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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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出会い

 朝1番。


「おはよう」の挨拶を済ませてから、サチは飛んでラズの腰の辺りを見てから、プイッと護衛3人の方へ飛んで行って、腰の周りや太腿の周りをふいふいと飛んで考え事をしている。


 おうちの中だからラズもサチの好きにさせている。

 束縛するだけの男になってはいけないのだ。

 いや、ラズは結構な束縛男だが、可愛い事をしているサチを眺めるのも好きなのだ。今は何か可愛い事してる。


 だんだんと護衛達が困惑してきて声をかけようか迷っている時に、エレナの剣帯を触って神力を注ぎ込んだ。

 エレナの剣帯の空いている隙間にペットボトルが入るくらいのポケットがついた。

 サチはその中に、サチサイトで手に入れた飲み物を片っ端から入れていく。どうやらマジックバッグと同じ機能があるらしい。

 サチは、スポドリにお茶、エナジードリンクや経口補水液も入れていく。その後はカロリーの友達を入れて、そのうちにクッキーや小さなパウンドケーキまで入れていく。


 その可愛いらしい行動を4人は、ほんわかした気持ちで眺めていた。


 エレナの後はカイザーに、カイザーの後はライデンに。ライデンの後は、無く、ラズの腰には何も無かった。


 ちょっと寂しくなったラズだった。


 そして、朝の奇行を朝食が終わった後のまったりした時間にエレナがサチに尋ねたところ、サチは護衛達の水分補給が少ない事を気にしていたことが判明した。

 それで、自分の好きな時に飲み物を飲めるように飲み物を詰め込んだという訳だ。

 軽食を詰め込んでいたのは誰も突っ込まなかった。だって嬉しかったから。サチからのプレゼントみたいで。行動が可愛かったからいいのだ。



 そして今日の予定をサチが宣言した。


「ちゅうおうとしにょ、しょうぎょうぎりゅどに、いきましゅ!」


「はい!」


 ちょっと恒例化してきた日常だ。


 瞬間移動するならサチを抱っこしてもいいと、ラズが飛んでいるサチをキャッチして、サチがそのまま宮殿の前まで瞬間移動した。ちゃんと全員で。


 宮殿の門番をしていた神聖騎士は驚いた!

 咄嗟に腰の剣に手をかけたのは流石だ。だっていきなりサチ達が出て来たんだもの!


「何やつ!」


 警備室で休んでいた6人も異常を感じ取って、素早く出て来た。


 辺りは物々しい雰囲気に包まれたかと、思いきや、知った顔が挨拶してきた。


 ライデンだ。


「すみません。おはようございます。サチ様の、創造神の使徒様のお越しだ。今日は商業ギルドに来た。護衛は不要だ」


 とても簡潔な連絡事項。神聖騎士の基本だ。

 一気に警戒が緩んで、一目でも使徒様を見れないか、目がふらふらしだした。


 ラズに抱っこされたサチは神聖騎士を見て、手を振った。教皇様に手を振るみたいに。


 手を振られた神聖騎士は、手を振りかえしそうになって、止めて、最敬礼をした。


 サチは目をキラキラさせて、それを見ていた。カッコいい……。動きがそろっていた。


 今日はライデンが自分のホームグラウンドの案内をするので、歩き始めた。

 サチ達もついていく。


 門番の神聖騎士の胸が切なくなった。移動を願い出たライデンが羨ましい。

 ただただ見送るだけだった。


 まだ、動き始めた都市は混んでいない。

 サチは観光するかのように周りをキョロキョロと見回した。どこもかしこも白い。

 ラズは胸元がもぞもぞするのが微笑ましくて微笑んでしまった。そういえば、中央都市を歩くのは3回目、か?高級店の周りは歩かなかったかもしれない。


 宮殿の周りは、高級住宅街か高級店が集まっている。

 すなわち治安がいい。


 サチ達は気分軽く歩いていた。


 中央都市は聖地で白い服を着て歩いている人が多いので、神聖騎士のライデンが目立っている以外には問題は無かった。

 やっぱり神聖教国では、神聖騎士はアイドル扱いらしい。


 でも、あれ?目が合う人が多い気がする。ライデン以外にも注目されている?


 ラズ達は警戒したが、忘れていることがある。


 中央都市の入り口門の近くには、等身大創造神様の像が立って(座って)いて、その隣には大神様達の像が躍動感たっぷりに立っていて観光名所になっている。


 その創造神様の反対側に立っている像が問題だ。


 忘れているかもしれないが『創造神の使徒とお世話係のラズ』と書かれた石の隣に翼を生やしたサチとサチを抱っこしたラズの像が立てられているのである。


「あの人、似てない?」

「本人じゃない?」

「神官の服着てるし本人だよ!」


 と口コミで広がっているのである。

 ライデン・神聖騎士がいるのにも信憑性が上がっている。


 そんな事は、スコンと忘れているサチ達は無意味な危機感を抱いていた。

 警戒心が高まったのである。ある意味囲まれると危ないので正解だが。


 結果、早歩きになった。


 サチの目は大忙しである。

 建物を見ようとすれば人と目が合うし、でも安全だから観光したいし、反対側を向けば、また人と目が合うし、もう、どうしたらいいの!


 サチは背中がうずうずとしてきた。

 危険な兆候である。

 身体が勝手に天空王国の自由な空を思い出しているのだ!


 ここで翼を出したら死ぬぞ!サチ!観光客に押しつぶされて!


 高級店街の真ん中に大きな商業ギルドがあった。


 ライデンはたどり着いた。

 商業ギルドの扉は開いている。


 サチ一行は、さささっと商業ギルド内に入って一安心した。目線が遮られたのだ。


 サチはもんもんとする心を落ち着ける為にストローマグで麦茶を飲んだ。

 んくんくと飲んでいると心が落ち着いてきた。

 ぷはっと息を吐きだす。

 そして、サチの心に商業ギルド内を見る余裕が戻ってきたので、キョロキョロと辺りを見回した。


 白い。

 他のギルドより綺麗だ。

 職員も全員が白い服を着ている。すんごい珍しい。


 サチの心が踊って来た。

 観光地って感じ!


 そう思うサチだって、ラズの采配で白いワンピース型ロンパースを着ている。周りに溶け込んでいる。


 受付に来た。


「サチ様、教皇様のお手紙を」


 ライデンに促されて、収納から教皇様に書いて貰った手紙を取り出した。

 ライデンが素早く確保して、職員に提示している。

 その行動は隠密じみていた。ライデンの存在が目立っているが。


 サチは待っている間に、どんな人が商業ギルドに用事があるのか観察していた。

 自分のような幼児は珍しいようだ。

 外ほどでは無いが視線を感じる。


 サチは見られたら見返せ!の心理でガン見してやった。


 あ、観光客っぽくない。商売人て感じだ。


 いつのまにか、サチと商人は見つめ合っていた。


 何故、見つめ合ったのか?それは見られたから。


 他の人より何が気になるの?それは、サチの目に神力が集中してたから。

 サチの目には商人がだんだんと光って見えた。


 要件を終えたライデンが振り返り、異様な雰囲気を感じ取った。

 何故か自分が受付で手続きしている間にサチ様と商人風な人が見つめ合っている。


 ライデンは商人風な男を観察し始めた。


 顔は普通よりかは整っているかもしれない。

 服は白い。だが、旅服だ。

 御付きの人らしき人物が受付で手続きしている後ろにいたからサチ様に目をつけたのだと思われる。


 ライデンは後ろから声をかけられた。


「あの、お手紙の件で、特別室に移動してもらいたいのですが……」


 受付の職員の声だった。

 なかなか移動してくれないライデン達に焦れたのだ。


「はい、移動します」


 ライデンは反射的に言い返していた。


 そして、サチに声をかけた。


「サチ様、行きますよ」


 サチは反射的に翼を出して、約2mほどの距離を飛んだ。


 着地したのは、見つめ合っていた男の腕の中だった。

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