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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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神様から服を授かる

 カイザーが街人に美味しい食事を出す宿を聞いてくれた。宿泊費がちょっとお高いらしい。収入はあった。問題無い。


 街を歩いている人達はみんな夕方だから帰るみたいだ。「いい街に来た」てな事を話している。もうすぐ18時だからね。


 カイザーの案内で綺麗で大きい宿屋に来た。カイザーには迷子にならないセンサーが付いているに違いない。私なら完璧に迷う。こういう所はカイザー有能なんだよな。


 宿屋に入る。


「すまん!部屋は空いているか?」


「はい。何名様でしょうか?」


「4人だ。朝夕食事付きでお願いする」


「分かりました。宿泊費が銀貨2枚、食費が朝夕付きで大銅貨2枚になりまして、銀貨8枚と大銅貨8枚となります」


「だいぎんかいちまいでおねがいしましゅ」


「これはご丁寧に。可愛いお子さんですね。お釣りが銀貨1枚と大銅貨2枚になります。落とさないようにね」


 子供がいるであろう年齢のご婦人が丁寧に手渡ししてくれた。良い人だ。


「夕食はこれからでも食べれます。1階に食堂があるのでご利用ください。お部屋にご案内します。ついていらしてください」


 みんなでご婦人の後ろを歩いていく。


 2階の角部屋で止まり、カイザーに部屋の鍵を手渡した。扉に『9』と書いてある。分かりやすい。


 部屋に入ると高いだけあって調度品が整えられている。


 サチはベッドチェックだ。ベッドに横になりゴロゴロする。低反発ベッドみたいだ。柔らかくないけど、疲れが取れそうな。サチ好みではなかった。残念。


 サチはおうちを出す。みんなトイレを済ませてから出て来て食事に行く。


 食堂は広いが、まだ夕方だからか人は少なかった。空いている席に座ると注文を聞きに人が来た。


「宿泊のお客様ですね。鳥肉定食になりますが、追加注文もできます。どうなさいますか?」


「とりあえず定食だけお願いします」


「分かりました。お待ちください」


 ラズが注文を受けてくれた。サチは鳥肉定食と聞いてワクワクしている。食いしん坊サチは涎が垂れそうだ。


 椅子に座って専用のカトラリーを出す。用意は万全だ。


「サチ様、嬉しそうね」


「ごはんがまちどおしいでしゅ」


「確かにな。今日も疲れた」


「まだ、夜は今からですよ」


 みんなで1日が終わる和やかな会話をしていると、肉のいい匂いがしてきた。厨房が近いのだろう。みんな空腹を刺激される。


 店員が料理をワゴンに乗せて持って来た、みんなで手分けしてパンやスープやサラダを分ける。

 次にメインの鳥の焼き肉が出てきた。良い匂いだ。


 みんなでお祈りしてからいただく。やっぱり初めはメインの肉料理だ。皮がパリッと音がする。食欲を刺激する音だ。小さく切られた肉をサチは食べる。口の中がパラダイスだ!肉を焼いただけで無く、何かに漬け込んだ味がする。これが大銅貨1枚なら安い!


「美味しいな」


「本当に。こってりしてるのに、あっさりもしてるわ」


「近くの村で鳥の飼育をしているのでしょう」


「おいしいでしゅ!」


 みんな、しばし無言で食事を続ける。まずは空腹を満たしてからだ。


 パンは硬いがこの身体は丈夫だ。カトラリーで薄くスライスして食べる。小麦の香りがいい。

 食事が終わるといつもこの身体はお腹が破裂しそうにぽんぽこりんになるけど、破裂しない。丈夫な身体だ。


 食事が終わったら、みんなで温かい緑茶を飲んだ。ふー、お腹いっぱい。満足じゃー。A5ランクの肉を出そうと思ってたけど、ここの肉は美味しかった。この満足感を乱さないために、今日はいらないと判断した。


 店員さんが来たので挨拶する。


「ごちしょうしゃまでしゅた」


「おいしかった?」


「はい!」


「そう、よかった」


 にこりと笑って他のお客さんの所に行った。優しい。

 一息ついて、部屋に戻る。


 今日は礼拝堂でする事があるんだ。ラズの抱っこから抜け出して、保温した鉄板に8個、A5ランクの肉をたっぷり乗せる。地球で料理人が焼いてくれた焼き加減レアだ。

 祭壇に肉を乗せて祈る。


 創造神様、新しい服をください。


 祭壇に乗せていた肉が消えて、そこに1枚の小さな服が置かれていた。薄黄色の服だ。広げてみるとカバーオールの服だ。鑑定してみると、今来ている服と同じ性能を持っている。創造神様、完璧!


 ありがとうございます、と祈っておく。


「あたりゃしいふくでしゅ!」


 ラズに見せると呆然としていたが、徐々に喜色の滲む顔になった。


「サチ様!凄いです!神様から、また服を授かったのですね!」


「おお、びっくりだぜ」


「サチ様、すごーい!」


 みんなも喜んでくれた。「お風呂上がりに早速来てみましょう」と言われる。


 みんな今からお風呂だ!


 今日の汗を流すように洗う。サチは汗をかかないのだけど。洗ってスッキリするのは好きだ。

 今日の散髪屋はチェックした。みんなの髪が伸びたらいつでも行ける。



 サチは想像もつかないが、次に行く時は今日の混み具合の常に数倍ぐらいにはなっているはずである。美容師の腕が磨かれる。



 洗い終わったサチは湯船に浸かる。今日もいい湯だ。


 能力でサチは前進する。楽しい。


 サチの髪も少しずつ伸びている。初めは男か女か分からないくらいだったのに。だが、まだ短い。幼児だから仕方ないのだ。それとくりんくりんの髪だから。


 ラズが湯船に入ってきた。


「サチ様、髪が短くなって洗いやすいです。ありがとうございます」


「よかったにょ」


「おお、俺も髪が軽くなっていい感じだ。サチ様ありがとう」


 ラズとカイザーがお礼を言ってくれた。嬉しい。サチはラズに近寄った。


「サチ様の髪は不思議ですね。水に濡れてもくるくるしています」


「てんぱにゃにょ」


「てんぱと言う髪型ですか。不思議です。たまにくるくるした髪の人を見ますが。カイザーもてんぱじゃないですか?」


「俺の髪は生まれつきだ。毎日髪が爆発して大変なんだぜ。だから伸ばしてるが」


「苦労があるのですね。サチ様は可愛いですよ」


「俺は可愛くないみたいじゃないか?」


「成人した男は可愛くないです」


「差別だ」


「可愛いと言われたいのですか?」


「いんや」


 最近はお風呂でカイザーに近寄っても怖くなくなった。カイザーも成長したものだ。


 ラズに抱っこされて露天風呂に行く。カイザーもついてきた。


「サチ様、お腹がぽっこりしてますね」


「しょくじしたかりゃにゃにょ」


「サチ様は、よく一人前を食べれますね。感心します」


「しょくよくまじんにゃにょ」


「食欲魔人とは、可愛いことをおっしゃって」


「サチ様は食いしん坊なんだよな!」


「しょうでしゅ!」


「いばられてもなー」


 みんなで軽い話をして湯船に浸かるとリラックスできていい。ラズのお嫁さんを早く探して、エレナが女性1人で寂しく無いようにしないと。


「サチ様、多分明日で中央都市につくぜ。ついたらどうする?」


「きょうこうしゃまにあいにいきましゅ」


「じゃあ、ついたら門番に連絡してもらうか」


「かいじゃーにまかしぇましゅ」


「へいよー」


 身体がポカポカしてきた所で湯からあがり、脱衣所に行く。ラズが身体を拭き拭きしてくれる。


 いざ神様からもらった服を着ようとした段階で、ラズがスナップボタンに手間取っている。慣れたら楽なんだけどなぁ。


 全部取れたようでサチに着せてくれる。パチンパチンとボタンを留めてくれて、サチは楽ちんである。足まで留めてもらったらサイズ自動調整が働いてサチサイズになる。完璧だ。着心地も良い。手首と足首がしまっているのがちょっと慣れないけど、そのうち気にならなくなるだろう。


「サチ様、可愛いですよ。しばらくはこちらの服を着ましょうね」


「ありがとう」


「おーおー、サチ様可愛いな。こんな子供が欲しいぜ」


「カイザーはまずはお相手探しですよ」


「相手なぁ。エレナかなぁ?」


 なぬ!カイザー、エレナを意識している。運命の相手とは侮りがたし。エレナも意識しているし。カップルになる日も遠くないかもしれない。

 


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