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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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再び!ザイデン家族、天空王国で商談を 1

 次の日の朝。

 サチはラズに寄り添われて目が覚めた。

 目覚まし方法はもちろんシンジュのアタックだ!


 なんだか、とても甘やかしてくれるラズに付き添われながら、のんびりと起きた。


 トイレの世話もしてくれた。

 寝起きで油断してラズにお世話されてしまったが、さすがに乙女の心を持つサチが恥ずかしかったので、次からは遠慮しておくと宣言した。

 1人でトイレできるもん。

 服をくつろげるのは手伝ってもらうけど。


 礼拝堂の外にある、おうちの庭で護衛達が鍛錬していたのを呼び寄せて、朝食を食べに行き、ザイデンとの約束の時間まで1時間ほどあるので、お城の外で日向ぼっこしてのんびりとしていた。

 護衛達も危険がないのは知っているので、各々好きに過ごしていた。


 地面にシートを敷いて横になって太陽の光を感じていたサチは護衛達を薄目で眺めていた。


 なんだか、護衛達、エレナとカイザーとライデンの仲が良い……。


 そうなのである。

 サチがいつも朝、のんびりと眠気と格闘している時に、護衛達は3人で鍛錬を積み、連携を確認したり、ライデンにカイザーとエレナが叩きのめされたりしているのだ。

 やっぱり、神聖騎士と聖騎士の実力は違う。プロにアマチュアが、勝負を仕掛けるようなものだ。


 ライデン1人の能力は、聖騎士約5人分の力量である。


 ライデンは凄いのだ!


 そして、叩きのめされたエレナとカイザーの仲が少しずつ進展したりして……むふふ。サチは知らないのだ。


 時刻は多分、体感で10時ごろ。


 全員で、サチだけでなく、ラズと護衛達と全員(・・)でザイデンの屋敷前に瞬間移動した。(サチは昨日の失敗を忘れないのだ)


 ザイデン屋敷の玄関前にサチ達が現れると、待っていた門番の1人が執事に取り次いでくれて、スムーズに中に入れた。


 ゆっくりと案内されて、ザイデン達がいる部屋に入ると、準備万端のザイデン、エリー、サンティがいた。

 服装は昨日みたいに豪華ではなく、普段着を着て待っていた。

 それでも、国王夫妻よりは服の仕立ても物も良いのだが。


「サチ様達、おはようございます。今日もよろしくお願いします」


 エリーもサンティも挨拶する。


 どちらかと言うと、サチがお願いして天空王国の果物を販売してもらうのだが、ザイデンは強力な商機を感じていたので自然とお願いするかたちになったのである。


 サチがそんな機微を察すること無く、ザイデンと自然と握手して、「てんくうおうこくに、いってもいいでしゅか?」と聞いた。

 「もちろんです」と力強くいわれたので「しゅんかんいどうしましゅ!」と宣言して果物畑に全員で飛んだ。


 そう、全員で(・・・)




 執事さんがいる……。


 執事さんは初めて経験した瞬間移動に驚いていたが、興味が勝った。一番後ろにいて気がつかれてないし。


 くるりと一周見渡してみる。


 果物の甘い空気と土の匂い。


 長いこと感じていなかった空気に心が洗われるみたいだった。(執事さんは村の出身です)


 一番後ろにいたライデンが背後に気配を感じてバッと振り返る!と、執事さんが和んでいた。


 サチとザイデンが倉庫に行こうとしているのを慌ててストップさせた!


「サチ様!執事さんがいます!」


 そこにいた全員が振り返って真実を確認した。


 いる。


 そこにいてはいけない人が。


 サチはラズの腕の中から慌てて飛んで、執事さんとザイデンの屋敷に瞬間移動した。

 屋敷に着いたら執事さんにパイナップルを持たせて口止め代わりにして、サチだけ瞬間移動で天空王国に戻った。


 ついでにお城で大臣達の有無を確認したのは悪かったかもしれない。後でラズに怒られる。


 いきなり国王の部屋に瞬間移動で現れたサチ。


 もちろん部屋に居た7人全員が驚いた!


 国王様が動いた!


「サチ様!何処からいらっしゃったのですか!?」


 何処から?ザイデンの屋敷から。


「じゃいでんしゃんにょ、やしきでしゅ」


 誰も理解出来なかった。

 ラズが不在だから!


 そして、サチは財政管理大臣と農業大臣を促した。


「いくじょ!」と。


 なんとなく理解した2人は廊下に出て、スナーに乗り、世界が変わった。


 サチが大臣達をのんびりとスナーで果物畑に走らせるなんて事は無いのだ。

 何故って?

 だって、ザイデン達はもう、果物畑にいるのだから!

 だから、大臣達を果物畑まで瞬間移動させたのだ!


 しばし、理解が出来ずに呆然としていた大臣達にザイデンが気がついて、フレンドリーに元気よく挨拶をする。

 大臣達もそれにつられて挨拶をして、自分のペースを取り戻していた。


 そして、サチは……?


 ラズに捕まっていた。

 もうサチを飛ばせない気満々である。


 護衛対象が勝手に動いてはいけないのである。

 サチは幼児になったせいか、よく物を忘れる。と言うか感情で動く事が多くなった。

 自覚は多少しているが、転生したし幼児になったしこんなものかな?と結構いい加減に考えている。

 サチの能力は万能だし、したい事はすぐに出来るし、上司(創造神様)は結構気分屋だしで、ストレスフリーで過ごしているのだ。

 だから自分勝手に好きな事が出来るのだ。


 幸い、サチは善人だし。


 善、人……?


 ひと、では無い、かもしれない。



 とにかく、サチがラズに拘束されている間にも物事は進む。


 大臣達とザイデン達はシンとメラニーに合流していた。


 お仕事をしていた奥さん達も呼び寄せて、試食会をする流れになっている。


 ラズは仕方ない、と諦めて、サチへの拘束を緩めて、果物をカットする為の準備に取り掛かった。


 サチは【天空王国果物冊子】を取り出して、昨日何処まで試食をしたか確認して、果物を創造した。


 奥さん達は4人いるので、昨日の果物カット組と試食者をチェンジして楽しんでいた。

 昨日食べた奥さんは、口から出そうな果物を思い出して辟易して、カットしていた奥さんは果物の試食を楽しみにして席に座った。


 ちなみに場所は、倉庫に作った事務所内である。


 サチが果物を創造し、ラズと奥さん達が一口サイズにカットして、地上組と天空組で値付けが行われた。


 そして、果物丸々1つを見本として使い終わったら、ザイデンのマジックバッグに仕舞われるのだ。今日も地上に残った家族へのお土産ができたね!


 一口のフルーツを味わいながら食べ、味の感想をみんなで言い、見本の果物を見て現実的な値段を付け、そしてザイデンが冊子に書き込む。


 一連の流れはこうして作られていった。



 お昼を大幅に過ぎた、約14時。

 試食会は無事に終わった。

 試食者のお腹の苦しみと共に。


 果物をカットしていたラズと奥さん2人は腹ペコ。

 片付けを終えたら、サチが4人分のプッカ(オムライス)を出したので食べ始めた。


 とろとろ卵がごはんに絡んで鶏肉とのコラボレーションがたまらないーー。


 奥さん達は初めて食べた味にうっとり。

 サチとラズは疲れた身体に染み渡るような食事を味わって、口の中がうっとり。


 果物の試食者達が苦しんでいる空間に、サチ達だけは幸せだった。


 そして、昼食後。

 サチが気が付かないうちに、大臣達とザイデン家族がお城に帰って行っていた。


 もちろん、ライデン達護衛は椅子に座ってだけど、サチ達を待ってくれている。


 おうちを出して、トイレ休憩をしたところで果物畑を後にして、ふらふらとサチは飛んで、ラズ達はバイクで天空王国の観光をし始めた。

 果物畑方面はまだだったので。


 そして、お城の国王の部屋では、真剣な商談が始まろうとしていた。

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