宿屋に泊まろう お部屋の模様替え
昼食を食べて満足のサチ達は少し散歩をする。
門から外に出て森林浴をする。
強くなければ魔物が出て危ないが、サチ達には結界があるので大丈夫。
カイザーが魔物を仕留め、エレナも負けずと仕留める。お小遣いになると分かっているからだ。
そんな中をラズとサチはのんびり歩いていた。魔物を収納にしまいながら。たまにはサチも歩く。こけるが。
こけるたびにラズがやれやれと起こしてくれる。なんか、そういう遊びに思えてきた。
きゃっきゃとかけるが、べちょっとこける。ラズが起こす。そしてまた歩く。こける。ラズが起こす。
痛くないから出来る遊びだ。
ラズの心労が増えるが。サチ様は大丈夫だろうか?と。
そんな事はお構いなしに草原に出た。管理されてないから草がぼーぼーだ。
太陽で影になり、何かの影が草原にうつった。みんな顔を上げる。大きな何かが飛んでいる。
サチ達に急降下してきた!カイザーとエレナ、そしてサチが構える。顔が見えた!爬虫類のようだ!
顔にミサイルをお見舞いする!顔が吹っ飛び、慣性の法則によりサチ達に突っ込んでくる。サチは急いで収納にしまった。危険は去った。あれは何だったのか?
答えはカイザーが持っていた。
「ふーっ!こんな所でワイバーンに出会うとはついてねぇ。まっ!さすが、サチ様だな!」
ワイバーンとはラズの靴の素材の名前だ。そうか、靴になるのか。皮は取っておいた方がいいかもしれない。
ちょっと検討はずれな事を考えて、サチ達は町に戻る。いい散歩だった。帰りはラズの背中に張り付く。真夏だから、みんなの周囲を涼しくして。
サチが小さいから、おんぶとはいかない。子泣き爺のようだ。
門を潜って町に入る。今夜の宿を決めないと。カイザーが門番に聞いて、そこの宿に行くことにする。
『あしたが来る』まさにそのままの意味の宿屋だ。泊まれば明日が来る。
カイザーが中に入るので、みんなで入る。
「すまん!誰かいるか!?」
「はいはーい。お待ちどう様。宿泊ですか?食事は夕飯と朝食が出ますがどうしますか?」
「宿泊4人だ。食事も頼む」
「4人て、そこの赤ちゃんも含めてですよね?赤ちゃんの分はタダにしておきます。おねしょに注意してくださいね。洗濯は別料金です。銀貨1枚と大銅貨8枚です」
赤ちゃんじゃないぞと思いつつ、タダにしてくれたから文句は言わない。お金を出す。
「えっ!赤ちゃんが!?」
「驚いている所悪いが、精算を頼む」
「あ、はい!お返しは大銅貨2枚です!お部屋にご案内します!」
若奥さんだろうか?元気のいい娘さんだ。
部屋は2階だった。ちゃんと4人部屋だ。
「ありがとうごじゃいましゅ」
「まあ!しゃべるなんて!可愛い赤ちゃんでしゅねー」
子供扱いされた。カイザーが噴き出しそうだ。ぽこんとカイザーの頭を叩く。
「えっ!飛んだ!凄い!」
そんな問題だろうか?この奥さん天然かもしれない。
「それでは、ごゆっくりー」
なんとも、さらりと受け流された。強し!奥さん!いろんな客を見ているんだろう。
ベッドに座る。うん、硬い。おうちに泊まるの決定だな。
「良い宿じゃねぇか。サチ様の料金がいらねぇなんて」
「兵士が紹介してくれた訳よね!これで食事も美味しかったらいいんだけど」
「しょくじまで、じゆうじかんでしゅ。しゅきにしてくだしゃい」
おうちを部屋の真ん中に出すと、みんな中に入って行った。私もね!
魔素で動く時計を作り出して、みんなに渡す。これで食事の時間がわかるだろう。
私は自分の部屋に入って、部屋のコーディネートをする。
壁紙は薄いピンクにして、座り心地の良いソファセットに机を置く。大分部屋が明るくなった。あとは棚を置いて、ラビットちゃんの魔道具を置く。それと飾り棚。宝石を作って並べる。うーん、良い!
世界最大のダイヤモンド『カリナン』を創造して輝きが映えるように置く。ふぅ〜。綺麗。大きさも素晴らしい。さすが、2000億円以上もするダイヤモンド。神様に感謝だわー!!創造神様!ありがとうございます!この能力を授けてくれて!
あとは、旦那がくれた結婚指輪。この輝きが1番好き。愛情がこもってる気がするから。コレクションに並べる。ふむ、良い!あ〜〜!ぜ・い・た・く!
あとは宝石で作った花を並べて。綺麗〜。
エメラルドの最高品質のブルーイッシュグリーンを創造する。あのクレオパトラが愛した宝石。ほぅ。ため息が出る。これも綺麗に展示する。
あー!満足!ベッドから見える。いいねぇ。
ラズの部屋に突撃しようっと!
トントントン
「りゃずー!いりゅー?」
ドアが開いた。
「どうしました?サチ様?」
「おへやのもようがえしゅりゅー?」
「していただけるのですか?お願いします」
「かべはにゃにいろがいい?」
「壁ですか。う〜ん、薄い緑色がいいですかね?」
薄緑の壁紙にする。ところどころに小さな花の模様をつけて。
「サチ様!可愛すぎます!」
返品はもちろん受け付けない。それと、ソファね。ソファセットー♪と机。
それと手紙などを書く、硬い勉強机みたいな物。椅子は快適な座り心地を約束します。棚?棚ね。木目調にして高級感を出す。うーん、良い。それと小さなキッチンが欲しいと?まめだね。造るけど。
いでよ!ミニキッチン!
ラズが満足そうだ。魔道具のケトルも用意してあげよう。
あとは、食器棚も。それだと冷蔵庫もいるな。中に入っているものは時間停止にしよう!腐る心配がない。あっ!食器、食器〜。綺麗なのからシックな物まで。包丁もまな板もいるか。冷蔵庫の中には、果物をこれでもか!と入れる。
ふ〜!満足した。ラズが興味深くいろいろ見ている。あっ!お茶っ葉とティーポットがいるぞ!お茶っ葉は冷蔵庫に放り込んで、ティーポットは私が愛用していたガラスの物。お茶が入ると綺麗なんだ。そっと食器棚にしまう。
そして、ラズの部屋を出る。
次は、嫌な予感がするけど、カイザーの部屋!
トントントン
「かいじゃー!いりゅー?」
「なんだ?サチ様じゃねぇか。どうした?模様替え?じゃあ、お願いしますわ」
「壁紙?薄い青で。おお!綺麗だな。他に欲しい物?酒を置く場所が欲しいな」
酒を置く場所?よろしい。おしゃれなガラスのお酒置き場を設置しよう!照明もつけて。
「おお!こりゃすげぇ!あとは座る場所が欲しいな」
大人の空間を提供する、真っ黒なソファ。座り心地もいいでっせ。あとガラスの机。あとは?
「あとは服、置き場かなぁ?」
クローゼットね。部屋の雰囲気に合わせて暗色で置く。
「いやー!ありがとな!これで楽しめる!」
何事も無くカイザーの部屋を出た。ふー、ひと段落。
あとはエレナの部屋。
トントントン
「えりぇにゃー!いるー?」
「え、サチ様?どうしたんですか?部屋の模様替え?はぁ、お願いします」
中に入る。ベッドで闇魔法の本を読んでたみたいだ。勤勉勤勉。
壁紙の色は?ほう、薄いピンク色とな?私と同じじゃないか。エレナの方には小さな花を散らそう。うん、可愛い。
他に欲しい物は?え?いらない?それでは、サチにお任せあれ!
ソファセットに、机、勉強机にクローゼット!これでいいんでないかい?ちょっと乙女な空間になってしまったが。
「サチ様!ありがとうございます!わあ!素敵!」
エレナに良い良いとしてたら抱きしめられて、ベッドに一緒に転がった。顔にちゅっちゅしてくる。そんなに嬉しかったか。そうか。
お昼寝しちゃうぞ。ぐぅ。
エレナとお昼寝しちゃったみたい。ラズが必死になって私を探していた。ごめんよぅ。夕食だね。
過保護になったラズに抱っこされて1階の食堂に行く。
わあ、お客さんがいっぱいだ!これは期待出来るぞ!
「あ、2階のお客様ですね。こちらへどうぞー」
座って雑談していると、食事が来た。
「トドヤンの焼き肉でーす。お子様はこちらをどうぞ」
鳥のもも肉みたいな焼肉にパンとスープが付いている。私のは子供サイズの小さくカットされた食事だ。気遣いが嬉しい。
「ありがとうごじゃいましゅ」
「あらー!お礼が出来て偉いわねー」
また、子供扱いされた。いいもんねー。幼児だもんねー。
具は小さく切られてるから、フォークとスプーンで食べる。トドヤン、美味しいじゃん。何肉だよ。
カイザーがおかわりした以外何事もなく食事が終わった。おいしかったんだね。
2階の部屋に帰って、おうちに入りお風呂に行く。今日はラズといっしょー。カイザーもね。ぺっ!根に持つタイプです。
安心ラズとのお風呂は快適!くしゅくしゅ洗われて気持ちいい。
まるっと綺麗になったら、まずはカイザーのいない露天風呂にGo!のんびりと浸かる。
ラズが来た。ラズの近くに行く。ほぅ、いい湯ですなぁ。ラズが羽を撫でてきた。珍しい。
「サチ様の翼は不思議ですね」
「うん、わたちもふしぎー」
「そうですか。ふふっ」
ラズの機嫌が良いぞ。あ!カイザーが来た。中のお風呂に入ろう。ラズもついてきた。
カイザーのいない湯を楽しむ。お風呂のカイザーは信用してはいけないのだ!
ラズに抱っこされてあがる。過保護め。
服を着て、髪を乾かして顔にクリームを塗ったらお風呂から出る。
エレナがいるから、みんなでコーヒー牛乳を飲む。あっ、そういやみんなコーヒーデビューだ。
「なんというか、美味しいですね」
「にが甘いけど美味しい」
「するっと喉に入るわ」
「こーひーぎゅうにゅうでしゅ」
「こーひーぎゅうにゅうって言うのね」
口をすすいで寝る。ラズが私の部屋を驚いたって言ってた。
宝石は驚くよね〜。
いいね、ありがとうございます。




