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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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天空王国の朝食

 ペシッ、パシッ、ぺちっ、プシッ、ぺちっ。


「む〜、しん、ちゅ、わかり、まちたかりゃ。おきまちゅかりゃ。や、めて」


 毎朝のシンジュアタックである。

 狙いはサチのぷにぷにほっぺだ!起きるまで攻撃は止まないぞ!


 ラズはベッドの足元で見ているが、幼児と小さいスライムの戯れは微笑ましいだけで見ていて飽きない。


「しん、じゅ、おきまちゅ。おきまちたかりゃ、やめて」


 サチは無意識にゴミの紙コップを収納から取り出した!

 シンジュが釣られてアタックが止んだ!


 ここでラズの出番である。


「サチ様、おはようございます。朝ですよ。起きてください」


 優しく上掛け布団をめくってサチの覚醒を促す。


 いつもの優しい声に安心してサチは少しだけ甘えてぐずるが、サチに素早く靴を履かせて抱っこする。


 サチはむんむんと唸るが、ラズがゆっくりと部屋を出て廊下を歩く。


 変わった空気にサチは次第に目を覚ます。うん、ラズの腕の中。とろりと幸せな目覚めを迎えた。


「サチ様、顔を洗いましょうね。立てますか?」


 うんと声に出さずに頷いて、顔を洗って目を覚ます。口もすすいで歯を磨く。下もスッキリしたらラズに「おはよう」。


「はい、サチ様、おはようございます。シンジュをしまってから外に出ましょうね」


「しんじゅはいつもはやおきでしゅ」


「サチ様の目覚めが早くて良い事です」


 またラズに抱っこされて部屋まで行く。これがお決まりのスキンシップなのだ。主従の仲は良いようだ。


 礼拝堂でなむなむとお祈りして、おうちから出ると聖騎士の3人は客室でくつろいでいた。


「おう、サチ様おはよう!」

「おはよう」

「おはようございます」


「おはようごじゃいましゅ」


 サチは、そういえばと思い立った。

 昨日は寝ぼけていたけれど食堂まで遠かった気がすると。

 スナーは手に入れれないけれど、似たような物は作れる。

 あれである、セグウェイを車仕様にしようと。


 サチはラズに床に下ろしてもらった。

 むんっと立って目を閉じてイメージする。

 でもセグウェイ、乗った事ないんだよね。

 

 そこで!サチ検索の出番である!

 セグウェイの乗り方!

 ハンドル操作が基本らしい。ハンドルについている電源スイッチを押して起動状態にして、足元に光っているランプが緑色の時に乗ると動き出すらしい。あとは、ハンドルを右に倒せば右に曲がり、左に倒せば左に曲がる。セグウェイは時速20km。まあ、このくらいのスピードでしょ。後ハンドルを手前に引けば停止する。力を抜いて立つのが基本らしい。


 これをサチが少しカスタマイズ。

 車と一緒で地面から少し浮くようにして、転倒防止の為に結界を張る。そして魔道具化する。壊れて転ぶと危ないから不壊にする。


 さぁ!これでサチセグウェイの完成だ!


 〈いでよ!サチセグウェイ!〉


 ババーン!と効果音が聞こえてきそうなイメージで創造した!サチだけには聞こえていたかもしれない。頭の中だけで。

 他の人にはいきなり知らない物が現れただけだ。


 また何か出てきたな、と。


 鼻たかだかなサチにカイザーが聞いてみる。


「サチ様、これ何だ?」


 さすがにサチでも『サチセグウェイ』と言うのは恥ずかしかったので「新セグウェイでしゅ!」と胸を張って答えた。


 乗ってみよう!と思い踏み出したが、ハンドルが遠い。


 サチ格好つけて痛恨のミス!

 いいんだ。どうせ赤ちゃんボディには運転できないんだから。私には天使の翼があるんだから。


 と、言うわけで

「かいじゃー!きみにきめた!」


「俺?」


 カイザーに乗ってみろと簡単な操作方法を教える。


 乗ってみたカイザーは広い客室で直進する。


 みんなが「おお!」と驚いたところで、いくら広くても客室。部屋の中である。カイザーが家具にぶつかりそうになったところで慌ててハンドルを勢いよく左に傾けると、その場で一回転!


 みんなが「おおー!」と感心した。


 カイザー、くるくるとその場で回り続ける。


 カイザーは1度降りて方向転換して、また練習に走らせて右、左とくねくねと走る。だんだん楽しくなってきたようだ。


 サチはあと3つ新セグウェイを作った。


 エレナが飛び乗る。

 カイザーとぶつからないように走らせていく。


 さすがに聖騎士だ。運動神経が良い。


 2人の後に、ラズとライデンも練習した。


 みんなが危なげなく運転出来たところで食堂に行くことにした。新セグウェイに乗って!

 サチはみんなの上を飛んでついていく。


 と、思ったが。


「食堂どこだよ!?忘れちまったよ!」


 先頭を走っていたカイザーが叫んだ。危うく迷子である。案内人女性は今日はいないのだ!


 ここでサチの頭の中の地図が役にたつ。


「わたちがしぇんどうしましゅ!」


 サチが先頭に躍り出た!踊ってないけどね。


 護衛対象が全然守られていない。

 サチは意気揚々と1番前を飛んでいく。いつも捕まえてくるラズは自分のことでいっぱいいっぱいだ。


 サチを先頭に新セグウェイの行列が走る!時速20kmで!結構目立っている。


 昨日より比べものにならないくらい早く食堂に着いた。

 スナー置き場に新セグウェイを置いていくラズ達。


 食事のマナーは昨日完璧に覚えた!自信も満々だ!


 各々お皿をスタイリッシュに手に取って料理を盛っていく。昨日の子うさぎのような人はいないのだ。


 食堂は今は混んでいないのでサチが注目を集めている以外には問題無い。

 6人がけのテーブルにお皿を置いて飲み物を取りに行く。


 しかし、ここで悩んだ!どの飲み物がどんな味か全然わからないのだ。7本のピッチャーを前に悩む。ここで5人が渋滞する。人の少ない時間帯で良かった。


 そしてカイザーは冒険する!きっとハズレはないだろうと。

 後続も続く。今から飲み物の冒険だ!


 コップとカトラリーを持って席に着く。一安心である。緊張してないようで緊張していた面々。1人忘れられている。


 サチである。


「りゃず、りゃず、わたちのごはん」


 あっ!忘れてた!とラズの顔が語っていた。


 ラズだけ立ち上がりサチの為の料理を取りに行く。

 そしてリクエストが多いサチは、全種類のおかずを少しずつお皿に盛り付けてもらう。欲張りサチである。

 ラズは感心して、次からは自分もこうしようと決意したのであった。だっていろんな味が楽しめて嬉しい。


 サチの飲み物とカトラリーを取ったら席に帰る。

 みんな食べるのを待ってくれてた。地味に嬉しい。


 そして肉の異常に少ない料理を食べる。

 味付けは非常に凝っている。料理人の腕がいいのだろう。


 朝からヘルシーなのはいいね!夜は肉を食べたいが。


 こうして『1人でお出かけ』ならぬ『1人でバイキング(仲間がいる)』が無事に成功で終わった。


 サチもお腹いっぱいで満足満足。


 ちなみに飲み物でハズレはなかった模様。


「サチ様、この後はどうされますか?」


 ラズがこの後の予定を聞いてくる。


 サチは予定を決めていた。


「こくおーしゃまにあいにいきましゅ!」


 そう言う事になった。


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