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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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ラズの昇級試練 ラズ司教になる

 昼食を食べたら大司教様が教皇様に連れられて何処かに行った。大丈夫かなー?


 ラズが司教になる試練を受けるからついていくと、煌びやかな神殿の近くに部屋があってラズがボロの服に着替えて出て来た。靴履いてない。裸足だ。何するんだろ。着替えたって事は何か労働でもするのかな?裸足で?


 そこから枢機卿に促されて別の部屋に入っていった。

 一緒に入ろうとしたら神聖騎士に止められた。試練は1人で受けるんだって。ラズ頑張れ!




 ーラズ視点ー


 私は今から司教になる為の試練を受ける。怖くて逃げてしまいたいが、自分で希望したのだからとグッと我慢する。サチ様のお側に居るには必要なのだ。


「宮殿で試練とは久しぶりだな。覚悟はいいかい?」


「はい」


「では、床に座りなさい」


 怖い。怖いが冷静にならなくては。私が床に座ると「足を伸ばしなさい」と言われた。足を傷つけるのか?


 足を伸ばすと神聖騎士2人がかりで重そうな岩を持って来た。嫌な予感に冷や汗が出てくる。身体も小さく震えだした。


「それでは、足の上に岩を落とすから自分で治癒しなさい。無理そうなら言いなさい。そこで試練は中止だ。君が無事、昇級の試練を終えることを祈るよ」


 神聖騎士が岩を私の足の上に持ってきた。深呼吸して身体に力を入れる。岩が落ちてきて私の足を潰した。


「あーーーー!!!」


 我慢しようとしていたのに悲鳴が出た。痛い痛い痛い痛い。足が燃えるようだ。治さなければ!!


 神聖騎士が岩を持ち上げて去っていった。


 足の骨が折れて潰れている。


 私は痛みと混乱する頭と生理的に出てくる涙と戦いながら足に治癒の魔法をかける。上手くいかない。血が流れて足が潰れている。悪夢のようだ。大丈夫。私は治せる。自分に言い聞かせる。


 冷静になるのに時間がかかったが、今は足が痺れているようになってきた。これなら治せる。


 私は時間がかかっても慎重に治した。村長を治したのと一緒だと自分に言い聞かせて、足の状態を見ながら治癒していく。もう、顔から身体まで汗だくだ。


 全部治せた。足の状態をチェックする。うん、大丈夫だ。枢機卿も確認して頷く。


「うん、時間はかかったけど綺麗に治せてるね。合格だ。次の大司教になる試練では指を切り落として再生してもらう。次の試練を受ける時にはゆっくりしてたら出血で危ないから、よく精神的にも技術的にも鍛錬するように。この後、司教の講習を受けてもらうから着替えて来なさい。服はゴミ箱に捨ててね」


 ボロの服を着るはずだ。汗と血で服が汚れている。


 私は立ち上がって足がある喜びに歩いた。自然と笑顔が溢れてくる。部屋を出たらサチ様が待ってくれているのだ。胸を張って試練を無事に終えたと言えるだろう。私はドアを開けて部屋から出た。







 ラズが部屋から出て来た。大量の汗と血が足についている!


「サチ様、司教になる事が出来ました!」


「りゃず、だいじょうぶでしゅか!?いたいとこりょはないでしゅか!?」


「はい、大丈夫ですよ。ご心配おかけしました」


 私はラズを綺麗にして、その胸に抱きついた。ラズは健康だ。試練とはそんなに辛いものなのか?普通の試験だと思っていたのだけれど。


 ラズが抱っこしてくれた。顔を見上げると、清々しい顔をしている。ラズ、この試練の間に成長したんだね。


「りゃず、おめでとう!」


「ありがとうございます!」


 いつも穏やかなラズが興奮したようにお礼を返してくれた。ラズも男だね。ラズをヨシヨシする。


「サチ様、私は着替えて参りますので少しお待ちください」


「わかりましゅた」


 私はエレナとカイザーに試練とは辛いものなのか聞く。


「助祭の者に聞いた事がありますが、昇級の試練は自分を傷つけてそれを治癒するらしいです。司教なら大きな傷をつけたのではないでしょうか?」


「たいへんでしゅ!」


「ええ、ラズを労ってあげてください」


「きょうはおいわいでしゅ!」


「お!何か美味しいものでも出してくれるんですか?」


 神聖騎士が一緒にいるからカイザーの話し方が丁寧だ。


「りゃずもだいしきょしゃまも、しょうきゅうしましゅた。ごちしょうでしゅ!」


「サチ様、教皇様が月神様にお会いになったお祝いじゃないんだな?」


「しょれもありましゅた!」


「忘れてたな〜」


 近くで聞いていた神聖騎士がぴくりとした。気のせい程度だが。神聖騎士の内心は嵐のように荒れ狂っている。今の話は本当か?使徒様が嘘をつくわけないだろうしと。心の中は興奮でいっぱいだ。

 これは同僚に報告せねば、と。



 ラズが着替えて出て来て、試練の監督をしてくれた枢機卿について行く。もちろん私もエレナもカイザーも神聖騎士4人もだ。神聖騎士が多いと思うの。ね?


 広い部屋に入ってラズは司教のお勉強。汗を大量にかいたみたいだからスポドリの差し入れ。

 私達は離れて机と椅子を出して長崎のカステラを食べる。ザラメ付きだ。エレナとカイザーと食べる。神聖騎士に渡そうとしたら「仕事中ですから」と断られた。悲しい。


 実は神聖騎士も悲しく悔しい思いをしていた。エレナとカイザーにジェラシーを持った者もいた。いくら訓練されていても人であるからして、感情はどうにもならないのだ。羨ましい。


 そして決心した神聖騎士が居た。後に分かるだろう。


 2時間ほどラズが説明を受けたら書類を貰ったらしいので、サチが収納からラズの荷物を渡す。それに書類をしまうラズ。また、自然にサチに渡す。

 サチ一行以外の意見が固まった。こいつ創造神様の使徒様を荷物持ちにしてやがる。と。ジェラシーが溜まる一方である。


 サチはラズへと説明していた枢機卿に聞いた。


「しんかんにょふくを、したてりゃりぇりゅばしょはありましゅか?」


「え?私ですか!?」


 枢機卿の頭にお花が咲いた。まさか使徒様に話しかけられるなんて!!


 サチの言葉が理解出来なかったと判断したラズは枢機卿に聞いた。


「枢機卿、神官の服を仕立てられる店はありますか?」


 枢機卿は我に帰った。


「はっ!あ、ありますよ!勿論です!場所を説明しましょうか?」


「お願いします」


 枢機卿の丁寧な説明でラズはお店が何処にあるか理解した。


「サチ様、どうしますか?今から行きますか?」


「だいしきょしゃまともいっしょにいきたいでしゅ」


「それでは案内してもらいましょうか?」


 勿論この会話も神聖騎士は聞いている。多分場所は教皇様の所であろう。スムーズに案内してくれる。神聖騎士は万能なのだ!エリートであるからして。サチの警護は取り合いだが。


 宮殿の奥に歩いて行く一行。サチはラズが抱っこしている。ラズの精神安定になるので。


 すれ違う人達はサチの翼が見れなくて残念だ。


 サチは宮殿で迷子になりそうなので、マップを頭に起動させる。宮殿をマッピングするのだ。迷子になるかもしれないので。



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