表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
183/207

国王様に靴職人を紹介してもらおう!

 次の日の朝、シンジュの力で起きたサチは朝食を済ませてから、今日の予定を宣言した。


「くつやさんに、しょうかいじょうをもっていきましゅ!」


「はい!」


 全員に通じた!よかったサチ!


 そしてサチは、ふと思い出した。


 国王様に靴職人になる人を教えてもらっていない!

 これはいけない!本人を連れて靴屋さんに行かなければ!


 くるっと意見を変えてサチは宣言した。


「こくおーしゃまにょ、とこりょにいきましゅ!」


 うん、全員理解した。

 意見が変わっても仕方ない。サチはそういう生き物だから。


 それからサチは思い出したように「きょうは、きゅうりょうびでしゅ!」と言って、みんなに金貨2枚を渡していった。

 それをみんな嬉しそうに、ほくほくと大事に貰った。給料日はやっぱり嬉しい。


 その後、サチは飛んで、みんなは新セグウェイに乗って国王様の部屋まで行った。


 そして国王様の部屋に入った途端に国王様がお茶の準備をしようとしたが、サチが体を張って止めて飲み物を出した。

 今日は珍しくメロンジュースだ。フレッシュなね!


「して、サチ様、今日のご用件は何でしょうか?」


 内心、フレッシュメロンジュースの美味しさにびっくりしていても質問はする。


「くつしょくにんを、しょうかいしてほしいでしゅ」


 国王様に一発で通じた〜!!

 たとえ「くつ」が「くちゅ」になっていたとしても!サチの中では言えているのだ!


 国王様はジュースを一口飲んでから、人民大臣を呼んだ。


 サチは、人民大臣の分もフレッシュメロンジュースを用意した。高級なんだぞ!


「木靴職人の末っ子が、革靴の作り方の修行をしたいそうです」


 サチは前のめりになった。


「しょうかいして、くだしゃい」


 サチ、力が入る。

 人民大臣が国王を見た。

 国王様と目が合った。この後の展開はわかりきっていた。


「人民大臣、靴職人の元まで案内してあげてください」


「はい」


 了承以外の返事はない。威厳はなくても国王様なので。


 みんなでジュースを一滴も残らずに飲んだら、スナーと新セグウェイで城の正面入り口まで向かう。

 入り口でスピードを上げる大臣をカイザーが呼び止めるまでがセットだ。


 全員でバイクに乗り換える。サチは飛んで行くためにそのままだ。


 そして、飛び出した大臣のスナーを追いかけながら、サチ以外は「何か行ったことあるかも?」と思った場所に向かって飛んで行く。(正しくバイクは浮かんでいるので飛んでいる)


 サチは新しく行く場所にご機嫌で、アクロバティックな飛行能力を見せながら楽しく飛んでいた。


 だが、1時間も経つとサチは飽きてきたので、ライデンの大型バイクの後ろにちょんと乗っかった。

 滑り落ちないように対策済みである。

 以外とスピード感のある走行にサチはちょっとだけはしゃいだ。

 ライデンが気がついて驚いた以外には支障はなかった。


 そして更に40分が経った頃、人工的に作られたであろう広大な林が見えてきた。

 そして、天空王国には珍しく、集合住宅らしき建物群が見えた。


 人民大臣が家の前でスナーを止めると、ラズ達もバイクから降りた。

 その後サチがバイクを収納にしまった。


 随分と城から遠い場所に来たものだ。


 ラズがすかさず飛んでいるサチをキャッチして抱っこした。

 サチは普通の1歳児より小さい為、軽いのである。


「おおーい!スガの末っ子はいるかー!?」


 人民大臣が勝手に玄関を開けて家の中に声をかけている。随分と気安い関係のようだ。


 家の中から声が聞こえてきた。


「モチー!呼んでるよ!早く行きなー!」


「はーい」


 サチは素早く玄関を見た。

 餅、と聞こえた。変換違いである。


 どんな、もちもちしている人物が出てくるかとドキドキしていれば、どちらかというと、ひょろっとした若い人物が出てきた。


「あ、人民大臣、お疲れ様です。皮の件ですか?」


「そうだ。モチ、紹介したい方々がいる。こちらの抱っこされている小さな方が創造神様の使徒様だ。それと、周りの方が使徒様の御付きの方々だ」


 サチはモチの前に飛ぼうと思ったが、ラズの強めの抱っこに飛べなかった。

 代わりにラズが進んで皆を紹介する。


「私は創造神の使徒のサチ様のお世話係のラズです。こちらは聖騎士のエレナとカイザー。神聖騎士のライデンです。モチさん?貴方が革靴の作り方を学んでくださる方ですか?」


 モチは慌てたように頭を下げた。


「モチです!新しい靴の作り方を教えてくれるそうで勉強させてもらいます!」


 最低限のですますは使えるようだし、素直そうだと安心した。素朴な青年?少年ではない。童顔だけど、やっぱり青年だ。服は農民よりかは良い服を着ているようだ。


 サチ達は知らないが、天空王国唯一の靴屋だ。それは特別扱いされる。


「いまかりゃ、でかけましゅよ」


「サチ様、ちょっと待ってください」


 ラズが人民大臣とモチに今から地上に行ってモチの修行先を探してくると説明している。

 モチは地上に行くと聞いておったまげてるし大臣は心配そうだ。

 ラズが「必ず無事に送り届けます」と約束している。

 それをラズの腕の中から眺めるサチ。内心、「行っちゃったら早いのに」と思っている。決めたら即行動!それがサチだ。


 温厚なサチでも、決まらない話にイラッときたので、大臣はスナーと共に城に転移させて、サチ達とモチはザイデン宅前庭に瞬間移動した。


 地上に瞬間移動したモチは、いつもと違う空気をまず感じて大きく綺麗な建物を見た。そして、計算された庭を見て絶句していた。


 サチ達はエレイザー街に来る事が多い。

 何処かに拠点を買った方がいいかもしれない。

 ザイデンの家の前庭でも十分敷地無断侵入だ。門番達や屋敷の者はサチ達が来た事に誰も気がついていない。


 とりあえずモチを落ち着ける為にサチを抱っこしたラズでなく、真面目なライデンでもなく、臨機応変なカイザーとエレナが説明している。


 サチはラズと時間潰しの為にパラソルテーブルを出して、ラズに抱っこされたまま座り、シャインマスカットを出してラズに食べさせてもらっていた。ここだけ優雅だ。夏も終わりに近づいているが、まだ暑いので。

 ライデンは一人で護衛。危険は無いが。



「モチ、いいか?地上は怖い所だ。悪い奴が天空王国よりいる。騙されて金を取られるだけならいい。だが、殺しを躊躇わずにする奴がいる。怯えるな、隙を見せるな、堂々としろ!そして地上では決して『天空王国出身』だと言うな。誘拐されちまうぞ。わかったか?」


 モチが理解するまで、同じような注意を繰り返し言う。


 モチは新しい靴作りをしたいだけで、命の危険があるなんて思ってもみなかったので、頑張って理解しようと努めている。


 40分後、モチは国外の貧しい村からサチ達に見出されて靴職人の技を習得しに来た村人と言う設定になった。

 国に戻って立身出世を果たす役割がある。

 サチ達は出資者だ。


 皆の気持ちが同じ方向を向いた事で、サチは収納から6通の紹介状を取り出した。

 どーれーが、いーいーかーな?


 サチは知らないうちに目に神力を集めていた。


 小神様に無理矢理神力を引きずり出されてから、神力の扱いが上手くなった。

 今まではサチが暴走した時と、能力を使いたい時に意思の力で使っていただけだった。


 そして、目に神力を集めたサチは、一際気になる1通を選んだ!ジャーン!と効果音でもつきそうだ。

 そして、残りの紹介状を収納にしまう。


 はい、とラズに渡したが、ラズの両手はサチを抱っこする為に使われている。


 こう言う時のカイザーだ。

 パラソルテーブルを収納にしまったサチ達は、ザイデンの家の門番に靴職人のいる場所をさりげなく聞いた。


 全然さりげなくなく、話し声と姿を見ていた門番が勝手をしているのに気がついていて、見て見ぬふりをしていたら話しかけられただけだ。

 しかし、サチ達が上客だと知らされている門番が違和感なく説明して、ザイデン屋敷からサチ達を送り出した。


 門番とは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ