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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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村の復興 そして脱出

 夕方にラズは予想以上の働きをして帰って来た。村の女子供も一緒だ。


 街まで行ってくれて、兵士を5人と兵士用の大型テントを2つ持って来てくれた。身体が弱い人が眠れるだろう。


 男達も起き上がって復興作業をしていた所だ。自分の家族を探している人。見つかって喜んでいる人。亡き骸を見つけて泣いてる人。様々だ。


 私達は兵士について事情聴取をしていた。

 あらかたラズが話してくれていたみたいで、サラッとしていた。ゴーレム男は兵士に渡した。うーうー言ってるけど、知ーらない。


 ゴーレム男は夜通し拷も……身体で会話していたら、犯行を吐いたらしい。村人が集められて兵士から説明された。


 男は元村人で、村でゴーレム研究をしていたのだけれど、両親と村人に反対されて「真面目に働くように」言われた。けれど、仕事をせずにゴーレム研究ばかりして村を父親に追い出されたらしい。

 恨みに思ったゴーレム男は街で勉強して力をつけてから、まずは村を潰そうと考えたみたいで、ゴーレムだけじゃ力不足だから、魔物を挑発して惹きつけて村を襲わせたらしい。


 そんな事出来るのか?と思ったら、魔物のトレインは力不足の冒険者に、よくある話らしい。


 トレイン中に魔物に捕まっちゃえばよかったのに。


 犯人は裁かれておそらく死刑だろうと言われた。救いがないなぁ。


 私達にはゴルダンを倒して、ゴーレム男を捕まえた功績で賞金が出るだろうと言われたが、賞金が出るまで時間がかかるらしいので、被害者遺族に分けてやってくれとお願いしたら「欲が無いですね。教会を見直しました」と言われた。教会って良く思われてないの?


 カイザーに聞くと街町で違うらしい。教皇様が全世界の教会を監視出来ないのが原因で、たまに横暴なトップが出て来るらしい。まあ、大体は聖騎士に捕えられるらしいが。教会と聖騎士はどっぷり仲間かと思えばそうじゃないらしい。聖騎士はいざという時の内外への抑止力として動いているそうだ。ある時は教会関係者を守り、またある時は犯罪や横暴な教会関係者を戒める自浄作用みたいなものらしい。聖騎士が横暴になったら、その町の為政者が動くそうだ。騎士の相手は騎士か兵士しか出来ない。戦闘職だからだ。聖騎士仲間が騙し討ちする時もあるらしいけど。この方が被害が少ないらしい。


 ふ〜ん。教会も綺麗事ばかりじゃないね。


 それを聞いて、ゴーレム男の家族は今回の騒ぎで父親は亡くなって、母親が居心地悪そうにしていた。子育ては大変だよね。旦那も亡くなり、息子は死刑。村に対して負い目が出来ちゃったから悲しめない。辛い立場だ。村社会怖い。


 けど、殺されちゃった村人はそんなの関係ないって話だ。怒りの矛先が向いちゃうよ。兵士に言ったら「保護して別の村に送る」と言ってくれた。犯罪者家族によくあることらしい。2次被害が出て犯罪者にならなくていい人が報復を考えて犯罪者になってしまうのが多発した時代があって、そう決まったようだ。


 良かったね。お母さん。1人で暮らすのも大変だろうけど。


 お昼には大量の兵士が来た。村人の畑がほとんど潰されて食べる物が無いから、仕方なく襲ってきたゴルダンを食べている状況だ。

 私が持ってる野菜を提供したけど、2日程しか持たないと言われた。そうだよね。100人ほど村人が居て、兵士は食糧を持っては来たけれど30人くらいはいる。


 私は仕方がないと能力を使うことにした。責任者の隊長に兵士と村人を1箇所に集めてもらって、能力で瓦礫を浮かせて一纏めにした。


 驚いたのが、死んだと思われていた村人が瓦礫の中から3人見つかったのだ。怪我も能力で治した。

 まぁ、瓦礫の下で潰された遺体も見つけたけどね。


 これで村がサッパリとした。瓦礫で死体を焼くらしい。疫病が広がらないように。遺族は死体にお別れをしている。


 そして寝る家を作らないといけない。元家があった場所に間取りを聞いて、能力で周りの家に似た新しい家を建てる。これには村人も喜んでくれた。


 その日で全ての家を建て終わった。



 次の日。


 兵士がすることが少なくなったので、食糧だけ置いて半分の15人が街に帰った。


 私は能力で畑を再生することにした。飛べるのは、もう隠してない。凄い珍しがられたけど。


 畑に埋まっている作物から種を取って、それを耕した畝に植えていく。そして、種を成長させれば作物の出来上がりだ。


 収穫時期が被らないように成長を促す。

 全ての畑に1日かかった。村人は大喜びだ。


 これだけ大きな事をしちゃったから領主から目をつけられないように明日の朝、出発する。


 私が作った家でみんなで休んで、英気を養う。


 少し早く起きて、みんな準備する。村人が寝ている間に出て行くのだ。


 門を警備している兵士に出て行くのを止められたが実力行使!車を出して一斉に乗り込んで走り出す。


 村人と兵士の目が日に日に怖かったからね。

 あれじゃあ捕まると思ったのさ。助けたのに。


「ありゃあねぇよなぁ。さんざん助けられておいて」


「人の欲は計り知れないものです」


「最後くらいもろ手を振って送りだしてほしいよね」


「しかたにゃいでしゅ」


 ラズにチャイルドシートに座らされて、みんなでため息を吐く。


 旅は途中だ。いい人ばかりじゃないことも知れた。それだけでも収穫だ。閉じ込められなかっただけ良しとしないと。


「しょりぇで、りゃずにょ、しんしぇいまほうは、どうでしたか?」


「力が上がって、前までは治せなかった傷も治せました。まだ、精進が必要ですが」


「おー!それは良かったな!サチ様、俺達にも神力を使えるようにしてくださいよー」


「何?何の話?」


「かんがえておきましゅ」


 それでも、私達は進みたい方向に進むのさ。誰に邪魔されようとも。行手を阻む者は許さない。やられる前にやる。


「サチ様ー。この領を超えたら街に入りましょう。そろそろ街の雰囲気が懐かしくなって来ましたよ」


「いいでしゅよ。まかしぇましゅ」


「サチ様、そればっかりー」


 カイザーとエレナに言われたが、目的地以外は何処に行ってもいいのだ。楽しければ良い。みんなが笑顔でいれたら。


 ストローマグで麦茶を飲む。サチのお気に入り。ラズが優しい顔で見てくる。

 ラズの表情も柔らかくなった。サチは嬉しい。今夜でも大司教様の所でも行こうかな?大歓迎で迎えてくれるに違いない。


 朝が早かったサチは居眠りする。このメンバーは心配ない。安心できる。チャイルドシートに身を任せた。



いいね、ありがとうございます!

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