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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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家畜を育てている場所へ 5 ザイデン村に案内する

 車が出発し、ザイデンが発言する。


「えー、それで、ビグーはいかほど必要で?」


 ライデンは運転に集中している。聞いてはいるが。

 ラズはよくわからないのでサチの発言を待っている。


 サチが元気よく発言した!


「いっぱいでしゅ!」


「はあ、いっぱいですか。小さい村もまわる必要がありそうだな」


 ザイデンがぶつぶつと独り言を言う。

 そして、ハッと!顔を上げた!


「ビグーだけが欲しいのですか?家畜なら他の種類でも大丈夫ですか?」


 サチは悩んだ。

 家畜放牧場は広いが他の種類の家畜の面倒はみれるのか?と。

 だが、肉の種類は多い方が嬉しいはず。


 うん、と頷く。


「ほかにょしゅりゅいでも、だいじょうぶでしゅ!」


「それなら、たくさんの家畜をご案内できますよ!」


 ライデンもサチの張り切った声に嬉しくなって、うきうきと答える。


 そして、新しい家畜の説明をしていく。


 元は魔物で、動物と掛け合わせた品種なのだが、性欲が旺盛で妊娠中のメスの尻の上でも腰を振るらしい。


 ラズが教育に良く無いとサチの耳を塞ぐが、サチには全部聞こえている。


 そして、子供をポコポコ産み、1個体が20年ほど生きる事から、多産で安産の家畜として新婚さんや子供が欲しい夫婦に好まれて食べられているようだ。味は美味しいらしい。部位ごとに違うらしいが。

 家畜の中では高級肉に分類されるようだ。


 問題は逃げ出した時。

 性欲旺盛なので、他の種類が違う家畜にも種付けするらしい。だから、亜種がたくさん存在するようだ。


 自然に逃げたら他の魔物に襲いかかって返り討ちになる場合がほとんどだから自然への影響はないようだ。


 ただし、ここが一番大事な注意点。

 『世話は成人した力のある男性だけが行うこと!』

 性欲旺盛なので、未成年の男女が被害にあったり、女性が襲われたりするらしい。たまに、優男の男性も。


 なんとも教育に悪そうな家畜である。


 4足獣だが、前脚が異常に器用で命の危険は無いが貞操の危険がある。名前はジーコラ。成人男性と同じくらいの大きさらしい。


 ライデンは怖くなさそうだが、ラズは怖そうだ。

 ラズは鍛えてないから肉体言語でお話しできないもんね。ジーコラに負けそう。


 まぁ、利点は多産で育てやすくて、元が魔物だから雑食で植物の根っこまで食べるらしい。

 欠点は頭が悪く、上位の存在と見做されないと襲いかかってくる。性的に。だから飼育係がボスにならないといけない。


 サチは本当に大丈夫なのか心配になってきた。


 縁起がいいけど、厄介。育てやすいけど襲われる。


 ふむ、天空王国の人にまーかせた!


 と、ちょっと人ごとにしてみた。丸投げである。


 そんなこんなと言っているうちに、1つ目の村に着いた。


 車から降りて、ザイデンが門番に気安く挨拶している。

 仕立てのいい服を着て愛想の良いザイデンは人と仲良くなる事に長けていそうだ。


 サチ達も村の中に入る。


「行商で来るので歓迎されているのですよ。必要な商品を売り、村では貴重な金銭を得る機会。敵対しなければ良い隣人です」


 流石ザイデン。手広く商売しているようだ。

 以前に一緒に村を回った時もそうだったが、敵を作りにくい性格をしているらしい。顔が広い。


 この世界、基本的に家畜は魔物被害に遭いやすい為、村の真ん中に畜舎を作り、その周りに畑を広げて隅に柵を立てる。村人も同じで、村の中心部に家を建て、仕事の時だけ畑に行く。そうして魔物被害に遭いにくくなっている。人の知恵である。

 村に人が増えると畑の近くに家を建てる事もあるそうだが。土地がないからね。


 大体、家畜は村長の所有物なので村長に交渉する。

 なので、目的地は村長の家だ。


 村長の家の中に声をかける。村は放牧的だ。

 今は夏も終わりに近づく時期、まだ暑い。


「村長ー!いますかー?リー商会のザイデンですー!」


「はーい!はいはいはい!お待ちをー!」


 なんか、面白い掛け合い。


 中年の男性が出てきた。汗を手ぬぐいで拭いている。標準体型なので、この村は良い村なのだろう。


「あー、商会長ではないですか!?何か大商いの相談ですかな?」


 ちょっと期待した顔をする親父村長である。騙されそうだ。


「いえ、違うのですがね、私と懇意にしている方がビグーをご所望でして、村長が売ってもいいだけ売ってもらいたいのですよ」


「おおー!それは嬉しいですな!案内します。少しお待ちください」


 村長にとってビグーを売るのは良い話だったようだ。


 ちょっと準備してから外に出て案内してくれる。


「我が村では畜産に力を入れてましてね?冬になると肉を食べる事が多くなりますから。今から冬にかけてもビグーは子供を産みますからね?結構融通出来ますよ。数はいかほどご用意しましょう?」


 お話し好きの村長のようだ。人が良い。


「出来れば多い方がいいですね。オスメス同じくらいの数で」


 案外ザイデンさんが紹介してくれる村が良い村なのかもしれない。きっと、いけずな村もあるよね。


 村長の家が村の中心部付近だから、少し歩いたら畜舎に着いた。


 畜舎を管理している人と村長が話している。売ってもいい数を確認しているのだろう。


 村長がこっちにきた。


「商会長、今確認してくれているのですが、いくらでお買い上げしてくれますか?」


 村長の期待する目が痛い。「高く買って!」というビームが貫きそうである。


「使徒様、どうされますか?」


 ザイデンさんが聞いてきた。

 サチは偉そうに答える。


「よきにはかりゃえ!」


 うん、意味は通じた。

 ザイデンさん的にも村に貢献したい気持ちがあったようだ。


「村長、ビグー1頭、大銀貨1枚でいかがでしょう?」


 村長的に良い金額だったのだろう。キラキラした目で「もちろん!もちろんですよ!」と嬉しそうだ。


 畜舎を管理している人がビグーを追い立てて来た。沢山いそうだ。


「余剰がオス10頭、メス7頭です。村長、全部ですか?」


「ああ、全部商会長に売るとも!」


 村長と話をしているので金貨1枚と大銀貨7枚をザイデンさんに渡す。


 ビグーがビゴビゴと鳴いている。面白い鳴き方だ。


「それでは村長、こちらがお代です。確認してください」


「ふむふむふむ、ちょうど頂きました。馬車はこの近くですか?載せるのを手伝いますよ」


 村長が親切に申し出てくれたけど、この場で瞬間移動だ。


「あー、購入したのは使徒様ですので、お任せします」


 ザイデン丸投げである。

 そして『使徒様』と聞いた村長の顔が面白い。


 サチは買ったビグーをえいっと、天空王国の牧場に瞬間移動させた。


 ビグーがばらけないように見ていた管理人が、いきなり消えたビグーに顔が驚愕に歪む。


 サチ達はスタコラサッサと村を出た。


 そして車に乗って次の目的地へ。


「おどりょいてましゅた」


「慣れてない人は驚きますよ」


 サチが思ったままを言うと、ラズが当たり前でしょと言い返してきた。


 こんな感じで、昼食にはサチの希望で寿司を食べて、数カ所の村をハシゴした。


 ビグー、約100頭は購入したので、あとは放牧場で勝手に繁殖するだろう。サチ満足。


 そして、最後。

 問題のジーコラを主産業としている町に向かっている。


 サチ達は無事に買い物を終えることが出来るのか!?


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