僕の事情
初投稿です。お見苦しい所もあると思いますが温かい目で見てやって下さい。
9/27 間違いがあり、修正しました。妹ではなく、弟です。
僕は生きて幸せになるんだ!!
「バトじい〜!トーマトが良い具合だよ!もう収穫してもいい?」
アルバート・ストロイエ、8才の朝は元気に野菜の収穫からはじまる。
「アルぼっちゃま、朝食の準備が出来ましたよ」
「はぁい、ありがとうルイ!すぐ行く!」
「バトじい、薬草摘みはまた夕方?」
「そうですなぁ。ではそれまではアル坊はしっかり勉強なさって下さい。」
アルはメイドのルイの手を取り屋敷へと入って行った。
「ではアルぼっちゃま、身支度はお一人で出来ますか?」
「まかせて!最近はジルにも直されないんだよ。」
「ではジル様、アルぼっちゃまをお願いします。」
「はい、アル様、自室へ参りましょう。」
アルバートはこう見えてストロイエ侯爵家の嫡男だ。
ただ普通の侯爵家嫡男は野菜の収穫も一人での着替えもしない。もう一つ普通じゃないのが、僕には一度死んだ記憶がある事だ。
アルバート、アルは黒髪黒目の両親どちらとも似ていない。
父はステファン・ストロイエ。28歳。銀髪琥珀色の目をしたストロイエ侯爵家当主だ。母はマリア・ストロイエ。26歳。金髪碧眼なストロイエ侯爵婦人。
アルが生まれた時父や親戚から浮気を疑われ大変だったようだ。
その後魔力鑑定で血縁関係が認められたが、そのせいで父から疎まれている。
母は顔を見るのも嫌なようだ。
生まれた直後から乳母執事メイドな庭師を付けられ別邸で暮らしている。
死ぬ前の僕は嫌われている事実を受け入れられなくて父が、母が「ごめんね」と言って迎えに来てくれるのをずっと待っていた。
6歳の時のスキル判定の時も付き添いは執事のジルだった。
その時のスキル"キャンピングカー"という未知のスキルを授かっても僕には会いに来てくれなかった。
16歳のある日急に両親に本邸へと呼ばれた僕を待っていたのは、弟(初めて存在を知った)の殺害未遂と、婚約者(初めて存在を知った)による弟へのイジメの告発による追放だった。
僕はそんな事していないと言ったが母は僕を見るのも嫌なのか顔を背けたまま、早く出ていけと、父からは、役立たず!さっさと死ねば良かったのにと僕を一瞥し、僕は一人部屋に残された。
それからは早かった。
僕はそのまま馬車に乗せられ町へと放り出された。僕は何が何だか訳が分からずしばらく立ちつくしていたが、訳ありだと思われ、人相の悪い男達に路地へと連れて行かれ殴られ、金目の物を取られ放置された。夜になり、倒れた僕をジルが見つけてくれて宿を取ってくれた。
「アル様。このジルがこの先一緒に居ります。屋敷の執事の職を辞するまでこの宿へ居て下さい。必ず迎えに参ります。この町を出てどこかで暮らしましょう。」
ジルは僕が一人で平民に混じって生活できないと思い、一緒に居てくれると言ってくれた。
しかしその夜宿が火事になり、僕は焼け出されたのだ。
自分のいる所も分からず、どこにも行く場所もなく、一人で生活も出来ずご飯も食べられず路地にいた時、いきなり男達に絡まれナイフで刺されて死んだのだ。
お腹は空いてるし、体中痛くて寒くて寒くて…こんな事なら後継者教育など受けずに少しでも市民の生活について学べば良かったなぁと思いながら…。
ふ、と気がつくと僕はジルと馬車の中にいた。
僕はよく分からなかったがジルがいてくれた事に安堵し、ジルへ抱きつき大泣きした。
ジルはびっくりし、戸惑ったような声で僕を呼び、泣き止むまで肩に手を置いてくれた。
その後どうにか落ち着き、ふと僕の手が目に入った。
(あれ?なんかプニプニしてる?目線も低いし手も小さい。)
「アル様、どうされましたか?今日はアル様のスキルを頂きに神殿へと向かってうる所ですよ」
僕がこんなに感情を表に出す事が無かったからか、ジルは凄く心配そうな顔で声をかけてくれた。
(スキルを貰った日?6歳?僕は生きてる?あれは夢だったの?あんなに痛くて、寒くて、ひもじかったのに?)
「アル様?」
もう一度ジルに声をかけられた。
(僕はジルが僕の事を大切に思ってくれていることを知っている。屋敷(辞めてまで僕と一緒にいてくれると言ったんだもの…)
僕はジルに夢の事を言ってみた。
「ジル、あのね…怖い夢を見たみたい。僕はこれから神殿でスキル"キャンピングカー"っていう未知のスキルを貰うんだ。父上にとって期待ハズレの。そして僕は16歳の時に弟を殺そうとしたって言われて屋敷を追い出されて、男に刺されて死んだんだ。とても痛くてご飯も食べらなくておなかが空いて、寒くて寒くて…」
僕は思い出しまた泣いてしまった。
だって本当に辛かったんだのも…。涙が止まらず困ってしまった。するとジルがハンカチで僕の涙を拭きながら、
「アル様。それは予知夢か、実際体験されての巻き戻りかもしれません。
大変な経験をされてさぞ、お辛かったでしょう…なぜこのジルがお助け出来なかったのか!!
この老いぼれを怒ってくだされ!!」
ジルの目が潤んでいる。
「違うよ!ジルは僕を助けに来てくれたんだ!
屋敷を辞めて僕と田舎で暮らそうって!
部屋も取ってくれて待っててって…
でもその夜その宿が火事になって焼け出されちゃったんだ…
その後僕はどこにいるかも分からず、ジルにも会えなかったんだ!
だからジルは悪くない!僕のことを思ってくれていたんだ!」
僕は必死にジルな僕を助けてくれたことを訴えた。しばらく2人で泣いていたが、
「アル様。打ち明けてくださりありがとうございます。
このジル、今度こそアル様が幸せに暮らせるように心します。
まずは神殿でその"キャンピングカー"?を頂いた後で今後について計画を立てましょう。
ジルにおまかせくださいませ。
さて、神殿に着きました。
アル様、参りましょう。
あぁ…目が腫れてしまいました。フードを深めにかぶりましょう。」
ジルが魔法て僕の目を冷やしてくれた後、フードを深くかぶり神殿へと入った。
やはり夢ではなかったようで僕はスキル"キャンピングカー"を頂いた。
「夢じゃなかったね…やっぱり"キャンピングカー"だって…"キャンピングカー"ってなんだろうね…」
「えぇ、残念ながら夢ではありませんでした。
しかしアル様!先ほども申し上げた通り、このジルと共に今後について考えて参りましょう。決してお一人には致しません。」
ジルの言葉に再び涙が浮かんだ。
僕は死に戻る前決してジル、ルイ、バートにとって良いのではなかったはずだ。
両親に会えなくて怒ったり、何がやってもらっても感謝もしなかったのに…。
「ジル、ありがとう。ジルが僕についててくれて本当に良かった。」
自然と感謝の言葉が口に出た。
そうだ!僕はあんな人達なんか要らない!ジルを親だと思って大切にしよう!
今度こそ僕は生きて幸せになるんだ!!