表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
148/207

果物畑を作ろう! 3

 ライデンに抱っこされるサチにカイザーが真剣に告げる。


「サチ様、昼食は焼き肉にしよう」


 サチはカイザーを見た。

 寝起きはちょっと最悪だったが、ライデンの胸を揉んで癒された。気分は悪くない。うん、イイ胸だ。

 昼食か。腹具合をみる。うん、大丈夫、食べれそうだ。


「りゃいでん、ありがと」


「大丈夫ですか?サチ様?」


「うん」


 サチは飛んだ。


 焼き肉の準備だ。外だからバーベキュー。


 大きい机を出す。焼き網も炭も出して火をつける。


 そういえば、2人の大臣と果樹園のお世話をしてくれる人達もお昼を食べてないかもしれない。


 炭と焼き網を追加で出して火をつける。


 肉。


 一言で言ってもいろいろある。


 あ、スペアリブ食べたいかも。

 山盛り出す。トングも出す。


 シャトーブリアンが食べたい。

 牛1頭から2kgしかとれない希少肉。ブランド牛で頂こう。

 山盛り出す。


 あとはサチサイトを見る。

 バーベキューだと赤身!って感じがするけど、ホルモンも食べたい。

 某県のテレビにしょっちゅう出ていたホルモン焼き。めちゃうまなんだよね。

 これも山盛り。


 バーベキューで無いだろーと思うが、牛タンも食べたい。

 某県のゾウの国近くの臭い焼肉屋。でも美味い。

 他の部位も出す。

 どれを食べても美味しかったから。

 これも山盛り。


 そしてやっぱり神◯牛。1人サーロイン300g。

 霜降りはね、油が多いから食べ足りないくらいが良いんだよ。


 そして、野菜。

 淡路の玉ねぎ。甘いのだ。

 それと、とうもろこし。焼くと最高に美味い。


 ピーマンとかにんじんとかキャベツは要らないや。


 あ!サンチュ!サンチュは口の中がさっぱりするから要る。


 さあ!食べよう!



 と、声を掛けようと顔を上げたところで、遠くにスナーで飛んでくる4人を見つけてしまった!


 いや、来ると思ってたからいいんだけどね?タイミングがね?いやいや、ナイスタイミングかもしれないけどね!


 私が固まったから、みんな視線の先を辿る。


 「ああー」


 と納得顔。


 4人ともスナーで近くに降りて、こっちに来る。

 農業大臣が話し出す。


「お待たせしました。こちらの2人が果樹のお世話をします。シンとメラニーです」


 男の人、まだ若い。田舎の子って感じ。

「シンです。よろしくお願いします」


 女の子は女子高生って感じ。結婚するの?

「メラニーです。よろしくお願いします」


「とりあえじゅ、ちゅうしょく、たべにゃい?」


 4人は「は?」って顔をする。


 ラズが通訳するかと思ったら、カイザーが我慢出来なかったらしい。


「今から昼食で、焼き肉をします。一緒に食べましょう。って言うか食べるぞ!もう、我慢できん!」


「りゃず!」


「はい!」


 一度焼き肉をした経験か、神◯牛A5等級の霜降りをジュッと焼いていくラズ。


 「我慢できん!」と言ったカイザーも焼ける所を見ている。美味さを思い出したのだろう。

 仕方ない先に冷えたビールを渡してしんぜよう。


「あ、ありがとう!サチ様!」


 ごくっごくっくっと飲んでいくカイザー。ぷはぁと美味しそうだ。


 他の人は烏龍茶でいいだろう。私の中では焼き肉は烏龍茶だ。


 みんなに「はい、はい」と飲み物を渡していく。


 その間にレアで焼けた最高級肉を待ちきれないカイザーに渡した。

 なんだか皿を持つカイザーの手が震えていたような。


 ラズはカイザーの次は大臣だと思ったのだろう。大臣に渡すが受け取らない。他の肉がレアじゃなくなるじゃないか!!


「だいじん!!」


 私は叫んだ!!


「はいぃぃぃ」


 受け取ってくれた。

 次々とラズが渡していく。

 大臣は反射的に。男の人は、よくわからず。女の子はつられて。

 私がフォークを渡すとコップを机の上に置いてカイザーの真似をして口の中にA5等級の肉を入れた。


 4人ともビビビッと目を見開いた。


「んー!」女の子は声にならない!

「んー!」男の人も女の子を見て声にならない。

「むふぅ」大臣達は声にならない。

 とにかく次の肉から味わってゆっくりと食べているのが印象的だった。


 私も自分の分を食べる。

 3回目だけど、これは至福。口の中でホロリと甘くとろける肉。芸術だ。


 ラズも味わって食べている。そうだよね、みんな静かになっちゃうよね。


 ああ、最後の一切れ、パクリ。うまーーー。


 余韻に浸っていたが、いや待て。

 今日はお箸で切れるくらい柔らかいシャトーブリアンがある!!


「りゃず、こりぇやいて。さっきとおにゃじで」


 シャトーブリアンを指差す。


 ラズが「はい」と肉を焼き始める。ジュー。


 ラズが名前を呼んでいき、さっきと同じ順番で配っていく。もう、大臣はためらったりしない。


 私にもすぐ来た。

 前世で食べられなかった高級肉、希少部位。

 パクリ。


 とろける〜。でも赤身が多いから肉!って感じがイイ。


 んー、いいね、いいね。この断食した後の肉!って感じ。断食してないけど。染み渡る〜って感じ。


 仕方ない、ビールを飲み終わったカイザーにもう一杯あげてしんぜよう。


 机にビールジョッキを出して肉を焼くのに夢中なカイザーを呼ぶ。

 あん?て感じで見られたけど、目が輝いた。素早く取りに来る。


「ありがとう!サチ様!」


 素直で良い。素直で良い。


 さて、私も肉を食べるかな。

 ラズに面倒を見てもらおうかと思ったら、大臣達4人がちびちびお茶だけ飲んでる。


「えりぇにゃー」


「何?サチ様?」


「あにょひとたちにょ、めんどうみて」


 ちょいちょいと指を指す。エレナも見て「あー」て顔してる。

 仕方ないなぁって感じで、焼き肉の仕方を教えに行った。

 これで大丈夫だろう。


 能力でスペアリブを網の上に乗せる。

 そう、肉を育ててる感じがいい。

 あ、ホルモンも時間がかかるから早く焼いておかないと。とりあえずいっぱい網の上に置いておく。誰か食べるでしょ。


「サチ様、おいしいです。ありがとうございます」


 にこっと笑う。ラズはこういう所がいいね。


 あー、早く運命の人に合わせてあげたい。



ー大臣ー


 女性聖騎士のエレナさんが我々に『焼き肉』という、この世で最も贅沢だと思われる食べ方を教えてくれる。

 ああ、恐れ多い。


「あの、私どもは大丈夫なので……」


「大丈夫じゃないです。サチ様に焼き肉の食べ方を教えてあげてと頼まれたのです。それとも、サチ様のご馳走してくださるお肉が食べられないとでも?」


 いえ、いえ、そんな訳ありません。

 先程教えてもらったのですが、はじめに食べた柔らかくて美味しい食べ物が高級肉だと教えてもらったばかりですから。

 素晴らしくおいしいと思ったら高級肉だったなんて、もう怖くて食べるのが恐ろしすぎです。他の3人もそんな感じです。


 物心ついた時から肉とは食べたくても沢山食べられない贅沢品だと染み付いています。

 それを、ああ!あの騎士はバンバン焼いて食べているではないですか!?羨ましい!あの大きさの肉とはどんな味がするのでしょうでしょうか?

 ああ、恐ろしいことを考えてしまいました。家族に申し訳ない。


 4人で縮こまっていたらエレナさんに怒られました。「私が食べられないじゃないか」と。


 地上では肉が当たり前に食べられているのでしょうか?

 私は地上は怖い所で弱肉強食で『魔物』と言うものがおり、外も自由に歩けないと聞いていたのですが。そして、戦争という人同士の殺し合いがあるとも。地上は恐ろしい所です。

 それとも、創造神の使徒様だからでしょうか?きっとそうですね。昨日も国王に大量の肉をくれたとのことですから沢山お待ちなのでしょう。


 ああ!お皿に肉が乗せられてしまいました!どうしましょう!どうしましょう!


「冷める前に食べてください」


 そんな!食べるしか選択肢がないなんて!他の3人は……食べてます!食べてますよ!仕方ないです。私も。


 う、う、う、うまあぁぁぁい!!!何ですかこれは!?何ですか?これが『肉』ですか!?噛めば噛むほど旨味が滲み出てきます!おお!この世の天上です。神はここにいたーー。


 おおー!!お皿に何かの調味料を入れられましたよ!!これは『タレ』?お肉につけて食べると美味しいと。

 ああー!!またお肉を入れられましたよ!!


「熱いうちに食べて!」


 神よ、これも試練なのですね。食べましょう。

 ……うまぁぁぁぁぁぁーーー!!!タレ、肉!うまぁぁ!!口の中に神が降臨しました!!私は今、神に近づいたのですね。肉が勿体無くて飲み込めません。


 あああわあああ!!!また!違う肉が!!くぅ!これも試練!食べますとも!!?油?パリッとグニュっと香りの爆発です!!これは!また、飲み込めない!


 ああ、私は泣いているのですね。


 他の3人を見てみる。

 みんな何かを感じている顔をしています。

 神の試練とは、かくも旨きもの。あ、また、肉が!


 仕方ありません。きっと今だけです。一生に一度の贅沢です。粛々と受け入れましょう。


 え?ライデンさん?


「エレナだけでは可哀想だから」


 と、私たちの為に肉を焼いてくれます。なんと尊い。さすが神の使徒様の御付きの方ですね。


 あ、肉の焼けるペースが上がって、贅沢にも、食べても、食べても、無くなりません。これは、お腹いっぱいになるまで食べてもいいという事でしょうか?

 ああ、天からのお迎えが近いかもしれません。父さん近いうちに私もそちらに参ります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ