おうちを作った
まずは、女湯に行ってアメニティグッズとタオルを出す。それから男湯に行ってアメニティグッズとタオルを出したら、ラズに服を脱がせてもらう。
お風呂場にはトイレがついていた。
カイザーは先に風呂に入った。後から追いかける。
ラズにシャワーで全身を洗われる。痒さが飛んでいった。ムズムズしてたんだ。気持ちいい。
シャンプーは美容院で使われている香りがいいやつ。んー、癒されるー。
まるっと洗われたら、お湯にどぼん。カイザーの筋肉が凄い。ちょんちょんと触る。マッチョポーズをしてくれた。キレてますねー。
教会と同じ美肌の湯で嬉しい。ぷかぷかする。カイザーとは初めてのお風呂だから興味深そうにみてくる。きゃー、恥ずかしいわ!なんて嘘だけど。幼児、恥ずかしくない。
飛んで露天風呂に行く。カイザーもついてきた。
また、ぷかぷか浮く。カイザーが翼を触ってきた。触りたければ触りなさい。いい翼でしょー!こら!沈まそうとするんじゃない!飛んで離れる。
カイザーが笑う。いつもは真面目なのに、いたずらっ子の面があるんだね。注意が必要。
カイザーが出て行ってラズが来た。一緒に湯に浸かる。ふー、安心。
「長湯です」て抱っこでお湯から上がった。
心配症だなー。
カイザーが私が拭き拭きされるのを興味深そうに見ている。ラズが身体を拭いている時にカイザーが服を着せてくれた。ちょっと雑だな。繊細さが足りない。でも、ありがとう。
ラズにキャッチされて髪を乾かされる。気持ちいいー。
ラズが自分の髪を乾かしてる間に保湿する。赤ちゃんの肌は繊細なのだ。赤ちゃんじゃないけど。いつも赤ちゃんみたいなモチ肌だけど、もっと良くなると信じてる!ラズにも保湿。まー最近美男子になっちゃって。こんなに輝いていたかな?ラズ。
私はちょっと怪しく思い、ラズを鑑定した。
名前 ラズ
年齢 21
種族 人族
職業 司祭
能力 神聖魔法 神力
ラズが神力を使える!どうして?あれ?そういえば先生も輝いて見えた。共通点は……おやつ!勉強の休憩時間のおやつだ!能力で出した!毎日食べた!能力で出したものを身体に取り入れる続けると神力が使えるようになるのか!悪い事したなぁ。あれ?悪い事か?ラズの神聖魔法の能力が上がったんじゃない?
髪を乾かし終わったラズに言う。
「りゃず、しんりきがつかえりゅようになってましゅ。こんど、びょうにんやけがにんがいたりゃ、りゃずがちりょうしてくだしゃい」
「私が?神力を!?本当ですか!?」
「ほんとうでしゅ。しんりきをつかえましゅ」
「神聖魔法の威力が上がったのでしょうか?」
「しょれはわかりましぇん。しょのためのちりょうでしゅ」
「分かりました。今度、怪我人、病人がいたら治療してみます」
「おねがいしましゅ」
「おいおい、なんか凄いこと言ってるじゃねぇか?」
「聞いていたのですか?カイザー」
「聞こえてきたって言うんだよ。本当に神力が使えるのか?」
「わかりません。その為の治療です」
「はーっ!原因はなんだろな?」
「サチ様、原因はわかりますか?」
「おやつでしゅ。しぇんしぇとたべた、おやつがげんいんでしゅ」
「そうですか」
「おやつって?」
「サチ様がくださったお菓子のことです」
「サチ様がくれるものを食べると神力が使えるようになるのか?」
「おそらく」
「ふーん。俺も神力使えないかなぁ?」
「それはサチ様、しだいでしょう」
みんなで風呂場から出た。エレナはいないから、部屋に行こうかな?ラズが連れて行ってくれる。そうです、また抱っこされてます。過保護!
部屋に入るとベッドがデーン!と置いてあった。さすがワイドキングサイズ。大きいね。魔道具の照明がついている。他はガランとしている。家具を暇な時に作るかな?
ラズが靴を脱がせてくれた。私の靴は汚れないからいいのだ。トモモの果汁ジュースをラズと私の分を出す。私のは小さいコップ。
「りゃず、いっしょににょみましょう」
「はい、ありがとうございます」
ラズにもベッドに座ってもらい、2人でトモモの果汁ジュースを飲む。爽やかな香りに酸味と甘味のバランスがいい。こんなジュース初めて飲む。おいしい。
ごくごくと飲んだらすぐ無くなってしまった。お気に入りの飲み物になった。
ラズも飲み終わったみたいだ。
「美味しいですね。こんな飲み物、初めて飲みました。ありがとうございます、サチ様」
「はい!もう、ねましゅ。おやすみにゃしゃい、りゃず」
「はい、サチ様、おやすみなさいませ」
横になった私に掛け布団を掛けてくれて、照明を切ってからラズが部屋を出て行った。
私はあくびをして寝る。今日は疲れた。
翌朝はラズに起こされた。ここには鐘が無いから時間がわからない。
抱っこされて、洗面所に連れて行かれる。
洗面所は綺麗なパーキングエリアにあるような、洗面台が斜めになって手をかざせば水が自動で出てくる仕様だ。飛んで口と顔を洗う。複数あるから人が増えても大丈夫そうだ。隣には男女別のトイレがあった。私のイメージとは?
ダイニングに行って、朝食を収納から出すとラズが配膳してくれた。4人みんなでいただく。私はあーんだけど。エレナとカイザーが面白そうに見てくる。見せ物じゃないぞ!
食事が終わったら礼拝堂でお祈りしてから家を出る。昨日の村長の部屋に出た。私は収納に『おうち』をしまう。もう小屋とは言わない。家なのだ。誰が何と言おうとも私の家なのだ。
ラズとカイザーとエレナが布団を畳んでくれる。触ったらかゆくなりそうなので避難する。
みんなで昨日朝食を食べた場所に行くと、村長代理がいた。
「皆さんおはようございます。朝食は食べますか?」
「いえ、部屋で食べたので結構です。ありがとうございます。これから出発しようと思います。寝床を提供してくださりありがとうございました」
「いえっ、いえっ、こちらこそ皆さんに来ていただいて助けてもらいました。ありがとうございました!」
「それでは、出発します。さようなら」
「はい!いってらっしゃいませ」
村長代理はいい顔でお見送りしてくれた。
村から出て道に立つ。私は収納から車を取り出した。カイザーが運転するようだ。
ラズに丁寧にチャイルドシートに座らされる。ベルトを閉めたら、出発だ!
車が静かに走り出す。まあ、浮いてるからね。
日が高くなると馬車とすれ違ったり、追い越したりする。
カイザーいわく御者と馬が「すっげー驚いてる!」そうだ。そりゃ驚くね。地球の乗り物だから。いや飛んでるから未来の乗り物かな?多分この世界で1台しか無いだろう。
途中で止まって、『おうち』を出してトイレ休憩と水分補給をする。急ぐ旅でもないからね。
魔物が寄ってきたら、エレナとカイザーがバサリと切る。
聖騎士カッコいい!魔物の亡き骸は収納にしまう。冒険者ギルドがあったらそこで売ろう。
私も大きい魔物がいないか索敵する。うん、大丈夫。
おうちを収納にしまい、また車に乗り走り出す。
能力で窓を少し開けると涼しい風が入ってくる。クーラーもつけよう。
「きゃ!何!?冷たい風?」
エレナが驚いてしまったようだ。
「くーりゃーでしゅ。くりゅまのきにょうでしゅ」
あ、通じないけど何かしたってわかればいいや。
「サチ様が?暑いから嬉しい。ありがとうございます」
「よきよき」
車の機能は使ってなんぼだよね。車内がひんやりとしてきた。窓を閉める。ラズは自動で動く窓に驚いたようだ。
「サチ様は凄いですね」
「くりゅまがしゅごいにょ」
「はぁ」
あ、ラズにも通じなかった。寂しい。
「あれ?何でしょうか?たくさんの女子供が護衛も連れずに歩いています」
「かいじゃー、どうしたかきいて」
「わかりました」
車を止めて、聞きに行ってくれる。10分ほど経ったら戻って来た。
「いやー!大変でしたよ!聖騎士だとバレたら女子供に囲まれて「村を助けてくれ」と泣きつかれました。どうやら、大きな魔物が出て村の男達が戦っているうちに逃げてきたそうです。サチ様、どうしますか?」
「たしゅけにいきましゅ!むりゃにごーでしゅ!」
「分かりました。サチ様ならそう言うと思いましたよ!それでは飛ばしますね」
カイザーが運転席に座ると車が急加速した。Gがかかる。
「カイザー!もう少し安全に運転しなさい!守るべきはサチ様ですよ!」
「悪い悪い。サチ様、大丈夫ですか?」
「だいじょうぶでしゅ」
「もう、村の入り口が見えて来ました!止めますよ!」
急に止まってガクンとした。
「カイザー!!」
ラズが怒っている。カイザーとエレナが車から飛び出して、村に走っていく。私も行こう。
「りゃず、べりゅとをはじゅしてくだしゃい」
「危ないからダメです。サチ様はラズと一緒にいてください」
それではダメなのだ。瞬間移動で車の外に出る。ラズごめんね。でも力があるのに戦わないって出来ないんだ。しかも私が行くって言ったから、戦いに行ったエレナとカイザーを放っておけない。
さあ、行くぞ!
いいね、ありがとうございます!




