サチ、スベンに噛みつかれる アパタイトチャーム
ちょっと町を散歩してみることにした。ふわふわと飛んで行こうとしたが、ラズにキャッチされた。まぁ、どっちでもいいけど。
爽やかな風がふく。ちょっと奥に進むと広場があって色とりどりの布が物干し竿だと思われる物にかけられて、なびいていた。とても綺麗な光景だ。染め終わった布を乾かしているのだろう。
場所が広いから町ぐるみの産業だな。
みんなでたなびく布を眺める。天気もいいし最高だね!田舎の夏休みって雰囲気だ。ちょっと暑いので、みんな日陰に入っているが。
ここに車を出して、みんな乗り込みクーラーをかける。エレナもカイザーも操作が分かってきたみたいだ。
さて旅に戻ろうか。
町を出て、また道を走る。
魔物がカンガルーみたいに飛び出してきた!ぶつかる!運転しているエレナが吹き飛ばしてしまった。
「サチ様、すみません。魔物の回収をお願いしていいですか?」
「いってきましゅ」
外に出て、魔物を収納にしまう。南無阿弥陀仏。なむなむ。
さて、車に戻ろうと振り返ったら、大きな口が見えた!魔物だ!と思ったら、カブリと大きな口の中に入ってしまった!
痛くない。牙に噛まれてるのに甘噛みみたいだ。魔物も噛みきれなくて困っているような感じがする。
「サチ様!!よくも!!」
エレナが魔物を退治してくれたらしく、コロコロと転がる。
魔物の口の中から出された。
「サチ様!大丈夫ですか!?」
「サチ様!!」
「サチ様!」
みんな車から飛び出してきた。大丈夫なんだけど、魔物のよだれがきちゃない。私とエレナに〈綺麗になれ!〉とする。綺麗になった。
「サチ様!怪我は無いですか!?」
ラズとエレナが隅々まで確認してくれる。多分、天使ボディだから大丈夫だと思うけど、痛くないし。
「だいじょうぶでしゅ」
「ああ!サチ様!心配しました!」
ラズにぎゅっと抱きしめられる。そら、目の前で幼児が魔物に一口で食べられたら驚くわな。
「サチ様、もっと警戒心を持ってもらわんと、護衛の俺等が困るわな。今回は俺の失態だが。一緒に車から降りるべきだった。申し訳ありません」
カイザーが注意と真摯に謝罪をしてきた。
「だいじょうぶでしゅ。たぶんたべりゃりぇてもしにましぇん」
「サチ様!なんて物騒なことを!そんな事態にはならないでください!」
ふと見ると、森の中にまだ何かいる。
「みんにゃ!あびゅにゃいでちゅ!」
急いでしゃべったら、元から噛むのにもっと噛んでしまった!いや、それよりも魔物だ!
みんな警戒するが、結界で弾かれた!大丈夫だ!
エレナとカイザーがぞろぞろと素早く出て来た魔物を倒していく。群れか!?
私とラズは後方に避難だ!
エレナとカイザーは囲まれているけど、確実に1匹ずつ倒していく。
私の所に向かってきた魔物もラズの結界で弾かれるのでそこをレーザービームで倒す!私の思い通りに当たるから100発100中だ!まだ、100発も打ってないけど。
エレナとカイザーは息を乱して対応している。群れの大移動にでも当たってしまったのだろうか?
邪魔になる足元の死んだ魔物を収納にしまう。幾分か、動きやすくなったみたいだ。私とラズの元にも絶えずに突っ込んでくる。大口開けて。
私を食べたのは斥候だったのかな?
ワニとオオカミを足したような生き物『スベン』は私とエレナとカイザーに倒された。
4脚の素早く動く口の大きい魔物だった。
大量の死体を収納にしまう。あの地竜といい、神聖教国、魔物被害が多いんじゃないかい?まあ、魔物はどこから出てくるか分からない災害みたいなものだけど。結界が無かったらみんな危なかったよ。
ラズは外が暑いから普通に汗かいてるし、エレナとカイザーは汗だく。まだ息がととわないみたいで、はぁはぁしてる。
私は血だらけの地面とみんなを綺麗にしてから清涼飲料水を渡す。みんな一気に飲むからコップがすぐに空になったのでおかわりを入れる。
3杯ほど飲んでやっと落ち着いたみたいだ。今日の移動はここまでにして、おうちを隅っこに出して車を収納にしまう。
「みんにゃ、きょうはここまででしゅ。おうちでゆっくりしましゅ」
「はぁ、そうしよう。久しぶりに疲れた」
「そうね、ありがとう、サチ様」
「サチ様もお疲れ様でした。さあ、お風呂に入りましょうか」
みんなでおうちに入る。カイザーとエレナもお風呂に入るようだ。みんな着替えを持ってきている。
あ、洗濯だけど人数分の魔道具洗濯機と乾燥機があるから、いつでもみんな清潔だよ!
すぽんと服を脱いだら身体を洗ってもらう。ラズも疲れてるだろうにありがとうねぇ。
泡が目と口に入らないように目を閉じて口を食いしばっている幼児です。
転けないようにラズに支えられながら洗われる幼児です。快適。
洗い終わったら翼を出して湯船に突撃する幼児です。
ふぅ!(精神的な)疲れが取れるぜい。何故か身体は疲れないので。眠くはなるけど。いい睡眠は元気な心身を作るね!きっと!
ラズが隣に来て湯に浸かった。
「サチ様も結界の魔道具をお持ちください。ラズからのお願いです。もう、サチ様が魔物に食べられる所なんて見たくありません」
おお!ラズの繊細な心にはショッキングな光景でしたか!まあ、幼児が魔物に食べられるなんて誰でもショックか。
「わかりましゅた。部屋にもどったらつくりましゅ」
「ラズもご一緒します」
本当に作るか疑っているらしい。赤ちゃんの服にネックレスは似合わないよね。どうするか。指輪は手が小さいし邪魔になるから駄目でしょ?
ひらめいた!ストローマグなら外出の時はいつも首から下げてるから、チャームにしてキーホルダーみたいにぶらさげよう!それならいいよね!
ラズと露天風呂も入って、リフレッシュした私達はお風呂の前のソファに座って冷やしたカウの乳を飲んでいる。
ふぅ、これ一杯!
食事をダイニングに出して食べる。小ちゃい私の口専用のカトラリーが自由に動き出して、食べ物を口に運んでくれる。大人用は大きいからね!だから食べるの遅いんだけど。
ちょっと早い夕食を食べたらラズと私の部屋に戻って、何の宝石のチャームを造ろうか悩む。目の色に合わせようか?石言葉も大切だし。
う〜む。そうだ!アパタイトにしよう!石言葉も『絆を強める・繋げる』だし良いかも!すぐ人恋しくなるからね!
硬度が少し弱いから、強くなるようにして、守りのチャームを作る。カラット数はどうしようか?これはデザインが試されますな。
ペアシェイプカットで30ctぐらいにしておこう!デザインは星屑みたいに綺麗にして、ストローマグで飲む時に邪魔にならない場所に付ける。
守りの結界をつけて。
いでよ!アパタイト!ストローマグに付けて!
かわいいストローマグにかわいい宝石が付いた!
ラズに見せる!
「りゃず!いいでしょー!」
「サチ様のこだわりは分かりませんが、とても素晴らしいと思います。ちゃんと日中は持っていてくださいね。それで、安心出来ます」
ラズのOKも出たし、これからよろしくね!私の宝石ちゃん!
いいね、ありがとうございます!
サチはときどきで噛む言葉が変わりますが、大人が早口言葉を話してるものだと思ってください。




