天空王国国王と大臣と相談
昨日は、ちょっと寝る前に甘えたになったサチはラズと一緒に就寝した。
やっぱり誰かと一緒に寝るといいね!
朝はシンジュに起こされて、ワンピース型ロンパースに着替えさせられて、ちょっとおめかし。
私の服は3着あるんです!
そして、朝の支度をしたら、お城の朝食を食べて、国王様の部屋に突撃した!
ジロー爺の居場所を聞くのだ!
国王様の部屋。
「ジロー爺の居場所ですか?城に唯一ある礼拝堂の隣の部屋ですよ。世話人がついているので、挨拶して中に入ってください。世話人はジロー爺の孫なんですけどね」
と国王様。
なんか危機感無いなー。国唯一の神官で跡取りがいないらしいのに。
「案内をお願いしたいのですが。私達は城の中を把握しておりませんので」
ラズがお願いする。
ソファに座って話し合いをしているけど、飲み物はカモミールティー。サチが出したよ。飲み慣れない人には飲みづらいかも。
護衛達はソファの後ろに立ってます。
仕事だけど、辛いね、護衛達。
国王様が考えて、人民大臣を呼んだ。
「人民大臣!サチ様たちをジロー爺のところまで案内を頼めるかい?」
「はい、わかりました」
仕事をしていた人民大臣が立ち上がる。
それを、「ちょっとだけ待ってください」とラズが遮る。
「もう1件、用件があります。靴職人をしたい人を紹介していただけませんか?」
それを、国王様が「靴職人?」と不思議そうな声を出す。
「そうです。靴職人です。地上では木靴は一般的ではありません。天空王国では一般的なのでしょうが。
昨日、サチ様が木靴をお目に留めまして、どうにかして、履き心地の良い革靴にしたいとお考えです」
人民大臣がソファ席まで来て、国王様の隣に座った。
国王様が人民大臣に話しかける。
「人民大臣、かわ靴とやらを作ってくれる者に心当たりはあるか?」
人民大臣はちょっと考える。
「今の木靴を作っている一家なら引き受けてくれるかもしれません。木の消費が少なくなるのは良いことです。ですが、かわとはどこで手に入るのですか?」
「革靴の皮はビグーから取ります。皮とは皮膚のことです。ビグーは家畜として肉を取れますが、皮も使えます。地上では孤児や村人が履く靴となりますが、木靴より柔らかくて足にしっくりときますよ。私も若い頃に履いていました。皮も長持ちさせるのに加工が必要ですが、サチ様は地上から、その技術を学んで頂きたいとお考えです」
「うーん、新しい家畜の無駄のない使い方としては、他の使い方はないのですかな?」
「服にも使えますが、天空王国では気候が暖かいです。革の服は蒸れるので着る方はいないのではないでしょうか?それに少し匂いますし」
「そうですか。いや、実はお恥ずかしながら地上で勉強するのはお金がかかりますでしょう?天空王国は貨幣が少ないので地上で学ばせる機会が少ないのですよ。というか、ここ数百年は、その記録もありません。天空王国で賄えないものは地上に買いに行きますが、貨幣が出ていくだけで財政的に厳しいのですよ」
「くつにょひようは、わたちがだしましゅ。しんぱいいりましぇん」
国王が不思議そうな顔をした。
「サチ様は何と言ったのですか?」
「革靴を作る為にかかる費用はサチ様が負担してくださるそうです。心配ありません。人材の選定だけお願いします。そうですね、人に教えを乞うので素直な人がいいですね」
「おお!それはとてもありがたいです!サチ様、よろしくお願いします!」
サチはうむ、と頷いて、提案をする。
「かへいがにゃいにゃりゃ、くだもにょをちじょうで、うったりゃいいでしゅ」
国王が困惑した顔をした。
サチの難解な言葉を理解出来なかったのだ。
こういう時は、ラズ!
「サチ様は、貨幣がたりなければ果物を地上で売ったらいいとお考えです」
「おおお!それは売れそうですか!?」
ん?売れると思うけど、販路を作らないと……。
困った時の知り合いの商人・ザイデンだ!
「しょうにんに、しりあいがいましゅ。おねがいしましゅ」
これは国王にも理解出来た!またとない機会だ!
「サチ様!よろしくお願いします!」
サチは偉そうにうむ、と頷いて、ストローマグから麦茶を飲んだ。
昨日もリー家に行ったけどね。
サチはパンを作ってもらった時を考える。
天空王国からザイデンの所に持って行くなんて手間がかかりすぎだ。
それに、天空王国は世界中を移動している。
だから、天空王国にザイデンの拠点をつくって、リー家の家の前にある建物に天空王国と行き来できるドアを作った方が効率的だ。
その為には天空王国に家を建てる必要がある。土地をもらわないと。
「てんくうおうこくにょ、とちをくだしゃい」
国王はギョッとした!まさか対価が天空王国の土地とは!それは頷いてはいけない!
「サチ様、天空王国の土地は貴重です。差し上げるわけにはいきません」
毅然とした態度で国王は断る。
地上からの侵略を受けるわけにはいかないのだ。
ラズは何か意味があるのだろうとサチに問いかける。
「サチ様、どのくらいの土地が必要なのですか?」
「いえ、いっけんぶんでしゅ」
それを聞いて、国王と人民大臣とラズはホッとした。
そしてラズが提案する。
「国王様、死の大地でいいので、家1軒分の土地をいただけないでしょうか?対価は払いますので」
「死の大地ならかまいませんよ。何処がいいですかねぇ。何ヶ所かあるのですよ」
「あの、対価は、値段はいかほどで?」
「あ、土地に値段をつけたことがないので、ラズさんにお任せしますよ。希望の土地はありますか?」
「わかりました。サチ様、土地のお金と希望の土地はどこですか?」
土地のお金……。
サチは考える。
天空王国の土地は地上よりも面積が少ないからとても貴重なはず。日本でも高級住宅街はとても高かった。400坪で8000万くらいした場所を見たこともある。
と、いうことは、1億円くらいでいいってこと?いや、浮遊大陸は土地が限られているから、もっと高いかもしれない。よし!倍出そう2億円・ミスリル貨2枚だ。
ラズにミスリル貨2枚渡す。
「ばしょは、くだもにょばたけに、ちかいほうがいいでしゅ」
ラズが国王の前にミスリル貨2枚置く。
「土地代・ミスリル貨2枚です。お受け取りください。土地は果物畑に近い場所でお願いします」
「ミスリル!2000リン!?」
ガタッと1人の大臣が立ち上がった。
財政管理大臣である。
天空王国の財政はいつもかつかつ。臨時収入はカモン!なのだ。
ソファの近くにつかつかと歩いてきて、大事そうにミスリル貨2枚を手に持って席に帰って行った。
誰も何も言えなかった。
「お、王国管理大臣!死の大地で果物畑に近い土地を探してください!」
国王様が若干上擦った声で指示を出した。
王国管理大臣は本棚から天空王国の地図を取り出して確認する。
天空王国は地上に比べれば小さいが広大なのだ。何処に何があるかいちいち覚えてられない。
たくさんある地図から果物畑に1番近い土地をピックアップした。
国王に言うと案内してくれと言われた。
でも、国王の隣には人民大臣。ジロー爺のところに案内してくれと言われた。
大臣同士が困って目を合わせると、サチが先にジロー爺に会いに行くと言ったので、そういうことになった。
サチ達一行は人民大臣に案内されて、礼拝堂の隣のジロー爺の部屋に行くことになった。
その後、帰ってきてから王国管理大臣に土地に案内してもらうと話をつけた。