りしてもらいたいんだよね…。どうしよう…。今回を機に全部やってもらおうかな…。
「あの…」
「ん?なんだ?」
「…あの…… 他のもやって貰えますか?」
「……まだあるのか…?」
ギルマス達は僕を呆然と見た…。
結局僕は収納袋を預ける事にした。
中には魔獣しか入れてないから、陣の使用者制限を解除してそのまま、”はい。“って…。
取りあえずゆっくりやってもらっていいので、1ヶ月後に取りに行くことにした。
袋はまたまだあるしね。
はぁ〜、軽くなったぁ!(心が…)
1ヶ月間は今まで通り、バトじいの
お手伝いをしたり、ギルとシロガネと遊んだり、勉強したり…といつも通り過ごした。
カーも見に行ったけどまだまだ浄化されていない。
時間かかるね…。でもいいよ。凄い色々貯まってたから!うしし。
1ヶ月後、ギルドに行くと、またギルマスの部屋へ。
まず収納袋を返された。そして提示された金額が凄かった。
”やったぁ〜!今日はこれでギルとシロガネや3人にお土産買って帰ろう!!“
「いや〜、この袋はすごいな!
あんなに魔獣が入ってると思わなかったぞ。
しかし、これからは溜めずにちょこちょこ出してくれ。肉とか血液とかの素材は悪くなるのが早いから、時間との勝負なんだ!他の客にさばくのが大変なんだ。それに一気に素材が出ると値崩れを起こすしな!」
と。
なるほど…………実はこの1ヶ月でモートンの森で討伐した魔獣を他の収納袋に入れている…。あれはどうしよう……。
う〜ん……僕はギルマスと交渉する事にした。
「実はこの1ヶ月でまた魔獣を討伐しまして……。
この収納袋を売ります。時間停止機能もあるので、それに保管しておけば悪くならないですよね?
なのでまた買い取って下さい。」
「……。」
無言。
「ねぇ…ギルマス?聞こえなかった?」
「……いやいや!あれは貴重な物だぞ!!
それを簡単にあげるとか…!!あり得ないぞ!!
いや!欲しいけど!!金が足りねぇ!破産する!
待て!!分割でもいいか?」
あれ、僕が作ったから元手は袋代だけなんだよね…。
僕はジルを思い出した。ジルはこうゆう交渉が上手い。ジルになったつもりで、ギルマスと交渉する。
結果、安く収納袋を売る事、その代わり何かあった時はギルドで僕を保護する事を条件とした。
僕、世間知らずだから何かしらやらかすと思うんだよねぇ…。