領主に若返りのご報告 タンザナイト
昼食が終わって、大司教様の部屋に行く。
大司教様は正装をしていた。それほど重要なお話だということだ。
大司教様と一緒に馬車に乗り、聖騎士に護衛されながら領主館への道を進む。
「誠、創造神様には感謝です。若返ったおかげで身体の調子が良いですぞ。サチ様にも感謝ですな」
「わたちは、だいしきょしゃまを、しゃしょっただけでしゅ」
「それがありがたいのですよ。創造神様のお姿を拝見出来て、天にも昇る気持ちです!」
大司教様がとても嬉しそうだ。でも、若くなった大司教様、結婚相手にと狙われたり苦労があるだろうな。
そんな大司教様には守りの宝石を贈ろう。
青紫のタンザナイト。神秘、冷静、誇り高いという石言葉がある。大司教様にぴったりだ。カラット数は50ctにするかな?チェーンはミスリルで。
いでよ!タンザナイトのネックレス!
手の中に現れた。大司教様に着けてもらう。
「だいしきょしゃま、まもりのほうしぇきでしゅ。みにつけていてくだしゃい。たんざにゃいとといって、しんぴ・りぇいしぇい・ほこりたかいという、いしことばがありましゅ」
「ありがとうございます。大切にします。石言葉に恥じないように頑張ります」
大司教様が、やんわりと抱きしめてきた。真夏だから暑い。車内がひんやりとするようにする。
「おや?サチ様ですかな?心地よい空気です。ありがとうございます」
汗かいてる大司教様は嫌だからね。
馬車内でのんびりしていると、外から声がかかった。
『大司教様!領主館に到着いたしました!』
「着いたようです。行きましょう」
大司教様に抱っこされて馬車から降りる。
領主館に聖騎士に護衛されて入る。執事らしき男性がいた。
「大司教様、ようこそおいでくださいました。わたくし、執事のシェパードと申します。我が主の元へ、ご案内いたします」
執事のシェパードさん。犬みたいでかわいいね。
そんなに歩かないで着いた。警備兵が扉の前に立っている。
「大司教様をお連れしました!」
『入れ!』
「どうぞ、お入りください」
扉を開けて促してくれる。応接間の中に入った。
「ようこそ、大司教様ぁ!?」
領主と領主の息子がいた。
あ!ダイヤモンドのペンダントを着けてくれている。嬉しいな。
結婚の儀式の後に問い合わせがあり、守りのペンダントである事、ダイヤモンドという石で石言葉も教えたら「家宝にします!」と言われた。家宝多いな。
「大司教様、若くなりましたな。理由をお聞きしてもよろしいですか?」
「まずは座っても?」
「おお!申し訳ありません。お座りください」
大司教様と領主達がソファに座る。
「その事でお話があるのです。昨夜、礼拝堂で創造神様から加護をいただきました。それにより、若返ってしまったのです」
「なんと!創造神様に!大司教様は神託から加護まで凄いですな!して、創造神様はどうでしたか?結婚の儀式と同じお声でしたか?」
「そうですね。同じでしたが、本物はもっと威厳と重厚感のあるお声でした。それに、お姿も大きくまさに創造神様でしたな」
「なんと!お姿も拝見されたのですか!?どうでしたか!?」
「礼拝堂の天井に届くほど大きく、お恥ずかしながら私は気絶してしまいました」
「それほどですか。いや、素晴らしい!おお、サチ様もお久しぶりですな。旅に出られたと聞きましたがお戻りだったのですね」
「はい、いちじきたくちゅうでしゅ」
「ははっ!一時帰宅ですか。帰る場所と認識してくれて嬉しいですな!」
領主が笑って告げた。そうだ、いつのまにか帰る場所になっていた。居心地が良くて。
メイドさんがお茶を持ってきてくれた。なんか熱い視線を感じる。
チラッと見てみると領主と息子が期待に満ちた目で見つめてきた。
これは、あれだ、お菓子!スイーツを出せと言っている。
よーし!出してやろうじゃないか!某喫茶店の豪華フルーツのパフェを!前世で子供の頃に食べて感動したんだ。メロンも飾り切りしてあるし、りんごやいろんな果物が一緒に入ってるのに盛り付けが芸術的で。
いでよ!某喫茶店の豪華パフェ!
領主と息子の目がキラキラと輝いた。
「どうじょ、ぱふぇでしゅ」
「ばふぇと言うのかい?素晴らしいね。この透明な器に宝石のようだ!」
長いスプーンとフォークも一緒に出してあるから大丈夫だろう。
大司教様と私の分もあるよ!当然!
カトラリーを自然に動かして食べる。う〜ん!美味しい!
「サチ様、なんと美しいんだろうね。いただくよ」
大司教様も食べた。口元が緩む。おいしいよね!
口の中が冷たくなったら、あったかいお茶を飲む。ほ〜、落ち着く。
アイスが溶けて口から落ちるといけないから、パフェの器を浮かせて、あごの下に持ってくる。
それを見た領主達が驚いているが、今さら隠すことなんて無い。部屋を少し涼しくする。冷気がさらっと頬を撫でる。気持ちいい。
部屋が幸せに満たされた。
その後、大司教様と領主が世間話をしてから帰った。
世情の事にも詳しくなきゃいけないんだね。大変。
「サチ様、昨日からありがとうございます。世界が1日で変わりましたよ。若いって凄いですなぁ」
まだ、おっさんくささが抜けない大司教様。若年寄りみたいだよ。1日じゃそんなもんか。
ぴっとりと大司教様に引っ付く。帰りの馬車も涼しいよ。
大司教様があやすように撫でてくれる。心地良い。
お昼寝してないからうとうとしてたら、教会に着いたようだ。
大司教様に抱っこされて降りる。そのまま礼拝堂を歩いていると叫ぶように呼ばれた。大司教様が。
「大司教様!いいところに、治癒院に運ばれてきた患者さんの容態が良くならないんです。大司教に来ていただければ、きっと良くなります!来てください!お願いします!」
司教だろう女性が大司教様に救いを求める。
大司教様は仕事の顔になって応じた。
「分かりました。治癒院に行きます。案内してください」
「はい!こちらです!」
治癒院は教会と同じ建物だけど、入り口が違った。より入りやすくなっている。掃除しても取れない匂いなのか、ちょっとカビ臭い。
〈匂いよ!治癒院よ綺麗になれ!〉
一瞬で治癒院が綺麗になった。司教の女性も大司教様も驚いている。
「これは、サチ様が?」
「しょうでしゅ。ちゆいんはしぇいけつじゃにゃけりぇば、いけましぇん」
伝わるかな?清潔って言えなかった。
「そうですね。今度から掃除を徹底させましょう」
女性の司教の顔が引き攣った。掃除は嫌なんだろうな。
「この部屋です!骨折や見える怪我は治療したのに痛いみたいでずっと苦しんでいるんです!」
「この方はどうやって怪我をしました?」
「大工の棟梁の方で2階の屋根の高さから落ちたそうです」
患者を見てみると内臓出血だ。臓器が破裂している!
「だいしきょしゃま!」
「そうですね。内臓が損傷しているのでしょう。創造神様からいただいたお力でどれだけの事が出来るか」
大司教様が私を椅子に下ろして、患者の隣に行き神聖魔法の治癒を使う。
大司教様の神力の力が見える。内臓を修復している。元々の大司教様の力なのか、それとも創造神様からいただいた力なのかは分からないけど、徐々に傷が治り、臓器が再生されている。
今、完璧に治った。患者の呻き声はもう聞こえない。大司教様がいなければ危ない所だった。
「これでいいでしょう。治りましたが傷以外から体力を持ってきています。養生してから帰るようにさせてください」
治癒を見守っていた神官達と同僚がお礼と感想を口々に言う。その一つ一つに応える大司教様は教会の鏡だった。
私は疲れただろう大司教様に飛んでついていく。礼拝堂で大司教様が祈った。私もその隣で祈る。
大司教様が立ち上がり、私を抱っこして歩いて行く。
疲れて無いのかな?
大司教様の部屋に戻ると大司教様が叫んだ!
「ああ!もう!何て力だ!素晴らしい!創造神様に感謝を!」
私を下ろして、また祈っている。創造神様のお力を感じられたようだ。よかった。倒れ損じゃなかったみたいで。
私がにこにこ見ていると抱きしめてきた。
「サチ様の、サチ様のおかげですぞ!ありがとうございます!私は、また一つ壁を破りました!」
乗り越えたんじゃなくって、破ったんだ。力技だなぁ。
あ、でも、創造神様のお力って乗り越えると言うよりも力でごり押しするって言う方があっているかもしれない。力押し。
神様が、何かすると大事になるから私がこの世界に来たのかもしれない。3つある神の奇跡は全部大事だからね。全部、滅亡系。
大司教様の気が済むまで振り回されて、今日は大司教様とお風呂に入った。
大司教様は丁寧に洗ってくれて、小さい子供のお世話は慣れていないみたいだけど、綺麗に洗ってくれた。
大司教様と隣あって湯船に浸かる。大司教様、身体もぴちぴちになってドキッとしちゃったぞ。スクリナも一緒だけどね。
スクリナはねぇ、40歳くらいの男性で、身長は大司教様と同じくらいの、ん〜180cmくらいかな?髪は青くて瞳も青い。明るい色だけどね。司教らしいよ。好きで大司教様のお世話をしているらしい。大司教様のシンパだ。
大司教様はねぇ、長髪を普段はくくっていて、若返ったらおでこ側に短い髪が生えちゃった。ぷふっ。笑っちゃいけないけど笑っちゃう。それが前髪みたいになって幼く見える。髪は艶のある黒で馴染み深い。目は翡翠色みたいで綺麗だ。結婚してないのが勿体ない。若くなったから、ワンチャンあるかもよ?
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書いている途中にデータが飛んで、心が死にました。ダメージが大きい!なんとか書き上げましたが、違うお話になってしまいました。
誤字脱字がありましたら教えていただけると幸いです。よろしくお願いします!