2度目のお出かけ 2
結局6冊も本を買った。本読むの好きなんだよね。
『魔道具の作り方』『薬の作り方』『植物図鑑』『魔物大全』『スキル大全』『世界地図完全版』
お金がぴゅんと飛んでいったね。満足だけども。
次は何処に行こうかな?服屋に鞄屋、靴屋がある。
昨日ラズの靴を血だらけにしちゃったから買おうかな。
店内に入る。店員さんの顔が驚愕に歪んだけど、すぐ元に戻った。
「いらっしゃいませ」
「しゅみましぇん。こにょひとのくつを、かいたいでしゅ」
「サチ様!?」
ラズが驚いている。
「既製品とオーダーメイドがございますがどちらになさいますか?」
オーダーメイドの方が足にはいいよね。
「おーだーめいどで、おにぇがいしましゅ」
「革は何で作りましょうか?お選びください」
見本の革を見せられる。
いっぱいあってわからない。1番いい革にしよう!
「いちばんいいかわをおねがいしましゅ」
「1番良い皮革ですと、ワイバーンの革で金貨6枚になりますがよろしいですか?」
「だいじょうぶでしゅ。いま、はりゃいましゅか?」
「はい。それでは大金貨1枚いただきまして、金貨4枚のおつりになります。そこの椅子に座って採寸しますので、お座りください」
ラズが諦めたように椅子に座る。
奥から職人らしき人が来た。ラズに挨拶して脚の採寸と型取りをする。
あ、2人が困った顔してこちらを見てくる。ごめんなさい。近づきすぎました。離れて見る。カウンセリングもしてる。丁寧な仕事に安心します。
オーダーメイドだから時間がかかるな。あ、靴の種類をみている。皮の大きさが違うけどいいの?料金を多めに貰ってるからいいって?そんな事言っちゃっていいの?受け取りの時に余ったお金を返してくれるって?へー。そんなふうになってるんだ。
店員さんが、さらりと教えてくれる。いい人だ。
ラズが靴を決めたようだ。割符を貰っている。引き換え券代わりかな?戻ってきた。
「サチ様、帰ったら代金をお支払いいたします」
「いりゃにゃいでしゅ。ぷりぇじぇんとでしゅ」
「それは!……いいえ、ありがとうございます。大切にします」
否定しようとしたから腕組みして見下ろしてみた。そしたらラズは納得してくれた。腕組めなかったけど。仕方ない幼児だから。
「ありがとうございました!」
店員さんのお見送りの言葉をいただいて外に出る。
次は何処にふらふらしようかな?
旅行品店がある。ちょっと中を見て行こうかな。
「いらっしゃい、ませえ?」
疑問系で迎えられた。ふむ、保存食だな。値段が高い。さすが富裕層向け。硬そうだけど、水分を抜いて保存期間を伸ばしてるんだろな。
あ、旅装がある!地味だけど生地がしっかりとしてる。私はいらないけど。
あ!テント!中に入ってみる。ふむ、私にはちょうどいいかな?大人には狭いだろうけど。暗いな。化学繊維なんて無いから仕方がないか。
店に入って何も買わないんじゃ悪いな。保存食を買おう!私が食べなくても困った人がいたらあげればいい。
「銅貨7枚になります。おつりはこちらです。ありがとうございました」
収納にしまって店を出る。何処に行こうかなー。ふらふらと飛ぶ。
あ!宝石商アレキサンドライトだ!この世界の宝石に興味があるんだよね。見に行こう!
門番さんが私を見て戸惑ってる。お客さんに見えない?
「おみしぇにはいりたいでしゅ」
「入店したいのですが、ドアを開けてくれますか?」
ラズの冷ややかな声に慌ててドアを開ける門番さん。
中に入るとカウンターにお菓子のお姉さんがいた。
目を見開いている。
「いらっしゃいませ。お買い物ですか?」
「ほうしぇきをみしぇてくだしゃい」
「承りました。そちらのソファ席にお掛けくださってから、少しお待ちください」
ぴゅーんと席まで飛んで行く。ソファの後ろに聖騎士とラズが立っている。
「りゃず、りゃずはここにしゅわってくだしゃい」
私の隣をぽすぽすと叩く。ラズが座ってくれた。
お姉さんがお茶を持って来てくれた。
「ありがとうごじゃいましゅ」
この間と同じように、にこりと笑って去って行った。
ラズにお茶を飲ませてもらう。ぷはー!生き返る!結構、水分抜けてたんだな。
聖騎士達にもスポドリをあげよう!紙コップに入ったスポドリを渡す。
「ありがとうございます。使徒様」
「ありがとうございます」
みんなお礼を言ってくれた。聖騎士は礼儀正しいね。紙コップは回収して収納にぽいする。
「といりぇにいきたいひとはいってもいいでしゅよ」
「それでは失礼して」と1人ずつ代わりばんこに行くらしい。
おっ!あれは店主のマインドさんじゃありませんか!え、店主直々に来てくれるの?
「またのご来店ありがとうございます。店主のマインド・リーです。宝石をお持ちしました。ご覧くださいませ。気に入らなければ奥から別の宝石を持って参ります」
大きいケースが開けられて、そこにはキラキラと光る宝石が並んでいた。
うぉう!めっちゃテンション上がる!宝石鑑定士なんて、宝石が好きじゃなきゃ出来ないよ。まあ、私が前世で好きに出来た宝石は婚約指輪だけだったけどね。旦那と死別したから、その後のお金は生活費と貯金に回してたし。
鑑定!鑑定!なになに、ふぉー!値段まで出て来る!凄い!鑑定!宝石の大粒ばかりだし。さてはこの間のお金を回収しようとしているな?店主。
あー!でも目移りしちゃう!どれも綺麗だわー。
店主は静かにしてくれる。客の心理をわかってるね。そう、静かに選びたいんだ。宝石の輝きに浸って。
やっぱりピンクの宝石かわいい〜!クリンスクリンだって!名前もかわいい!でも、カットがイマイチ。人力でカットしてるんだろうから、これが限界かな?創造の能力で生み出して収納にしまっておこう。いつでも見れる。店主よごめんね。
次々に能力で生み出しては収納にしまっていく。隣のラズは気がついたようだ。少し驚いている。
よし、全部終わった。
「しゅみましぇん。ほかにょほうしぇきを、みしぇてくだしゃい」
「おや、お気に召しませんでしたか。少しお待ちください」
店主は残念そうに店の奥に行った。ラズとのんびり、お茶を飲む。ふぃー。久しぶりに集中しちゃったぜ。
ラズがこそっと話しかけてきた。
「サチ様、何やら凄い事をされていたみたいですが」
「にゃいしょね。しーっ」
ラズと悪巧みの話をしてこっそりと笑う。
店主が大きな鞄を2つ持って帰ってきた。
「お気に召すかはわかりませんが、こちら当店でも目玉商品の宝石の原石でございます。ご覧ください」
大きな宝石の原石が出て来た!
「にゃーーー!!!」
思わず叫んでしまった!
「サチ様!どうなさいましたか!?」
「しゅばらしいでしゅ!!かいましゅ!」
剣山のように土台から突き出している石達。素晴らしい宝石の原石だ!いくらだろうか?
「ありがとうございます!当店のとっておきなんですよ。価値をわかっていただいて嬉しく思います。お値段はミスリル貨3枚と大金貨5枚になります。どうですか?他の宝石も?」
また、パカリと鞄の蓋が開く。さっき見せてもらった宝石には敵わないが、こちらにも知らない宝石がある。能力で作り収納にしまっていく。はぁー、眼福眼福!




