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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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妖精の里 6 シャーロの甥と姪

 翌朝、サチはラズに起こされた。ラズの声が笑っている。


 いつもみたいにベッドの上をゴロンゴロンしようとしても出来ない。サチは寝ぼけまなこで目を開ける。すると目の前にシャーロの顔があった。サチを抱きしめている。


「サチおはよう!シャーロね、みんなを迎えに来たのよ!」


 朝からテンションが高いシャーロはちょっとサチには辛い。それと、何で一緒に寝てるんだ。


「しゃーりょ、おはようでちゅ。にゃんで、いっちょににぇてりゅんでちゅか?」


 まだ、ちょっとサチは寝ぼけている。シャーロは元気に答える。


「シャーロ起きておうちに来たのよ!そうしたらみんなまだ寝てるからシャーロも寝ることにしたの!」


 それが何でサチのベッドなんだ。テンションが高いぞシャーロ。


「ふむ、わかりまちた。さちもおきましゅ」


 シャーロがサチを抱きしめるのをやめると、ラズが優しくサチを抱っこした。


 シャーロは赤ちゃんみたいね!と思った。いや、幼児だが。


 顔を洗いに部屋を出る。シャーロは後をついて行った。


 サチが顔を洗い、歯を磨き終わるとラズに足元のボタンを外してもらい、パンツも脱がせてもらう。おまるを出してサチはまたがる。シャーロが一部始終を見ていた。サチは恥ずかしくなる。友達には普通こんなところは見せない。だが、出物はれ物我慢出来ない。


 サチはラズとシャーロに見守られてぷりっとした。


 恥ずかしかったトイレが終わると食事の時間だ。


 シャーロも椅子に座っているので、フルーツタルトを出してあげることにした。ラズに切ってもらう。紅茶はサチの好きなアールグレイだ。そして勿論ホールだ。食後のおやつにするのだ。


 みんなでお祈りして食べ始めると、シャーロが不思議そうな顔をした。


「なんで食事前に祈るの?」


「私達は教会の者です。祈るのは当然です」


「そうなのね!私も神様を信じてるから食事の前に祈ろうかしら!」


「良い心がけです」


 ラズがちょっと偉そうに言った。教会の者には当然の行為なのだ。


 そしてシャーロがフルーツタルトを食べた。


「お!おーいしー!何これ!?何なのこれは!?」


「ふりゅーつたりゅとでしゅ。おいしいでしゅよ」


「おいしいわ!とてもおいしいのよ!」


 エレナとカイザーとラズが微笑ましそうに見る。見た目は身長1mの幼女なので。成人して200歳だが。妖精族の不思議。


 教会で作ってもらった朝食を食べて、みんなでフルーツタルトを食べる。最後の一つを欲しそうに見つめるシャーロに気がついたラズはお皿によそってあげる。シャーロの顔が輝いた!


「いいの!?シャーロが食べていいの!?」


「いいんでしゅよ。たべてくだしゃい」


 シャーロが嬉しそうにみんなとおかわりのフルーツタルトを食べる。食卓に幸せな空気が漂った。勿論サチも食べる。お腹がぽんぽこりんだが。食欲はあるので。


 食後にお茶を飲んでまったりしてから、サチ達は出かける用意をする。サチに用意はいらないが。着替えも必要がないので。


 みんなで礼拝堂でお祈りしてから、おうちから出る。今日はシャーロに妖精の里の観光を依頼しているのだ。


 みんな車に乗り込んでから、車が走る。超のろのろ運転で。昨日で妖精が追いかけてくるのには慣れた一行。


 まずはシャーロの家にお邪魔する。家にドアをつけてしまったので。今日は玄関からお邪魔するのだ。それと、ドアからみんなが妖精の里にくるかもしれないから、顔合わせの意味もある。


 シャーロは沢山出来たお友達を紹介出来るので嬉しそうだ。


 シャーロの家についた。案内してくれるはずのシャーロは先に家に入ってしまった。


「あら!シャーロ。もう帰って来たの?」


「友達を紹介するのよ!みんな!……いないわ!」


 シャーロが外に出て来てくれた。一同ホッとして家の中に招待される。


「まあ!まあ!昨日はありがとうございました!美味しくお土産をいただきましたわ!」


 シャーロのお母さんだ。シャーロにそっくりだ。


「さちでしゅ!よりょしくおにぇがいしましゅ」


「ラズと申します。シャーロさんにはお世話になっています」


「エレナと申します。シャーロちゃんの友達ですわ」


「カイザーと申します。シャーロには良くしてもらっています」


 ちょっとみんなよそ行きの話し方だ。シャーロのお母さんは珍しい人族に興奮した。


「まあ!まあ!よくいらっしゃいました!私はシャーロの母ですわ!気軽にママと呼んでくださいね!」


 小さいママ。ちょっと言いにくいな。だが良い妖精のようだ。シャーロのママなので。


 ダイニングに座って、お茶をご馳走になる。妖精サイズだが。

 でもさすが16人の妖精の食卓。広さは十分ある。サチ以外はおままごとをしているようだが。


 扉の影から子供の顔が見えている。男の子と女の子だ。興味津々に目を輝かせて私達を見ている。


 私は巨峰を作って子供達の目の前で食べる。子供達の目が更に輝いた。子供達に巨峰を差し出すようにすると、そろりそろりと出て来た。


「たべていいの?」

「それ、くれるのか?」


「あげましゅかりゃ、きみたちもいっしょに、しょくたくにつきましょう」


 きゃっと嬉しそうに椅子に座った。巨峰を目の前に置いて食べ方を教えると食いついた。幸せそうな顔だ。シャーロが羨ましそうに見ている。もう一房作ってシャーロにあげた。子供達と同じように美味しそうに食べた。ママにもあげているようだ。ラズとエレナとカイザーの視線が突き刺ささってくる。サチはもう一房作ってラズに渡した。3人で仲良く食べ始めた。


 朝食を食べた後だけど果物は飲み物のようにお腹に入る。しばし、巨峰を食べた。



 食べ終わった後は自己紹介だ。


「ぼくはダンコラ。26さいです!」


「わたしはイレーネ。17さいよ!」


 まだ子供だと言う。確かにサチより大きいが、シャーロ達の半分とちょっとしか身長が無い。エレナとカイザーがダンコラが年上だと嘆いている。ラズは年齢なんてどうでもいいのだ。可愛ければ。


 たしかに2人はかわいい。ダンコラが薄水色の髪の毛に目をしていて、幼稚園児のようだ。イレーネはママとシャーロと同じピンク色の髪と目の色でダンコラより小さい。2人共お人形さんのようだ。


 2人の親は違うから従兄弟という間柄だろう。シャーロの兄弟の子供なのでシャーロは叔母さんだ。16人家族の片鱗を見た気持ちだ。


「シャーロねえだけ、おもしろいことしてる!」


「わたしたちもまぜて!」


 うん、確かに血を感じる話し方だ。


「駄目よ!ダンコラとイレーネは成人になっていないでしょ!」


 2人共悔しそうな、悲しそうな顔をする。子供のそんな顔は見るだけで辛い。サチは決めた!おうちの中だけならいいだろうと。


「しゃーりょ、おうちのにゃかだけにゃりゃ、いいでしゅよ」


「サチ!いいの?」


「いいでしゅ!ただし、シャーロといっしょでしゅ」


 ママさんはニコニコしているが、心なしか寂しそうに見える。ママさんもおうちに行きたいのだろうか?


「まましゃんもおうちに、いきましゅか?」


「あら!私もいいの!?嬉しいわ!」


 間違っていなかった。ママさんの仲間外れは回避した。


 シャーロの家からおうちに繋がっているドアに行き、ダンコラ、イレーネ、ママさんを入れるようにする。ついでにエレナ、カイザー、ラズも。


「みんにゃ!いきましょう!」


 ダンコラとイレーネがわーっとドアの中に入る。シャーロが追っていく。


「あっ!こら!待ちなさい!ダンコラ!イレーネ!」


 ダンコラとイレーネの前ではシャーロはお姉さんになるらしい。


 ママさんと、私達4人も入る。ダンコラとイレーネは大きなベッドの上で転がっていた。箸が転がっても面白い年頃とはこの事だろう。楽しそうだ。ママさんは感心したようにベッドを見て触っている。


 シャーロは自慢するように胸を張っている。慎ましやかだが。そういえば、ママさんも子供を産んだには胸が慎ましい。そういう種族なのだろう。


 ベッドを楽しみ終わったら、ダンコラとイレーネが「わたしたちもここでねたい!」と言い出した。シャーロは少し考えてから「いいわ!」と許可を出した。昨日聞いた時、独身者は団子になって眠っていると聞いたから部屋が狭いのだろう。2人は嬉しそうにしている。


 ママさんとシャーロは家具の手配をしないか話し合っている。仲が良いことだ。



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