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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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妖精の里 8 小さい子供と教会

 昼食を食べ終わった後は私の希望で妖精族の子供達がいるという場所に行く事になった。10年以上育った子供であんなにかわいいのだから、それよりも小さい10歳未満の子供を見てみたかったのだ。


 車は教会まで走る。教会の横の施設が託児所のようになっているらしい。期待が高まる。


 10歳ごろに飛べるようになるらしく、まだ飛べない羽が未熟な子が集まっているそうだ。里の真ん中辺りに建物があるという。


 ついた。教会は立派だ。後で見せてもらおう。


 車から降りると鍵をかける。追ってきた妖精達が車に群がる。本当にどうしたものか。


 シャーロの先導で施設に入っていくと、小さい子供特有のかわいい声が聞こえてきた。もう、みんなわくわくだ。


 施設に入ると、カイザーも入れた。靴を脱ぐらしいので、かわいい靴の横にみんな並べていく。また、期待が高まる。小さい小さい靴。可愛すぎる。


 飛ぶ練習をするから天井が高く作られているらしい。


 みんな期待に胸をはせて、シャーロについて行く。


 大きな部屋に入った。子供の甲高い声がする。片側には、まだ歩けない子供。もう片側には歩ける子供達がいた。もう、目を離せない。何個もあるベビーベッドに乳児なのだろう赤ちゃんがいて、可愛くて仕方ない。大人が片手で持てそうな大きさだ。


 サチは赤ちゃんの所に飛んだ。お世話係の女の人が驚いている。ほやほや、あーあー言っている子供のほっぺを触ると愛しさが溢れてくる。


「かわいいでしゅ!」


 小さな、とても小さな手を伸ばしてくる。優しく包んだ。折れてしまいそうなほどかわいい手。小さな身体を撫でると心地良さそうにする。もうめろめろだ。


 ラズも感激したように見ている。やっぱり子供好きだったか、ラズ。エレナは感動したように、カイザーは小さすぎて潰してしまいそうな子供達に戸惑っていた。


 シャーロがお世話係の人に挨拶してくれている。ありがたい。


 カイザーはお世話係の人に声をかけられて、飛べそうで飛べない子に空は怖くないと教えてあげてくださいと言われてついて行った。高い高いだな。カイザー頑張れ。エレナは歩けるようになった子供の所に行った。ラズはサチと一緒に赤ちゃんの所だ。


 ラズの片手で握り潰してしまいそうな赤ちゃんを愛しそうにラズが優しく触る。赤ちゃんが嬉しそうに笑った。ラズの表情筋が仕事をしていない。こんなでれでれなラズは初めてかもしれない。


 お世話係の人に言われてラズも子供の沐浴を手伝っていた。とても嬉しそうだった。


 サチはとにかくいろんな子供を愛でていた。どの子も可愛い。愛しい。寝ている子も多かったけど、起きている子もいる。


 ハイハイやずりばいをする子が柵で囲まれた中にいる。サチより小さい。中に入っておいでおいでとするとサチに興味を持ったのかみんな集まってくる。サチは戸惑った。妖精は小さい頃から好奇心旺盛なのだろうか?サチの周りが赤ちゃんだらけになった。とにかく身体を撫でて愛でる。困惑もしたが、幸せだ。


 サチの身体に登ろうとする子もいるがサチの身体はそこまでバランスがよく無い。倒れてしまうがそれも楽しいらしい。サチは暑くなってきたので周りを冷やしたら、心地よかったのかサチに引っ付いてくる子が続出した。赤ちゃんに埋もれてサチは眠気が来た。周りの子も眠っている子がいる。サチも眠ろう。

 子供の温もりの中サチは眠った。


 それを見たラズが身を震わせて悶えていたとか。




 サチが起きると赤ちゃんを迎えに来た妖精達が、親だろう、沢山いた。隣の妖精と育児の話をしていたり、交流の場になっているらしい。サチ達から見ると、妖精お母さんが小さい赤ちゃんを抱っこしていると違和感がない。妖精の赤ちゃんなんだなぁ。


 まだ柵の中にいる子の相手をする。涎を垂らして嬉しそうだ。サチは能力で綺麗にしてあげた。赤ちゃんがキョトンとする。いきなり身体が綺麗になったから驚いたか。

 他の赤ちゃんを撫でる。サチの足に身を乗り上げてご満悦だ。可愛い。


 お迎えが来たら去っていく。


 カイザーが来てトイレに行きたいと言ったので、空いている場所におうちを出すと、妖精センサーでも働いたのか、お母様方が群がってくる。まあ、そのうち飽きるだろう。でも、子供を抱いて近寄らないでほしい。ドアが開いたら餌食になるから。カイザーがそっと開けるのを祈ろう。


 可愛い赤ちゃんと、どんどんお別れする。私達はお世話になった託児所にさよならして、教会に向かった。もちろんおうちは収納にしまった。お母様方に残念がられたが。



 教会の扉は閉められていた。それをシャーロが開けて中に入っていく。


 教会の中は神聖な空気が漂っていた。みんな思わず祈る。


 目を開けると妖精の神官様がいた。


「ようこそいらっしゃいました。人族の方々」


「勝手に教会にお邪魔して申し訳ありません」


「いいのですよ。教会は祈る方、迷える方を拒みはしません。創造神の使徒様、よくぞいらっしゃいました。お会いできて光栄です」


「さち・しゅめりゃぎでしゅ。はじめまして」


「はい、はじめまして。貴方が里に来た頃から待っていました。お手をお借りしてもよろしいですか?」


「いいでしゅよ」


 神官様の所に飛んで行った。教会内は夏なのに涼しい。神官様がサチの手を両手で握った。サチは不思議な感じがした。神官様がそこにいるのにいないような。力の塊のようなものを感じた。


「しんかんしゃま、あにゃたは」


「内緒ですよ。使徒様。私はこの里の守り妖精。それだけです。妖精の子らを守る者。どうか健やかにお過ごしください」


「はい」


 サチはラズの腕の中に戻った。そして思った。神官様のような存在、精霊に昇華された魂もあるんだな、と。頭ではなく心が感じた。


 サチ達は教会を後にした。



 シャーロが車の中で言った。


「あの神官様、いつ教会に行ってもいるのよ!仕事妖精なのよ!でも妖精の里の1番の長老だって話もあるのよね!お爺ちゃんお婆ちゃんの成人の儀もお世話になったって言ってたし!不思議!」


 そら生きてないからなとサチは思った。声には出さないが。妖精の里が好きすぎて精霊という存在になってしまったのだろう。後悔はしていないみたいだから良かった。やっぱり妖精って不思議。


 そのままお世話になっているお店に帰った。託児所で大分時間を使ったので。もう夕方だ。


 車を止めて鍵をかける。また妖精達が集まってきた。いつになったら飽きるんだろ。


 シャーロはおうちから家に帰る。「便利だわ!」と言っていた。


 おうちを出して、みんな入ったらドアを閉める。


 もう一度お風呂に入ろう。託児所で大分涎をつけられた気がする。


 ラズにお願いすると嬉しそうにされた。


 カイザーも汗をかいたから入るらしい。エレナもシャーロもさっとお風呂に入るようだ。


 明日はどうしようか?お店を開いてみようか?宝石は売れそうだった。タオルも売れるかもしれない。


 というか、部屋に鍵をつけよう。子供達が来た時に荒らされないように。

 今日の朝はベッドにシャーロがいて驚いた。私の部屋の鍵はラズにだけ渡しておこう。



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