表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
20/207

教会の厨房に肉を差し入れ

 起きたら朝だった。

 昨日、5の鐘は聞いたかなぁ?お風呂で聞こえなかったかもしれない。


 お腹は空いてるかなぁ?わからないや。

 もしかしたらこの体食べなくてもいいのかもしれない。

 いや、食べるの好きだから食べるけどね。


「あ、サチ様、お早いお目覚めで。おはようございます」


「りゃず、おはようごじゃいましゅ」


 顔を洗う水を持ってきてくれたみたいだ。いつもありがとうねぇ。贅沢に慣れそうだ。

 顔を洗ったらすかさず拭く布を渡された。気遣いが染みるよ。


「サチ様、昨夜、男湯で不思議な事があったようです」


「えっ!にゃにかありましたか?」


「悪い事じゃないですよ。良い事です。聖騎士の古傷が治ったそうです。なんでも、お湯がほのかに金色に光っていたらしいです。もしかしたら、サチ様がお湯に浸かったからかもしれないですね。私も身体の調子が良いですし」


 たしかに、私の身体もいい具合にほぐれてる。お風呂に入ったからじゃないの?いや、お風呂に入っただけで古傷は治らんか。じゃあなにか?私の出汁が出た風呂の湯だったから良かったのか?謎だ。出汁って。


「今日も1番風呂に入りましょうね。大司教様の伝達で今日は女湯に入ってほしいそうです」


 女の私が女湯に入るのは良いけど、ラズは大丈夫か?女湯に入って来た女性とばったりきゃーな事にならないか?


「それでは朝食に参りましょうか。よろしいですか?」


「はい、いきましゅ」


 靴を履かせてもらって、ラズの後ろに付いて飛んで行く。


 教会内の人も大分、私に慣れたみたいだ。今は出会っても立礼で終わらせてくれる。私は「おはよう」と声を掛けて飛んで行く。


 食堂でお誕生日席に座り、ラズを待つ。

 教会の朝は穏やかだな。みんないい顔でごはんを食べている。

 ラズが戻って来た。


 今日は雑炊の卵とじのようだ。朝からお腹に優しそう。

 ラズが熱いからふーふーしてくれる。気遣いが嬉しい。


 あーんしてくれるかと思ったら、ラズがパクリと食べてしまった。ラズが「あっ!」って顔してる。だんだんと顔が赤くなる。


「申し訳ございません。新しい朝食を貰って参ります」


 無意識に食べちゃったのか、ラズかわいい。

 でも、ごはんはそのままでいい。


「りゃず、だいじょうぶでしゅ。しょのままたべましゅ。しょれとも、りゃずがたべましゅか?」


「いいえ、わ、私はもう、いただきましたので……申し訳ありません」


「だいじょうぶでしゅよ。りゃず。いつも、ありがとう」


「もったいない、お言葉です」


 あーあ、ラズが落ち込んでしまった。勉強の時間にお腹に溜まる美味しいお菓子でも食べますかね。


 ◇◇◇


 雑穀の卵とじを食べたら、礼拝堂に行く。今じゃ大司教様の隣で祈っている。私も出世したもんだ。ラズは隣にいる。


 神様、この世界にも少しずつ慣れて来ました。今日も勉強を頑張ろうと思います。



 お祈りを済ませたら、部屋に行き、先生が来るまでゴロゴロする。

 その間にラズが雑事をしてくれる。


「サチ様、お着替えしませんか?もう、何日も同じ服を着られてますよね?」


「こにょ、ふくは、かみしゃまのとくべちゅしぇいに、にゃっていて、よごりぇましぇん」


「神様からいただいた服だから汚れないのですか?凄いですね」


 心底感心したとばかりに頷いている。替えの服を準備してくれたのだろうか?それなら悪いことしちゃったな。もっと早くに言っておけば良かった。


「ふく、よういしてくりぇましたか?しゅみましぇん」


「いえ、孤児院に寄付すれば良いことですので、お気になさらずともよいですよ」


 あっ!孤児院で思い出した!肉!


「いまかりゃ、ちゅうぼうにでかけましゅ」


「厨房ですか?ご案内します」


 不思議そうな顔をしていたけど、案内してくれるそうだ。ありがたい。靴を履かせてくれる。もう、慣れた動作になってきた。ラズがいなきゃ生きていけなくなったらどうしよう。


 食堂の隣が厨房だった。ラズが中の人に話を通してくれている。


「サチ様、どうぞ、お入りください」


「しつりぇいしましゅ。……みんにゃ、たちあがってくだしゃい」


「サチ様が立ち上がってくださいと申しております。立ってください」


 中に入ると料理人達がみんな跪いていた。衛生的に悪いよ。みんな〈綺麗になぁれ〉と願う。うん、綺麗になった。立ち上がった人達は戸惑っている。


 そうだ、用件を伝えないと。


「びっぐぼあのおにくを、わたしにきましゅた。何処にだしぇばいいでしゅか?」


「び、ビッグボアの肉ですか。ありがとうございます。この机の上に出していただければ」


「わかりましゅた」


 収納からボアの肉を出していく。いくつ出せばいいのかな?山になってきたけど。


「いくつだしぇば、いいでしゅか?」


「も、もももも、もう、十分でございます!ありがとうございます!」


「「「ありがとうございます!」」」


「はい。いつもおいしいごはんを、ありがとうごじゃいましゅ」


「とんでもございません!食べていただけるだけで光栄でございます!」


「いしょがしいとこりょ、しつりぇいしましゅた」


「いえ!いつでもおいでくださいませ!」


 何か、体育会系的なノリだった。元気いいなコックさん。


「りゃずも、ありがとう」


「当然のことです」


 つんとしてそうで、おっちょこちょいなラズ。かわいいね。


 部屋に戻りながら話す。


「りゃずは、にゃんしゃい?」


「21歳にございます」


「りゃずのかじょくは?」


「私は孤児なので、孤児院で一緒に育った仲間が家族ですかね」


 だから、子供の世話が上手いんだ。でも、孤児かぁ。寂しかっただろうな。


「おひりゅかりゃ、こじいんにいきましゅ。おにくのしゃしいりぇでしゅ」


「そうですか。ありがとうございます」


 完全に孤児院が実家の発言だ。実家が隣って良いのかも。

 成人て15歳だよね。ラズは結婚適齢期じゃないのかな?


「りゃずは、けっこんしましゅか?」


「結婚ですか……懇意にしてる異性は居ないのでわかりませんね」


 それはいけない!ラズが結婚しないなんて人類の損失だ!


「りゃずにめいじましゅ!やしゅみをとって、けっこんあいてをしゃがしてきてくだしゃい!」


「は?命令ですか?」


「しょうでしゅ!」


 困ったって顔してる。ちょっと無理言ったかな?能力でラズの運命の相手を探せないかな?いや、探すんだ!ラズの運命の相手!


 頭に、もやっと地図?が浮かんだ。現在地がここで、ラズの運命の相手がここ。

 遠い!!場所が遠いぞ!創造神様!


「やっぱり、とりけしましゅ」


「はぁ、ありがとうございます」


 ラズがホッとした。人の恋路に命令はいかんな。

 だが、ラズの運命の相手を見つけたぞ!待っていろ!


 ◇◇◇


 勉強の休憩時間。


 ラズのためにフルーツたっぷりのタルトを出した。タルトを薄い包丁で切ってもらう。ふっふっふっ。まるごとホールで出したから、お代わりも自由。ラズよ食べたいだけ食べなさい。


「これは美味しいです!サチ様!」


「本当に美味しゅうございます」


「うん!おいしいにぇ」


 フォークでぶっ刺すだけだから、ラズも自分が食べるのを優先してくれる。たまに口元を拭かれるけど。幼児は口が小さいんだよ。


「いやーサチ様の勉強係になれて良かったよ。美味しい物も食べれるし、ここじゃない世界の話も聞けるしね!」


「しぇんしぇーのべんきょうは、ためになりましゅ」


「そう言っていただけるとありがたいですね!」


 黙々と食べると、最初は遠慮してたけど、ラズと先生でホールのタルトをたいらげてくれましたよ!お腹は満たされた?ラズ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ