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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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神聖教国首都 中央都市に着いたぞー!

 私が飲み物を売ると言ったら、ラズとカイザーとエレナがついてくると行った。誰か列に並んでないといつまでも中に入れないじゃないか。


 ちょっとカイザーはつんけんしてるから運転席に座って列に並んでおいてもらう。


 車から外に出てラズと私とエレナの周りを冷やすように想像する。程よく17度くらいね。みんな長袖着てるから。


 列の途中から売り始める。


「つめたいにょみもにょはいかがでしゅかー!」


 列の隣で声をかけながら歩く。何人か並んでいる人が買ってくれる。メニューはトモモのジュースとオレンジジュースとスポドリだ。全部氷入り。入れ物は自然に優しいLサイズの紙コップ。値段は銅貨3枚。ちょっとぼったくり。トモモのジュースがよく売れる。みんな知ってる味に行きがちなんだな。愛想がいい人は私を撫でてくれる。


 ラズとエレナが神官と聖騎士だからありがたがって買ってくれる人もいる。


 通り過ぎて売った人から「おいしい!」って聞こえてくるから商売繁盛しまっせ。


 途中でミックスジュースも売り出したんだけど、あまり買ってくれない。1番値段が高いんですよ!お腹にも溜まるし。お肌にもいいのに。イチオシ!普通は銅貨3枚じゃ買えないよ!てラズが説明してくれると買ってくれる。


 私じゃ宣伝文句は言えないからね!噛み噛みで!


 途中で具合が悪そうな人がいたから門番に連絡しておいた。スポドリも渡したけどね。


 熱中症は神官でも治せないらしい。とにかく安静にさせて水分を取らせるんだって。暑いのに汗をかかないのはおかしいって知ってるみたい。でもそれ以外の対処法は知らないらしい。氷なんてほいほい作れないしね。


 みんな熱中症にならないように飲み物買ってねー!隣の列に行ってたら、スポドリを買ってくれたおっちゃんが声を掛けてきた。


「さっきの飲み物、まだあるかい?」


「ありますよ。お買い上げされますか?」


「子供が元気になってね。2つくれんか」


「銅貨6枚です。はいありがとうございます」


 私がスポドリを出してラズがお客さんに渡してくれる。


 身体に足りない成分を飲んだり食べたりするといつもより美味しく感じるよね。


 それを聞いて見ていた列に並んでいた人が飲み物を買ってくれた。ありがたやー。3列目の途中で車が門に近い場所に並んでいたので撤収して車に乗り込む。


「商売は繁盛したかー?」


「ぼちぼちでんにゃー」


「サチ様、なにそれ。最後が可愛かったけど」


「ぼちぼちでんにゃー?」


「適度に儲かったという意味ではないですか?」


「ふつうっていみ」


「普通より儲かったと思いますが」


「そぉー?」


 なんて話してると、やっと順番が来た。窓を全開にする。外の熱気がむわっと入ってくる。車の中を冷やす。


「身分証を見せてくれますか?」


「はい」

「はい」

「はい」

「はい」


 全員渡す。門番が1人ずつ確認する。ダブルチェックだね!


「カイザー聖騎士、お疲れ様です!エレナ、聖騎士、お疲れ様です!サチ・スメラギ、創造神の使徒……あえ!?」


「どうした!不審者がいたか!?」


 待機か交代要員の他の門番も寄ってくる。


「これ!!」


「身分証だろ……おお!!」


「なんだ?……はあ!?」


 「おお」だか「はあ」だか聞こえてくる。そら中央にいるくらいだから私の事知ってるよね。


「それで、使徒様はどなたですか?」


 恐る恐る代表者が聞いてくるので、手を振る。


「わたちでしゅ」


「「「「「おおおお!!」」」」」


 門番に一斉に見られた。ちょっと恥ずかしい。


「握手してください!」

「あーずりー!俺も握手!」

「みんな並ぼう」


 その言葉で門番が並んだ。サチ達には見えないが、門番の話し声を聞いた次に待っていた人から列に騒ぎが伝播する。


 門番は順にサチと握手する。感激で手が震えてる人もいた。きゅっと握ると泣かれた。後ろがせっついて交代する。


「教皇様に会いに来たんだが、何処に行けばいい?」


「身分証をお返しします。門の横の壁に乗り物を横付けしてください。聖騎士を呼んで参ります」


 サチ達は誘導された後、門番が走っていく。暑い中ご苦労様です。


 列が進むと列に並んでいた人達に遠まきに見られた。なんか人で半円が出来ている。


 門の前が人で滞ってきた。


「どうする?騒ぎになってきたわよ?」


「サチ様、握手会でもしてくるか?」


「危ないです。あんな人が多い所で」


「ちょっととんできましゅ」


 サチはつたない手でマントを外した。能力でベルトも外して窓から飛び出す。


 人混みに向かって手を振ると「うおーーーー!!」と叫び声が聞こえた。車に向かって来ないように人々の上を飛ぶ。門の出入り口の邪魔にならない方に誘導する。


 暑い中集まっている人達に、向けてミストを放つ。涼しい風を吹かせる。それにも興奮する人々。


 門から離れた壁にちょうどいい空間を見つけた。これなら作れるかも!不壊で状態保存で


 〈いでよ!等身大、創造神様!椅子に座って!〉


 人々がいきなり出てきた巨大な人型に驚いて絶句しているところにサチの声が響いた!


「とうしんだいの!しょうじょうしんしゃまでしゅ!」


 でしゅ、でしゅ、と反響しながら消えていった。


 民衆にサチの言葉を理解出来た者と出来なかった者がざわつきと歓声の声をあげた!「創造神様ー!」「使徒様ー!」と。


 サチは理解出来た人だけ浮かせて、創造神様の顔の位置で動かすのをやめた。

 落ちないと分かった民衆は創造神様のお顔を見て感激の涙を流した。なんと偉大で慈悲深い顔か。


 みんな拝み出した。


 サチはその間に、等身大・創造神様と書いた石柱を足元に立てた。もちろん不壊である。倒れないように固定もしてある。


 分からなかった民衆はそれを見て歓声を上げた。そして浮いている人達を羨ましそうに見上げた。大きすぎて御尊顔が見えないのだ!


 サチは十分に拝んだ人達を下ろして、次の団体を浮かせた。馬車を持っている者は馬車に乗せたまま。馬が驚いて声を上げるが害がないと分かると落ち着いた。


 そしてまたみんな偉大な創造神様に祈るのだ。



 サチが創造神様の像を作った場所は日陰で日の当たらない場所だったから広大な敷地が空いていたのだ。普段は市場に売り物を持ってきた馬車などが止まる場所だった。この責任をどう取る?サチ!


 何回か民衆を入れ替えると人混みが収まってきた。車に聖騎士も到着したみたいだ。


 だが、様子がおかしい。ラズもカイザーもエレナも聖騎士も私を期待の眼差しで見ているようだ。あれは浮かせて欲しいのだろうか?


 浮かせてみると歓声がした。正解だ。みんなを創造神様のお顔の前に浮かせる。


「サチ様!凄いです!等身大の創造神様だなんて!!」


「はあー、創造神様、御尊顔拝見いたします」


「創造神様!!」


 皆、好き好きに祈っている。サチはトイレに行きたくなってきた。お昼はさんざん飲み物を飲んだのだ。


 浮かせたみんなをそのままにして、サチは創造神様の椅子の近くにおうちを出して中に入って、おまるにしーする。入ってすぐは礼拝堂だったので、罰当たりなサチだ。像が困った顔をした気がした。ごめんちょ。


 サチは素早く何も無かった顔で、おうちを収納に入れて飛んだ。目撃者はいない。と思ってるのはサチだけで何人かは遠まきにみていた。まさかトイレだとは思っていなかったが。



 ラズ達が満足したら車の近くに下ろして、サチも車に乗り込んだら外から残念そうな声が響いた。


 サチは期待に応える為に車の上を飛んでついて行く事にした。


「りゃず、わたち、くりゅまのうえをとんでいきましゅ。しんぱいしにゃいでくだしゃい」


「サチ様、お疲れではないですか?」


「だいじょうぶでしゅ。いってきましゅ」


 サチは車の上で浮いたまま動かない。カイザーが聖騎士に声をかけた。


「サチ様は車の上を飛んで行くらしいから先導お願いします」


「承知しました」


「では進むぞー!聖騎士!護衛をしろ!」


「「「「「「はい」」」」」」


 聖騎士が車を囲んだ。一般人は威圧される。聖騎士が進むと自然と道が開く。その上を手を振って民衆にアピールするサチがいた。自慢の翼を見せつけて。


「使徒様ー!」

「使徒様ー!」


 まるでアイドルのようだ。サチは今夜ぐっすりと眠れるだろう。いつも眠っているが。



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