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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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妖精の里 5 加護と酒

 大司教様がサチに妖精の友達が出来たと告白してから、応接間でお茶を飲みながら、シャーロとの出会いと妖精の里までの道のり、今日の買い物の話をした。


 大司教様は驚きながらもサチの舌足らずの言葉をうんうんと聞いてくれた。


 それを見たシャーロは優しい人なのね!と思った。


「シャーロ殿、これからもサチ様とお友達でいてくださいませ。サチ様はいい子ですぞ」


「シャーロ知ってるわ!シャーロがサチ様達を妖精の里に案内したもの!」


「それはようございます。サチ様、報告をありがとうございました。生きている間に妖精族と会えるとは思ってもみませんでしたぞ」


「だいしきょしゃまに、しょうかいしたかったにょ」


「はい!嬉しいですぞ。感激です」


「おちついたりゃ、かったもにょ、だいしきょしゃまにあげりゅにょ」


「お気持ちだけでいいですよ。ありがとうございます」


 もうすぐごはんの時間だからサチ達は帰ることにした。


「だいしきょしゃま、またきましゅ!」


「はい、サチ様、お待ちしております」


 サチとラズとシャーロは執務室のドアから帰った。


 閉じたドアをシャーロは見つめる。そして思いつき、サチにお願いする!


「サチ様!シャーロにもこの扉が欲しいの!対価は出せるだけだすわ!」


「どうしてでしゅか?しゃーりょにはおうちがありましゅ」


「今日が楽しかったから!シャーロ楽しかったの!だから、みんなと離れたくないわ!ここにシャーロの家と繋がった扉があれば、いつでもシャーロここに来れるわ!」


 サチは考えた。おうちは常にサチ達と移動している。人間の街に妖精が来たら目立ち、シャーロが危険になるだろう。そうやすやすと悪い人はおうちに入れないけれど。

 でも、妖精の里のシャーロの家と扉が繋がれば誰でも行きたい時に妖精の里に行き来出来る。せっかく出来た友達のシャーロと離れないですむ。


「しゃーりょ、きけんにゃことがありゅかもしりぇましぇん。そりぇでも、とびりゃをつにゃげましゅか?」


「シャーロ自衛が出来るわ!海神様の加護があるの!もし、悪い人に会ったらやっつけてあげるわ!」


「しょりぇにゃりゃ、しゃーりょにへやをあげましゅ。しゅきにゃときに、きてくだしゃい!」


「サチ様!感謝するわ!シャーロ何の対価を払えばいい?」


「ともだちにたいかはいりましぇん。さちってよんで」


「サチ?」


「そう、しゃまはいりましぇん」


「サチ、ありがとう!私達は友達よ!」


 サチは飛んでシャーロと抱き合う。シャーロも抱きしめてくれた。


 ラズはそれを羨ましそうに見ていた。



 それから部屋を出て、ダイニングに居たカイザーとエレナに報告すると喜んでくれた。


「シャーロ殿、いえ、シャーロちゃん!今日からよろしくね!」


「エレナもよろしくなの!」


「シャーロ、俺もよろしくな!」


「カイザーもよろしく!」


 ラズがサチの後ろで佇んでいる。


「ラズもよろしく!」


「はい!よろしくお願いします!」


 忘れられてなかったと、ラズの周りに花が飛ぶ。比喩だが。


 そして、エレナの隣の部屋をシャーロの部屋に決めた。

 シャーロが部屋の中ではしゃぐ。


「シャーロ、自分の部屋なんて初めて!嬉しいわ!」


「しゃーりょ、とびりゃにょばしょをきめてくだしゃい」


「ここよ!ここがいいわ!」


 部屋の扉の隣を身体全体でしめした。


「わかりましゅた」


 サチは飛んで壁がシャーロの繋がりたい所に繋がるように祈った。ドアが出来る。


「しゃーりょ、どあをあけてくだしゃい」


 シャーロはドアを開いた。ドアはシャーロの家の中のダイニングに繋がっていた。

 シャーロの家の中にいた家族はいきなり現れたドアとシャーロに驚いた。


「シャーロ!おま、なん、どうして、そんなところから!?」


「サチ!やったわ!家に繋がったわ!」


「わあ!しゃーりょ、よかったでしゅ!」


「ええ!ええ!私、今日は家に帰るわ!」


「しゃーりょ!まってくだしゃい!おみやげでしゅ!」


 閉められそうになるドアにサチが飛び込んだ!ラズはあっけにとられる。


「まあ!サチ!きちゃったのね!歓迎するわ!」


 サチは机の上に16人分の苺大福と桃をケースで置く。


「ありがとう!サチ!ねえ!みんな!お友達が出来たの!名前はサチよ!」


 いきなり家族に紹介された。


「さち・す!め!ら!ぎ!でしゅ。よろしくおねがいしましゅ」


「あ、ああ、よろしく?」


「まあ、かわいいわ!」


「ぼくよりちいさい」


「わたしよりもちいさいわ!」


「羽が綺麗よ!」


「なんか、シャーロ輝いてない?」


 賑やかな家族だ。シャーロの育った家だ。でも、もうすぐ夕食の時間だ。


「しゃーりょ、また、あしたでしゅ」


「ええ!サチ!また明日!」


 サチはドアから帰った。サチが許可した人物しかおうちには入れない。ドアから来るのはシャーロだけだ。警備上の問題は無い。


「ごはんをたべましゅ」


「それでは参りましょう」


 ラズに捕獲された。抱っこだ。ラズはちょっとヤキモチを妬いていた。今日はサチ様成分が足りていないと。


 サチはラズに身を任せて、ダイニングまで運ばれる。

 丁寧に椅子に降ろされてサチはモツ煮を出した。それとサラダとご飯も。お茶も勿論用意する。


 カイザーが喜んだ。ラズが鍋から器によそってくれる。みんな受け取る。


「「「あまねく神々に感謝を捧げます」」」


「あまにぇくかみがみに、かんしゃをしゃしゃげましゅ」


 食事を食べ始める。

 エレナが喋った。


「シャーロちゃんに部屋をあげるなんて意外だったわ。サチ様どういうふうにあの結論になったの?別に反対はしてないけど」


「ごくん。しゃーりょとは、ともだちになりましゅた。こりぇかりゃもいっしょでしゅ」


「そう、一緒にいたかったのね」


「俺は歓迎だぜ。妖精族と住めるなんて凄え」


「しゃーりょはここにしゅみましぇん。しゃーりょにょいえにいましゅ」


「え?どういう事?」


 ラズに説明を任せた。私は食事に集中するのだ。

 ふんふんとカイザーとエレナが聞いている。理解したようだ。はて、何か忘れてるような。


「ほう、シャーロは海神様の加護を持ってるのか!いいなぁ、俺も欲しいなぁ」


 あっ!思い出した!カイザーだけ、お酒をお供えして加護を貰って無い!仲間はずれだ!


「かいじゃー、しょくじがおわったりゃ、ようじがありましゅ」


「分かったよ。何の用事だ?」


「にゃいしょでしゅ」


 サチは含み笑う。ラズもエレナも分からない顔だ。2人も忘れてる。カイザーだけ加護が無いことを。



 食事が終わったら、サチがお皿を綺麗にして収納にしまう。


「かいじゃー、りぇいはいどうにいきましゅ」


「何だ?何かお祈りするのか?」


「おいにょりしましゅ」


 ラズとエレナが気づいたようだ。2人共にんまりした。


 サチは飛んで礼拝堂まで行く。3人もついて来た。

 盃を綺麗にしてカイザーに持たせて酒の所まで誘導する。樽の蛇口を捻って酒を盃に満たす。8分目で入れるのをやめて、カイザーに祭壇にお供えするように促す。ラズとエレナはお祈りのポーズだ。


 カイザーはよく分からないまま、祭壇に盃をお供えしてお祈りした。


 さて、何の神様が出てくるか?


 1つの神像が光った強い光だ!カイザーが警戒の態勢を取り、サチをいつでも守れるようにする!


 神像から人影が見えた!


「はーっはっはっはーあ!俺様見参!何だいつもより空気がいいな!あれ?俺の姿、見えてる?マジで?」


 何か元気のいい暑苦しい奴が来た。問いにサチは頷く。上半身裸の赤い髪と目の神様が来た!長い髪が靡いている。


「まずは酒を貰うぜえ!ぷはー!うめー!この酒は久しぶりだな!なかなか供えてくれなくてよお!」


 豪快だが、味わって飲んでいるようだ。なんか、暑苦しいけど。カイザーは間近にいる神様に放心している。


 味わっていたけれど、飲み干したようだ。少し残念そう。その瞳がサチを見る。


「よお!兄妹!はじめましてだなあ!可愛い天使ちゃん!お兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!」


 飛び込んでおいでと言われたので、とりあえず飛んで近づいて見るとキャッチされて抱きしめられた!


「う〜〜ん!可愛い!小さいと可愛いよな!よし!時間も無いし酒を供えた男に加護をやろう!そ〜れ!」


 光がカイザーに飛んでいったのを見た。後ろは見えない。


「また呼んでくれよな!兄妹の絆を深めようぜ!」


 言うだけ言って消えていった。何の神様だったんだ?


 カイザーは胸を押さえている。苦しいのかな?


 〈カイザー!健康になれ!〉


 少しは楽になったようで座り込んでいる。ラズとエレナは感動したように頬を染めていた。まあ、見た目は良かったからな。あの神様。カイザーを鑑定!


名前 カイザー

年齢 20

種族 人族

職業 聖騎士

能力 神聖魔法 紅炎魔法

加護 太陽神の加護


 あわわっ!紅炎って太陽の紅炎だよね?カイザーがヤバイ魔法をもらっちゃったぞ!温度が怖い!


「かいじゃー、たいようしんのかごがありましゅ。こうえんまほうをつかえましゅ」


「太陽神。あのお方は太陽神様だったのか?加護をくれた?こうえん魔法?なんだそれは?」


「ほにょー、ほ!の!お!の!まほうでしゅ。おんどがたかいでしゅ。きをつけてくだしゃい」


「温度が高い炎の魔法……新しい魔法が使えるのか?」


 カイザーがだんだんと興奮してきたようだ。苦しんでいたのに、なんかめっちゃ元気。あの神様と同じように高笑いしそうだ。


 はっと何かに気がついたようで、ラズとエレナを見る。


「ラズ!エレナも!酒を祭壇にそなえようぜ!神様から加護が貰えるかも!」


 カイザー、いい奴。だけど、ごめん。2人共加護は持ってるんだ。


 その後、自分が一番最後に加護を貰ったのを知って、落ち込むカイザーがいた。ごめんて。忘れてたんだよ。



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