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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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果物畑を作ろう! 1

 外に出た所で大臣達がスナーのスピードを上げた!時速何キロだ!?


 教会組が焦る。

 新セグウェイ。安全の為に時速20kmしか出ない。


「大臣!待ってください!」


 カイザーが必死に叫んだ。


 止まる大臣達。後ろを見て困惑顔だ。常識の違いがこんな所で出て来た。


 サチはみんなの新セグウェイを収納して、みんなのバイクを出していく。これならスナーの速度に劣らないはずだ。


 教会組はホッとしてヘルメットをつけて各自バイクに乗っていく。これで安心。

 サチは今回は飛んでいく。全力で飛んだ事が無いから、ちょっと楽しみだ。


 教会組が大臣達に追いついた。


「乗り物を変えました。よろしくお願いします」


 ラズが代表して言う。


 大臣達は後ろを見て走ろうと決めたのである。大切なお客様だ。天空王国を豊かにしてくれるかもしれない。


 また団体で走り出す。


 教会組、今度は周りを見る余裕が出て来た。


 ひたすらに農家が畑が続いている。人口が多いのだろうか?

 たまに農作業用のスナーを見つける。

 物珍しく見て過ぎていく。


 よく見ると山が無い。

 ひたすら平地だ。でも端が見えないくらい広い広い大地だ。そして緑が多い。田舎の匂いがする。民家もポツポツと立ち並んでいる。

 地上の町の方が都会だ。

 水はどうしているのだろうか?不思議だ。川がない。井戸は天空王国には無いだろう。下を掘ったら空だもの。


 サチは空の上で弾丸になっていた。時速50kmぐらいだろうか?まだまだ余裕そうな感じがする。

 大臣2人の頭の上を飛んでいく。


 大臣の1人はなんだか影が出来るな?と不思議に思った。鳥も飛ばない天空王国。

 ちらり、と空を見た。見た!赤子の腹を!サチ、近い近い。大臣の手元が狂うでしょ!


 大臣は内心の動揺を押し込めて心なしか早めに飛んだ。

 スナーの最高速度が出たかもしれない。


 城から40分ほど飛んだところに空き地がある。そこに着いた。


 皆が乗り物から降りたので、トモモのジュースを紙コップで配っていく。

 教会組は風に吹かれて喉が渇いていたのでごくごくと飲んだ。美味い!

 大臣2人は戸惑って受け取ったものの、初めて飲み物に「お前飲めよ」「いや、お前が先に飲めよ」と不毛な争いをしていた。仲が良いのか、せーので口をつけたら口の中に幸せが広がった。天空王国で甘味は超貴重品だからだ。早く飲みたい気持ちを抑えて、とても、とっても味わって飲んだ。


 サチはストローマグでのんびりと麦茶を飲んでいた。麦茶を飲むと家でゆっくりしているみたいに落ち着くのだ。

 むふーと、満足の息を吐いた。


 みんな一息ついた所でラズがトイレに行きたくなっちゃった。


 サチはおうちを収納から取り出して設置する。


 ラズは無言でおうちの中に入っていく。緊急だった?


 15分ほどでラズが心なしかスッキリした顔で出て来た。大だった?大?


 もうそろそろいいだろうと、大臣が説明を始める。


「ここの広い土地です。地盤が硬いのか農業に向かない土地ですが、果樹を植えるのならいいかと思うのですが、どうでしょうか?」


 サチは土地の土を触った。さらりとしている。全体的に乾燥している土地なのだろう。


 でも、サチは村で砂糖や酵母の木を作った時だって気にしなかった。根付くイメージだけで出来たのだ。創造神様の力ずくだね!


 サチは空を飛んでいて虫が顔にぶつかってこなかった事から、天空王国には虫がいないと結論づけていた。

 普通の果樹みたいに花が咲きました。虫が受粉してくれます、は期待しない方がいいだろうと思い、果樹の木の構造をねっていく。


 まず、天空王国に四季を期待しちゃいけないと思う。今が快適温度だからだ。誰も汗をかいていない。地上は真夏なのに。結界の効果か?

 昼夜の寒暖差にも期待しない方がいいだろう。虫もだ。


 と、言うことは果樹1本で実がなるように完結させねばいけない。地球の常識は持ち込まないのだ。


 結果、強くて、実もたわわになって病気にならないで、年中実がついたら素敵じゃない?外敵がいないし。夢の果樹だ!


 まずは、土地の広さを見極めよう。


 サチはどこまでも続くと思われる草も生えない荒れ野の上を飛んでいき、先を見極める。

 超高速で飛んでいる。


 サチを見ていた面々はサチが突然消えたように見えて、少々ざわついたが、サチには関係ない。


 本気で飛んだら音速になってしまったからだ。


 土地の端、というか、天空上からの落下防止柵が立っているところまで来てしまった。


 とにかく、とてつもなく広いことがわかっただけだった。


 これは植える種類に悩まなくてもいいんじゃない?ちょっとマイナーな甘瓜とかも植えていいんじゃない?ぶどうだっていろんな品種があるから全部植えてもいいんじゃない?


 サチの夢の果樹園の構想ができて来た。


 サチ検索で、しばし果物、スイカやいちごなんて果物に勘違いされやすい野菜も探していく。


 ふむふむ、美味しそう。じゅるり。


 サチの創造の想像の力にお任せあれ!!


 サチは50キロほどのスピードで飛びながらも次々と渇いた地面に木を生やしていく。

 果樹が育つ余地と収穫しやすいように間を空けながら、サチが集った後に木がにょきにょきと生えてくる。


 キウイフルーツとぶどうは棚がなければ綺麗に育たない。

 ぽんぽんぽんと棚を設置していろんな品種を生やしていく。シャインマスカットだってメロンだって、マンゴーだってオレンジだってグレープだってライチだってパイナップルだって、いろいろ、いろいろ、植えちゃうぞー!!そして食べるぞー!!


 口の中が涎でいっぱいになってきた。


 少し休憩して成ったばかりの身を収穫して食べてから、また植えるのを再開してもいいかもしれないとサチは自分を甘やかす。


 今、猛烈にライチと桃の口になっちゃった。


 収納に収穫してラズ達の元に帰る。

 皮を剥いてもらう為だ。


 本当の桃は追熟させないと収穫後すぐは固いままだけど、サチの創造した桃はすぐにでも食べれる。あ、アメリカンチェリーも食べたい。これは収穫が面倒くさいからラズ達の近くで生やそう。


 ぴゅーんと飛んで帰って来たサチはラズにすかさずキャッチされる。


 心配したのだ。ラズ達は。主がいきなり消えて。


 でもサチの口は限界だ!


「くだもにょをたべましゅ!かわをむいてくだしゃい!」


 抱っこされているラズの胸をタップタップ、ぽむぽむと叩く。


 机を創造して包丁を出す。まな板も盛り付けの器も忘れずに。

 収納から果物を山盛り出す。


「りゃず!かわをむいてくだしゃい!たべたいでしゅ!」


 猛烈なサチのおねだり。何があったのかラズ達にはわからない。

 だが、おこぼれがたんまりありそうな果物の皮を剥いていくのだった。


 ラズの剥いてくれた果物を口いっぱいに頬張り、幸せが溢れる顔でもぐもぐして食べていると、呆然とした大臣2人がサチの視界に入る。


 山盛りのラズとライデンが器用に剥いてくれた果物を見る。

 サチは手で持ち上げようとしたが重くて持ち上がらない。能力で浮かべて大臣の元に持っていく。そしてフォークを準備する。


「たべていいよ」


 『え?まじっ?』って顔で器とサチを見る。

 2人が受け取らないのを遠慮しているのだと見て、サチは器が2人の顔につきそうなほど近づける。と、やっと受け取ってくれた。

 安心だ。

 サチはアメリカンチェリーを生やしに行った。マイペースだ。


 残された2人は、猛烈に甘い香りを放つ食べ物に唾液がじゅわりと口を満たす。


 フォークで刺して口に入れる。


 パラダイス!!!


 2人の口は桃色に染まった!!桃だけに。


 「来て良かった。案内人で良かった」と今日の幸せに感謝するのだった。


 サチはアメリカンチェリーの木を生やしてから一つずつ口にして、そこらへんの地面に種とヘタをぺっと吐き出していた。マナーが悪い。

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