孤児院に寄付 院長と再会
昼食を食べてから、孤児院に行こうとすると、ラズが「少し待っていてください」と何処かに行った。
あ、ラズの昼食は私が先生と勉強している時に食べているみたい。
帰って来たので、礼拝堂を通るから神のマントをつけて飛んで行く。
一般人に驚かれながら教会の入り口に着くと、聖騎士が4人居た。護衛だって。
前後を2人ずつ聖騎士に囲まれて、ラズと一緒に隣の孤児院まで行く。
飛んでいると、やっぱり一般人に驚かれた。
孤児院に着くと孤児院の先生に案内されて院長室まで来た。胸が期待に膨らむ。
院長室の中に入ると、院長が微笑んでいた。
私は思わず飛び出す。
「いんちょーー!!」
ひしっと胸に抱きつくと、院長は驚いていたが抱っこしてくれた。
「サチちゃん、ようこそ来てくれましたね。院長は嬉しいですよ」
「いんちょ、わたちもうりぇしいでしゅ」
「かわいいサチちゃん。ラズも久しぶりですね。よく来てくれました。会えて嬉しいですよ」
「院長、ご無沙汰しています。今日はサチ様が肉の寄付に来ました」
「それは、それは、ありがとうございます」
しばし、院長と抱擁してから厨房に案内される。さて、肉の寄付だ。
「いんちょ、にくのきふをしましゅ」
「ありがとうございます。サチちゃん」
厨房の机の上に肉をどんどんだしていく。収納に入っていた肉がなくなった。
「あらあら、嬉しいけど困ったわ。肉が多すぎますね」
「いんちょ、こまりゅ?」
「そうねぇ、困ったわ」
肉を保存出来るように時間停止の容量が大きいマジックバッグを作る。
〈いでよ!大きいマジックバッグ!〉
大きなトートバッグが出て来た。私のイメージなんてこんなものよね。
「ここに、にくをいりぇてくだしゃい」
ラズがトートバッグを持ってくれて、肉を入れていく。院長と厨房の料理人が驚いていた。
「サチちゃん。マジックバッグなんて高価な物、困ってしまうわ」
「いんちょ、きふでしゅ。こまりましぇん。じかんていしでしゅ」
「ありがとうね。サチちゃん。孤児院の食事が豪華になります」
院長の優しい手で身体を撫でられた。嬉しいな。
ラズが肉を入れ終わったマジックバッグを料理人に渡している。料理人は恐る恐るバッグを受け取っていた。
用事は終わったけど、教会に帰りがたい。
もうちょっと院長と一緒にいたい。
「りゃず、すきにうごいていいでしゅよ。わたちはいんちょしつにいましゅ」
「サチちゃんは責任を持って預かるから、ラズは行きたい所に行きなさい。少し人員も変わってしまっていますけどね」
「サチ様、院長、お心遣いありがとうございます。それでは行かせてもらいます」
ラズは足早に去っていった。会いたい人でもいたんだろうな。私は院長に抱っこされて院長室に行く。
「元気にしていましたか?不自由はしていませんか?」
「いんちょ、だいじょうぶでしゅ。きょうかいはいいとこりょでしゅ」
院長に心配される。私の事を気にしてくれるだけで嬉しい。院長の胸、女性だからか安心する。男性と違って柔らかい身体。幼児はこれを求めていたんです。幼児返りが止まらない。(汗)
「サチちゃんは飛んでいましたね。飛べるようになったんですね。凄いです」
「はい、とべましゅ」
神のマントを外す。
「いんちょ、みててくだしゃい」
翼を出して飛ぶ。院長室の中を飛び回り、院長の前に行く。
「あら!あらあらまあまあ!凄いわ!サチちゃん!」
「しゃわってもいいでしゅよ」
院長が震える手で翼を触る。優しく触られるとくすぐったい。小さく笑う。
「柔らかい。素晴らしいわ、サチちゃん」
「こんにゃこともできましゅ」
豪華なプレートに乗ったプリンアラモードを机のの上に創造する。甘い匂いが漂う。
「まあ!素晴らしいわ!芸術だわ!」
「ぷりんありゃもーどでしゅ」
「プリンアリャモードね」
「あ!ら!でしゅ」
「プリン、アラ、モードかしら?」
「そうでしゅ。いんちょ、いっしょにたべりゅでしゅ」
「食べてしまうの?形を崩すのが勿体無いわ」
能力でスプーンを動かしてプリンをすくい、院長の口元まで持っていく。院長はまた驚いていたが、勇気を出すように食べた。目を見開いてもぐもぐと食べている。
「ごくん。これは、美味しいわ!とろりとして滑らかで、でも優しい味があって。こんなに綺麗なのに美味しいなんて!なんて贅沢な!」
「もっとたべていいでしゅよ」
私は院長の膝から降りて隣に座って、私用の小さいプリンアラモードを出して食べる。美味しい!
私がスプーンとフォークを能力で動かして食べてると、それを見た院長も食べだした。
「美味しいわ。凄いわ。なんて甘い果物かしら。子供達にも食べさせてあげたいわ」
院長が優しいことを言うので「あとでよういしましゅ」と約束した。
それを聞いた院長はどこか躊躇って食べていたプリンアラモードを豪快に食べ出した。女の人だもんね。甘いの好きだよね。
私も昼食を食べたばかりだけど、別腹別腹と能力を使って食べる。パフェも好きだけど、美味しいプリンに生クリーム、豪華な果物をこれでもか!と乗せたプリンアラモードは贅沢だ。
優しい院長。孤児院で1人だけ豪華なスイーツを食べるのを躊躇ってしまう優しさが好き。
幸せな空間の中でプリンアラモードを完食した。ふぅ、お腹ぽんぽこりん。
隣から院長を見つめる。
まだ、若そうに見える院長だけど、ラズを知っていた。普通の人間じゃないのかもしれない。
淡いグリーンの髪が優しい院長のチャームポイント。身体は細いけど、私を抱っこしてくれる力強さがある。みんなのお母さんの院長。
お腹いっぱいで眠くなる。
いつしか眠りの世界に旅立った。
◇◇◇
優しく身体を撫でられる。ふわふわと夢見心地で気持ちがいい。
「サチちゃん、起きて。帰る時間ですよ。サチちゃん。サチちゃん」
身体を持ち上げられた。意識が覚醒に近づく。顔に柔らかい感触がする。幸せな感触だ。
「ん、むー、むー」
「サチちゃん。起きましたか?」
「いんちょ?ふあ〜〜あ」
「4の鐘が鳴りましたよ。帰る時間です」
帰る時間。
院長と約束した。プリンアラモードを子供達の分を出さないと。
机の上にぽんぽぽんとプリンアラモードがずらりと並んだ。
院長は驚いた!が、子供達全員分は無い。
サチは寝ぼけた頭でプリンアラモードを入れておく大きな時間停止の容量の大きいマジックバッグを創造する。
茶色のボストンバッグが出て来た。能力でバッグの口を開けて、ふわふわとプリンアラモードを飛ばして中に入れていく。プリンアラモードもぽんぽんと作っていく。孤児院に何人いるか知らない。でも、たくさんあったら嬉しいはず。
いつしかプリンアラモードだけでなく、サチが食べたいと思ったパフェもバッグの中に入っていく。
院長と帰って来ていたラズ、護衛の皆は驚いてその光景を見ていた。
パフェの次は桃が食べたいなと思って桃の大行進だ。規則正しく桃がバッグにしまわれる。
サチの頭が完全に目覚めて桃の行進は終わった。サチはプリンアラモードとその他が入ったマジックバッグを院長に渡した。
「いんちょ、こどもたちにも、たべしゃせてあげてくだしゃい」
「あら、あらあら。また、マジックバッグ。ありがとうね。サチちゃん。中身を出し終わったら、バッグは返しに行くからね」
「いいでしゅ、あげましゅ。いんちょのバッグでしゅ」
「ん〜、こんなにいいのかしら?」
「いいんでしゅ。そうでしゅ。こじいんにおふりょはありましゅか?」
「おふりょ、ああ!お風呂ね。無いわよ。みんな水浴びだわ」
「くうかんまほうで、おふりょをつくりましゅ。ばしょをおしえてくだしゃい」
「まあ!サチちゃん、そんな事も出来るのね!凄いわ!お風呂があったら子供達の為になるわ。ありがとうね」
「はい。あんにゃいしてくだしゃい」
院長に抱っこされて連れて行かれる。その後ろをラズと護衛達がついてくる。
院長に「ここにお願い出来る?」と言われて、ここは子供部屋に近いところだと思い出す。どこまでも子供に優しい院長だ。
「じゅうぶんでしゅ。おふりょをつくりましゅ」
院長の抱っこから離れて翼を出して飛んで壁を見る。教会とあまり変わらないみたいだ。
でも子供が入るから浅い浴槽もいるよね。イメージして、温泉は子供には単純温泉が良いって聞いたことあるからそれにしよう。
いでよ!お風呂場!
また、壁があった場所に『ゆ』の、のれんがかかっている。
院長と女湯に入り、お風呂の入り方を説明する。
つたない言葉をうんうんと言いながら聞いてくれる院長に感謝だ。
イメージしたとおりに、大きい人が入れる浴槽と小さい子供が入れる浴槽がある。シャワースペースは仕切りが無いタイプだ。先生達が子供を洗いやすくする為。シャワーの使い方を教える。
それからタオルなどのアメニティグッズを揃えていく。タオルは多めに。男湯にもタオルなどをたくさん置いておく。
院長がたいそう感謝してくれた。嬉しい。
「またくりゅね」
約束して院長とバイバイしてマントをつけてから教会に帰る。
今日はいい日だった。あ、これから女湯に入るんだ。おかしくないのに男湯に入るのが当たり前だと思ってしまう。ラズのせいだな。
聖騎士の人にお別れを言って、教会に入る。
「りゃず、おふりょにはいりましゅ」
「わかりました。お供します」
女湯の作りは男湯とおんなじだった。おまるにしーしてから、服を脱がせてもらう。
ラズが服を脱がないから無理矢理脱がせると観念したのか、お風呂に入る準備をした。
女湯に入るのに抵抗があったんだね。ラズも男の人だ。
昨日と同じように、まるっと洗われて、翼を出してお湯に浮かぶ。ふぃー、いい湯だっな、ばばばん!
泳いでみようと思っても子供ボディ。上手く泳げない。諦めよう。せっかく大きいお風呂なのに。
ラズも入ってきた。ラズに引っ付く。健康な身体になぁれ。
ラズがびっくりしたように口から何か出した。歯だ。それも虫歯。
「何かしましたか?」
「けんこうににゃれってした」
「それで……ありがとうございます」
虫歯が出て来るとは私も驚いた。
そろそろ、露天風呂に行くかな?
外の自然をラズと楽しんでからお風呂を上がった。
夕食はボアのステーキが出たよ!おいしかったぁ。
いいね、ありがとうございます!嬉しいです!
プリンアラモードですが、豪華なのは本当に豪華なので是非、調べてくださいませ。