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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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サチ 聖地とお祝いの食事会

 みんなが店員さんに服の仕様や作る枚数を決めたら、半金前払いして割符を貰う。収納にしまっておいた。


 「ありがとうございましたー」と声に見送られて、お店を出た。


 馬車がお店の前にどーんと準備してくれてあったので、乗り込む。

 次は大司教様の膝の上に座った。


「それでは次は聖地ですぞ!観光地ですから人が多いですぞ!気をつけてくだされ」


「はい!つぶしゃれないようにしましゅ!」


「ははっ!サチ様が飛んだら、みんな避けますでしょうな!」


「え?」


「ああ、いや、恐れ多くて近寄れないという意味ですよ。ご心配なされますな」


 そっか、普通にイジメ的な意味に聞こえたぞ。大司教様のおっちょこちょいめ。


「サチ様、私も枢機卿になりました。大司教ではなく名前で呼んでくだされ」


「にゃまえ?」


「はい、アイザックです。呼んでください」


「あいじゃっく」


「サチ様は可愛いですな。今度からはそう呼んでくださいよ」


「はい!」


 アイザック、アイザック。距離感が近くなったようだ。


 馬車は進む。人混みが多くなってきたようだ。神聖騎士が周りに呼びかけて道を開けてくれる。私だけなら飛んでいっちゃうけど、他のみんなを危険に晒す訳にはいかない。歩いている人ごめんよ。


 て言うか、あれだな。神聖騎士もアイドルなんだな。民衆がカメラを持ってたらフラッシュの嵐だ、きっと。


 10分程馬車で行った頃だろうか?目の前に自然が現れた。今まで石畳と白い建物だったのに、植物だ。


 馬車が止まって、降りて行く。ここが聖地かな?


「使徒様!聖地です!」


 聖地らしい。人が多いけど、自然て落ち着く。大司教様の腕の中から飛び立って地面付近をふんふんと飛んでいく。神聖騎士が私を踏まないように空間を広げてくれた。


 私は飛んでるけど、歩いているように地面に足をつけて動かす。たまには運動もいいもんだ。普通に歩いたらこけるからね。


 うん?今懐かしいような空気を感じた。ちょっと戻ってみる。ここだ。


「りゃず、ここかりゃしっていりゅくうきがしゅる」


「なんですって!ちょっと失礼。……ああ、これはおうちの空気にそっくりですね。サチ様が作られたおうちですよ」


「しょうでしゅね。にゃんかにぇむくにゃってくりゅくうきでしゅ」


 近くを散策するともう1箇所あった。う〜んこれはもしかしてーー。


「しぇいちでしゅ。しんりきをかんじましゅ」


「なんですと!サチ様!大手柄ではないですか!神聖騎士!サチ様が聖地を発見されましたよ!」


 周りが騒ついた。


「サチ様、もう一度教えてくだされ」


「う〜んと、こことここ!」


「これは神様の足跡かもしれませんな!」


 神聖騎士が何人かどこかに行った。トイレかな。私とラズとアイザックとエレナとカイザーはなむなむ祈ってから聖地から去った。神様にはみんな会った事あるからね。



 そうはいかないのが神聖騎士と国を預かる重鎮達。


 聖地だと思われていた場所に本物の聖地があったのだ。上から下へ、更には民衆へ大騒ぎである。

 神聖騎士と聖騎士が聖地の後を囲んで、今まで通り民衆に解放するか、建物を建てるか協議されたのである。


 まあ、結局は聖地が観光地ということもあり、囲いを作って荒らされないようにしてから民衆へ開放された。



 そんな事は知らないサチはもう今日の夕飯の事でいっぱいである。


 あれも食べてほしいし、いやこれも捨てがたい。食べ合わせが悪いか?いや、あれは外せないなど思考が食べ物一色だ。美味しいものが沢山あるのも困ったものである。


 沢山の民衆に囲まれて、宮殿に到着したのは外の明かりがなくなろうと言う時である。


 みんなで慌てて食堂に行った。


 食堂についたら、教皇一家が軽く何かをつまみ食いしながら待っていた。お腹が空いたのだろう。


「きょうこうしゃま、おまたしぇしましゅた」


「ああ、サチ様!聞きましたぞ!聖地を発見したとか!!なんともありがたいですなぁ。今日の晩餐も家族と楽しみにしていたのですよ!さあ、お座りください」


 教皇達家族の前の席が空いている。サチが1番前の教皇様の正面でそこから大司きょ、間違えた。アイザック、ラズ、エレナ、カイザーと並んだ。サチは飛んでみんなの席に飲み物を用意した。


「きょうは、きょうこうしゃまが、つきがみしゃまからかごをもりゃったおいわいと、あいじゃっくがしゅうききょうににゃったおいわい、りゃずがしきょうになったおいわいでしゅ!みんにゃ、おにゃかいっぱいたべましょう!」


 そう言うとサチはみんなの前に前菜を用意した。まずは神◯牛の前菜だ。少しお上品な量だが後から沢山食べてもらうのでいいのだ。


「おお、見た目に綺麗な野菜だの。ではお祈りしましょう。あまねく神々に感謝を捧げます。ではいただきましょう」


「「「「「あまねく神々に感謝を捧げます」」」」」


「あまにぇくかみがみに、かんしゃをしゃしゃげましゅ」


 晩餐が始まった。みんな静かに食べている。


 前菜はすぐに食べ終わった。ここで今日の主役と言うべき神◯牛のサーロイン300gをレアの焼き加減で鉄板に乗ったまま、皆の前にカトラリーも準備する。


 いい香りに一同小さく歓声をあげる。切れ味の良いナイフで切った神◯ビーフを一口食べると、感嘆の息が溢れる。


「これが……これが、シャーロ殿の言っていた、トロける肉か!美味すぎる」


「サチ様!これは美味しいですぞ!本当に肉ですか!?」


「おにくでしゅ。わたちがしゅんでいた、まえのしぇかいにょ、たこくにほこりゅにくでしゅ」


 ラズ達は2回目の肉だから味わって食べている。アイザックと教皇様とその家族が余りの美味しさに顔が蕩けている。


 食べると無くなるのは道理だが、みんな無くなるのを惜しんでゆっくりと食べている。勿論サチも味わっている。今度は別の部位もいいかもと。


 それぞれが満足して肉が無くなったら焼き野菜を出して口の中を落ち着けてもらう。勿論食べ終わった食器は片付けて。


 そして、次もメインと言っていいかもしれない。白米に神◯牛の牛すじ肉を使った牛すじ煮込みのスープ。これも、もんのすごく美味しい!白米は味が濃い牛すじ煮込みに欲しくなるからだ。


 みんな見た目でしり込みしているが、サチが美味しそうに食べてると勇気を出して食べ出した。それでいい。温かいうちが美味しいのだから。


 みんなも美味しさにがっついている。テーブルマナーが完璧な人達なので、そうは見えないが。

 濃い味に蕩けた上質の脂に、これまた蕩けそうな牛すじが美味しい。庶民の味ながらここまで料理したのが凄い。

 サチが前世家族で出かけたイベント会場で売っていたものだ。毎日でも食べたくなっちゃう。


 みんなが食べ終わったら、温かいお茶で口の中をリセットしてもらう。これだけでも十分だけど、今日はお祝いだからね!


 食器を片付けたら、今日のデザート!伊◯丹のミニホールケーキ1人前!とても可愛らしいデコレーションで、真ん中にイチゴと木苺とブルーベリーにピンク色のクリームで花を作って飾り、白のクリームでバラをかたどっている。


 思わずみんな歓声を上げた。


「サチ様!これは芸術ですぞ!食べられるのですか!?」


「たべりぇましゅよ。たべてくだしゃい」


「なんとも、サチ様の出される料理は凄い!ああ、食べずに残しておきたいですな」


「くしゃるにょで、たべてくだしゃい」


「そうですな、なまものなら腐りますな。ではいただいて」


 教皇様のひ孫が思わず「おいしい!」と声を上げた。


 みんなの顔もほころぶ。見た目のインパクトとケーキの程よい甘さと酸っぱさ。バランスが考えられているケーキだ。


 食べ終わる頃には、みんなお腹いっぱいで、ちょっと苦しいくらい。サチはケロリとしているが。ぽんぽこりんのお腹で。


「サチ様、今日はお祝いの晩餐をありがとうございます。思い出に残る食事となりました。お礼を申し上げます」


「いいんでしゅよ。まだ、おいしいりょうりがありましゅ。またごちしょうしましゅ」


「ほほっ!いいんですかな?心待ちにいたしますぞ」


「いつでもいってくだしゃい!」


「これは嬉しいですな!サチ様はいろいろ素晴らしい!」


 和やかにサチ主催の晩餐会は終わった。


 教皇様とアイザックがお別れの挨拶をして、白の部屋に帰ってきた。


 おうちを出してアイザックを送り届けると、みんなでお風呂に入って今日の疲れを癒した。


 なんだか長い1日だったなぁ。



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