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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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国王の末っ子からのおねだり

 国王様一家と面会した日の午後は、何処に出かけてもいいかわからないし、おうちでジ◯リ鑑賞したよ。


 カイザーとライデンは初めて大画面テレビで映画を鑑賞したから興奮してたし、エレナとラズも2回目だけど違う映画でナウ◯カを見たからか真剣に見ていた。

 世界観がアラタカラと少し似ていたからかもしれない。


 ポップコーンとコーラを片手にみんなで見たね。


 上映2度目を催促されるのは当たり前なのかな?私は飽きる。


 夜ごはんも食堂で食べたけどカイザーの元気がなかった。

 明日には肉を催促されるかもしれない。私は刺身でも良いんだけどね。寿司も食べたいなぁ。




 次の日も、ちょっと弾力がよくなってハリが出てきてシンジュアタックが凶暴になったシンジュに起こされて、朝食を城の食堂で食べた後、国王様の部屋に来た。


 トントントン。


「失礼します」


 何と言って入ったらいいのかわからずに、当たり障りなく国王様の部屋の中に入る、と、なんだか期待しているような顔で見られて、?ってなった。

 何だかもじもじするぞ。


 サチがもじもじしてもかわいいだけである。


「よく来てくれました。サチ様。さぁ、ソファに座ってくださいね。お茶をご馳走しますから」


 国王が昨日よりにこやかな顔で立ち上がって奥の部屋に入って行く。

 ドアが開いてるから、カチャカチャと食器が触れ合うような音がする。


 ん、なんか足音がする。走っているような?


 奥の部屋から国王の末の子が飛び出してきた!


「わあい!きょうもきてくれたの!ねっ!ねっ!けーきたべたい!」


 ラズを見つめてキラキラした目でおねだりする。


 ケーキを出したのがラズだと思ってるんだね。


 ラズが男の子と目線を同じにする。


「ケーキを出したのは私じゃありませんよ。こちらのサチ様です」


 手先をスッと私に向ける。

 男の子が驚いた顔で私を見る。


「えっ!?このとんでるこが?」


「そうです。サチ様です」


「さちさま?えらいの?」


「そうです。尊い方です」


「おとうさんより?」


「そうです」


 え!そこで肯定するんだ!国王様も偉いと思うけどなぁ。まぁ、私は人というくくりに入らないだろうからどうだかなぁ。


「さちさま!」


 呼ばれた、呼ばれた。目線を合わせる。


「にゃに?」


「にゃ?」


 噛んだところを繰り返された!


「な!に?」


「けーきたべたい!」


 キラキラした子供の夢を壊さないであげよう。


「どんにゃ、どんな!の!がたべたい?」


 男の子が、ん〜と悩んでる。パッと顔が輝いた!


「あのね、しあわせになって、おいしいの!おかあさんがいってたよ!きのうはしあわせだって!」


 幸せになって美味しいのか。この子の年齢5歳くらい?いや6歳くらいかも?

 子供向けのケーキを出すか。


 いでよ!幸せのシロクマケーキ!


 バーン!と机の上に現れる。効果音はないけどね。気持ちね、気持ち。


 どうだー、かわいいだろー?


 ん?男の子の顔が不思議がってる。くまを見た事ないの?あ?あ!こっちだとくまって魔物じゃん!可愛くないじゃん!あー、失敗したー。

 幸せなケーキってどんなのだ?


 これでどうだ!

 ピンクのクリームのいちござんまいの三段ケーキ!


「きゃーーー!!」


 お!男の子が飛び跳ねてる!今度は成功したみたいだ!

 へへん!胸を張っちゃうぜ!あっ!?後ろに一回転しちゃった!びっくりしたー。飛んでてよかった。子供の頭って重いんだよもー。


 あ、ラズに抱っこされた。


「サチ様、危ない事はしてはいけませんよ。飛んでたからいいものの」


「ごめんにゃしゃーい」


 あ、さっきの男の子の悲鳴で王妃様も長男くんも来ちゃった。

 奥から国王様が顔を覗かせた。


「あ、おまえ達!サチ様に挨拶したのか?」


 王妃様が慌ててこちらに軽く礼してくれた。


「ようこそいらっしゃいました。今日もご一緒してもいいですか?」


「こんにちわ!」


 こう言われて駄目とは言えないよね?


「いいでしゅよ」


 もう1個、いちごの三段ケーキを用意した。ちょっと小さかったからね。5号だけど。

 いや、昨日の国王一家の食べっぷりが凄すぎて足りないかと。


 昨日と同じ席に座ったみんなが国王様を待っていると、お盆の上に木のコップを乗せて、お茶を人数分運んできてくれた。


 木のコップにケーキ。

 うん、ミスマッチだ。

 いや、これはこれでレトロで有りなのか?


 ラズが立ち上がりケーキをカットしていく。

 昨日の国王一家のことがあるからか、6の倍数でカットしてくれた。これで足りないなんてことは無いよね?


 まずは末っ子くんが期待している、いちごケーキ。

 カットしたら三段目が小さくなってしまったが食べきれそうだ。いちごを口に運ぶ。うん、おいしい。


 国王一家を見ると、ケーキを見て食べて、みんな顔が輝いている。うん、嬉しくなるね。


 国王様からしたら、昨日から家族の喜ぶ顔が見れてホクホクである。

 天空王国の楽しみは『食事・性欲・睡眠』くらいの田舎の村程度である。


 綺麗な布を沢山もらい、妻が大喜びで、子供達と美味しい美味しいケーキを腹一杯食べて、マジックバッグをもらい、その中にはお肉がたんまりと入っている。

 国王様史上、人生最高の日だったかもしれない。


 そしてまた美味しいケーキを家族でいただいている。


 幸せだ。


 ちなみに国王様の両親は城暮らしと仕事が嫌になって農家に転職して老後を過ごしている。マイペースでいいんじゃない?

 孫がかわいいから頻繁に城に来るけど。


 天空王国は元国王夫妻でも『働かざる者食うべからず』なのだ。


 さて、いちごのケーキとシロクマのケーキが美味しく頂かれた所で、王妃様と子供達は奥の部屋に戻って行った。

 その顔は幸せそうだった。


 昨日の話の続きをしなければいけない。


 国王様が座っている6人のうち2人を呼んだ。

 そして紹介してくれる。


「こちらのふたりは農業大臣と人民大臣の2人です。農作地と住民の管理をしてくれます」


 真面目に挨拶してくれるが、サチは戸惑う。

 『え?あの村人ルックの6人は大臣だったの?』と。ただの事務員のおっさん達に見えていたのだ。


 国王自ら入れてくれた、ちょっと渋いお茶を飲んで気持ちを落ち着かせる。


「農業大臣は空いていて果物を植えれる土地を探してくれました。家畜は今の土地を広げて畜産をしてくれている者たちが管理してくれる事に決まりました。

 人民大臣は果物畑の管理を結婚予定の若者を説得する事で人を確保出来ました。

 家畜も果物もいつでも管理可能です。

 サチ様、いつ頃から果物栽培や家畜の準備はできそうですか?」


 サチは迷わず答えた。


「くたもにょはしゅぐにでもうえりぇましゅ。きょうでもいいでしゅ。かちくはばしょをおしえてくだしゃい」


 国王と大臣2人は理解出来なかった模様。困惑顔だ。

 サチをこの世界で1人には出来ない。ラズの出番だ!


「果物は、案内していただければ今日にでも植えれます。家畜は場所を教えてください」


「何と!今日にでも!いや、早い方が嬉しいのですがいいのですかね?」


 国王が驚いた!


 サチ、頷く。


「いいんでしゅ。いまかりゃいきましゅ」


 サチ、やる気満々である。そしてさりげなく偉そうである。


 国王が真面目な顔で大臣2人に指示した。


「農業大臣と人民大臣はこれからサチ様について行き、土地を教えて果物の栽培方法を教えてもらってきなさい」


「はい、わかりました」

「今日予定の仕事はどうしますか?」


「遅れても構わないので、しっかりご案内と勉強をして来なさい」


「わかりました」


 話がついたようである。


 サチはお茶を飲み干して大臣達に挨拶した。


「よりょしくおにぇがいしましゅ」


 握手しようと手を伸ばしたら、抱っこしてのポーズになってしまった。


 天空王国側は焦った。

 国王様が立ち上がってサチを抱っこしてあやしてくれた。

 さすが2児の父親だ。子供の要望を聞く下地が出来ている。勘違いだが。


 そして、握手するつもりが、いきなり抱き上げられたサチは驚いた。

 だが、流れに身をまかせる。

 国王様、村長みたいな匂いがする、と。

 少し体臭が臭う中年男性だ。天空王国にお風呂は無い。身を清めてはいるが。


 国王はサチの扱いに困ったのでラズを見た。

 アイコンタクトである。

 

 ラズは即座にサチを受け取った。そして大臣達を促した。


 大臣達を先頭に部屋を出て、大臣がスナーに乗ったのでみんなで新セグウェイに乗り後ろをついていく。

 抱っこされてたサチは放流されたので翼を出して飛んでついていく。


 大臣達はスタイリッシュに大階段をスナーで飛んで降りた。物心ついたときから乗り回しているので身体の一部なのだ。

 教会組は焦る。置いていかれると思ったのだ。


 大臣がチラッと後ろを向いて、ついて来ていない教会組を待ってくれている。優しい。


 そんなわけで外にお出かけだ!


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