冒険者ギルド長と戦闘
朝やっぱり早い時間にラズがいて、朝食を食べて、礼拝して、午前中、先生と勉強してケーキをラズと3人で食べて、また勉強してから、昼食を食べて、大司教様の所へ行く。
今日は大司教様と冒険者ギルドに行くんだ!
ぴーんぽーん、とラズがインターホンを鳴らす。
部屋の扉が自動的に開いた。中から画像で見たんだろう。
大司教様の部屋に入る。
「ようこそサチ様!準備は出来ましたかな?」
「いつでもいけましゅ!」
「サチ様、神様からいただいたマントを着てください」
「はい!」
収納にしまっておいたマントを出すと大司教様、自らつけてくれた。
「やっぱり、翼を隠蔽するものですな。普通の子に見えますぞ。飛んでおりますが」
創造神様、特製だからか翼に違和感は無い。このまま飛んで行っても大丈夫そうだ。
「さあ!行きましょう!」
大司教様について行く。大司教様のお世話係の人が足早に先に行った。何かあるのかな?
ラズが黒子さんみたいに動いてくれる。楽ちんだ。
礼拝堂を通って、教会の入り口に行く。
あ、大司教様のお世話係の人がいた!
教会を出たら聖騎士の人が6人もいた。護衛かぁ。豪華だなぁ。大司教様のお世話係の人とラズがお辞儀をしてお見送りしてくれた。
歩いて行くと目の前に豪華な馬車。乗るの?乗るのかぁ。大司教様だもんね。すっかり歩いて行くと思ってたよ。
座席に座ろうとすると大司教様にキャッチされて膝の上に乗せられた。振動があるからありがたいけど、豪華な馬車に乗って冒険者ギルドに行くと思ったら、なんか気分がスンとしてきた。
いやいや、無理言って冒険者ギルドに行くんだからこんなんじゃいけないや。楽しみにしないと!
大司教様が頭を撫でてくれている。構われると嬉しく思っちゃう。
「サチ様は何の魔物を倒したのですか?」
「にゃんか、いにょししみたいにょと、ありゅきまいりゃ」
「アルキマイラ!!凄いのを倒しましたな。あれは3度殺さねばいけない魔物ですのに」
「びーむした。よだりぇたりゃしてた」
「びーむで倒したのですな。涎を垂らされたと。死んで当然ですな。サチ様に涎を見せるなど」
「こわかった」
「頑張りましたなぁ。偉いですぞ」
優しく撫でられると心が温かくなる。頑張りも認めてくれた。そういや、凄い勢いで叩かれたんだ。よく勝ったなぁ。
『大司教様!冒険者ギルドに着きました!』
「さあ、着いたようです。降りますよ」
中から鍵を開けるとドアがさっと開いた。大司教様に抱っこされて外に出る。
目の前に冒険者ギルドがあった。大きい。ひたすら大きい。教会くらいの大きさがあるんじゃなかろうか。
聖騎士が前後2人ずつ固めて一緒に行く。
冒険者ギルドに入ると大きいスペースが、ガランとしていた。今は冒険者は仕事に行ってるのかもしれない。
「いらっしゃいませ。大司教様ですね。ギルド長がお会いになります。ご案内いたします」
予約でもしてあったのか受付の男性にスムーズに案内される。
見る物が目まぐるしく変わって飽きない。
階段を登って2階に行く。
私は大司教様に抱っこされたままだ。大司教様、力があるな。
1番奥の部屋に案内された。男性がドアを開けてくれる。
1人の体格のいい短髪の中年男性が迎えてくれた。筋肉ムキムキだ。書類仕事に筋肉いる?ギルド長だよね。
「お久しぶりです、大司教様。ソファにお掛けください」
「失礼しますよ。ギルド長。お時間作っていただいてありがとうございます」
「なんの、大司教様なら、無い時間も空けますよ」
ソファに座る。大司教様、膝から降ろしてくれない。
「それで、今日はなんのご用事で?」
「私ではなく、この子、サチ・スメラギ様が用事がありましてね。魔物を売りたいそうです」
「その、子供が、ですか?」
「はい、冒険者は10歳からでしょう?それも期間有りの。1ヶ月に3度依頼を受けないと冒険者資格は剥奪されてしまいます。この子に剥奪されない冒険者カードを作っていただきたいのです」
「んー、いくら大司教様でも、それはお受け出来ませんな。何の為の規則か長を勤めている者なら分かるはずです」
「ええ、そうなんですが、この子を説得出来なくてですね。ギルド長ならなんとかしてくれるんじゃないかと期待しているんですよ。出来れば特級冒険者とか」
「話になりませんな。この子供が特級冒険者と同じ実力があるとでも?」
「実力はあるでしょう。これは保証いたします。では、どうしたらいいでしょうか?」
「その子供が戦う力があって、元特級冒険者の私に勝てるのならいいでしょう」
「では、その条件で。いいですか?サチ様?」
「はい」
私の頭の上でぽんぽんと交わされる会話に呆然としていたら、話がまとまっていたらしい。目の前のギルド長に勝てばいいわけね。怪我させないようにするなら水かな?
今は大司教様に抱っこされて移動中。訓練場に行くんだって。そこで試合するらしいよ。
結構広い訓練場に着いた。
訓練場の名前の通り、戦闘訓練や魔法の練習をしている人達がいる。
ギルド長が声を張り上げる。
「すまん!みんな!今から試合をする!場所を開けてくれ!観覧席に移動してくれ!」
冒険者の人はなんだ何だと言いつつ場所を開けてくれる。聖騎士を見て納得している人もいた。
5分ほどで訓練場から皆、観覧席に移動した。
「では、試合の確認だ。相手から『負けた』と言わせるか、戦闘継続不能だと審判に判断されれば試合終了だ。審判はダヴィドがするように。では試合開始場所に待機するぞ」
ダヴィドと呼ばれた受付の人が心配そうに見てくる。
「では、サチ様、存分に戦って来てください」
「はい」
大司教様に言われて私は飛んで待機場所についた。ギルド長がバカ面をしてこちらを見てくる。観覧席もざわついてるようだ。ダヴィドさんも呆然としている。
「ギルド長!試合を始めてください!」
大司教様が声を張り上げる。ギルド長とダヴィドさんが、ハッとしたように動き出した。
「これから、試合を始めます!双方準備はいいですか!?」
「はい」
「いいぜ」
「それでは、始め!」
ギルド長が剣を手にして、凄い勢いで走ってくる。私は結界を張った。ギルド長は勢いよく突っ込んで弾かれた。
私はギルド長に主導権を渡さないように大量の水をギルド長を巻き込んで生み出す。そのまま水を洗濯機の水のようにグルグルと回す。ギルド長は水で持ち上げられて遠心力で水の中を回る。首は出してあるが、遊園地のコーヒーカップ並みに勢いよく回している。凄い目が回っているんじゃなかろうか?降参しないかな?
しばし待つ。
ダヴィドさんがギルド長に声を掛けた。
「ギルド長ー!降参しないんですかー!?」
「これ、うぷ、ぐらいで、ぶは、こうさ、ぶ、できるか!ぶほ」
まだ、降参しないらしい。
どうしようか?微弱な電流を流してみようか。
「あばば、うぷ、ばば、ぶほ、あばばば、ぷふ」
「ギルド長ー!!本当に大丈夫ですかー!!」
ギルド長は返事をしない。
審判を見る。悩んでいるようだ。もう少し待つかな?
10分ほど待ったと思う。審判が決意したように告げた。
「勝者、サチ!戦闘をやめなさい!」
ギルド長をゆっくりと地面に横たえる。ダヴィドが走って近づいた。
水どうしよう?消えるかな?あ、消えた。よかった。大司教が近づいてくる。あ、抱っこされた。
「よくやりましたね、サチ様。ご立派でしたよ」
「ありがとう」
ギルド長に近づく。意識が無いようだ。ダヴィドがギルド長の顔を横に向けている。水を吐いているようだ。ギルド長の体調が良くなるように祈ると、大量の水を吐いて、しばらくすると起き上がった。体力はあるようだ。
「げほ、げほ、俺は、負けたのか?、げほ」
「負けました。ギルド長は我慢強かったですけどね。意識を失っては負けです」
「げほ、そうか」
ギルド長の体調回復を待った。
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