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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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みんなのお給料UP!

 家に帰る間中、ザイデンが暗かった。思ったより値段が高くついたからだろう。サチとしては割引してもいい気がするが、まだ知り合って日が浅いので躊躇する気持ちもある。でも悪い人じゃないしなぁ。



 リー家に着いた。夕食の時間をちょっと過ぎてしまった。外は暗くなっている。車のライトをつけて帰ってきたけども。暗い中を走ると危ないからね。


 ザイデンはライトを見て少し気分が回復したみたいだ。珍しい物を見ると気分が高揚するよね。


 家に入って食堂に行くとリー家のみんなが談笑して待ってくれていた。


「おお、ザイデン、使徒様、おかえりなさい。食事にしよう」


 リベンダーが言った後、食事が運ばれてきた。サチ達は席に座る。


 サンティがまだ帰って来ていないみたいだ。仕事が大変なのかな?


 お祈りして食事をする。今日は煮物か。ちょっとピリッとした辛さで美味しい。イカが欲しいね。イカの煮物。

 自分だけ食べるのは気が引けるので、みんなにも小鉢でイカの煮物を出す。みんながいきなり出てきた小鉢に「おお?」「え!?」と驚いた。ザイデンが意味ありげにサチを見る。


「これは使徒様の仕業ですな?」


「しょうでしゅ。おいしいでしゅよ」


 ラズ達は嬉々として食べる。サチの出す物は美味しいと決まっているからだ。


 それに比べるとリー家の面々は慎重である。何か分からない物が出て来たのだから。リベンダーが口を開く。


「これは何の食材ですか?」


「いかでしゅ」


「いかですか。初めて聞きますな。どんな食材ですか?」


「うみでおよいでいましゅ」


「海とは!魚ですか!?」


 魚じゃないけど、説明が面倒くさくなったサチはうんと頷いた。まって!間違いは正さないといけない!イカは軟体動物、頭足類(イカ綱)である。動物なのだ!


 やっとリー家の人々も手をつけ出した。


「おお!これは、甘辛くも味わい深い!初めて食べる味だ!」


「美味しいですね!」


「美味しいわね」


 みんなで和気あいあいと食べる。サチもパクリと食べたが、円形のイカはサチの口には大きかった。ほっぺにぺっとりと汁がついた。食べたかったイカの煮物を食べれてご満悦のサチである。


 リー家の食事も美味しかった。満足サチの出来上がりだ。パンはやっぱり硬かったが。柔らかいパンの製法を広めないといけないかもしれない。


 食後はリビングでみんなくつろいだ。護衛達もだ。神聖騎士のライデンは人気者で、女性達から質問攻めにあっていた。(サチ様、誰か助けて!)


 ザイデンがリベンダーにお願いをしている。


「お父様、私に出資してくれませんか?」


「おまえは資産が山ほどあるだろうに、どうしたんだい?」


「今日、サチ様に売ってもらおうと思っていたくるまと言う乗り物を鑑定してもらったのですが、1番高い物でミスリル貨600枚もします。マジックバッグですらミスリル貨120枚はします。とても私の資産だけでは買えません」


「何!そんなに高いのか!維持費はどうだ!?」


「不壊を付与されているので、維持費は魔石ぐらいでしょう。これは今買わなくては使徒様との繋がりが消えた後では悔しくてたまらなくなるでしょう。もし、お金に困ったとしても枢機卿あたりに売れば元は取れます」


「ふ〜む、いいだろう!いくら出資してほしいんだ?」


「いくらでもと言いたいところですが、明日使徒様に現物を見せてくれるようにお願いするので、一緒に商品を拝見しましょう」


「そうだな。それがいいな」


 ザイデンはくつろいでいるサチの元へ行った。


「使徒様、明日は家のロータリーで車を見せてくれますか?」


「いいでしゅよ」


「ありがとうございます!」


 サチに約束を取り付けたザイデンは、とりあえず明日が勝負だと意気込んだ。



 サチ達は部屋に帰ってからおうちの中に入り、お風呂に入った。


 ラズに身体と汚れた顔を洗ってもらって、温泉の湯に入ってからお気に入りの寝転び湯でだらーんとした。ラズも一緒だ。楽しめる人が一緒に居るって良い。


 それから岩盤浴に行って、寝そうになって起こされるまでがセットだ。岩盤浴気持ちいい。


 今日は久しぶりにアイザックの所に行って寝ることにした。


 ラズにおやすみを言ってから、アイザックに繋がるドアを開いた。


 寝室で気づいたアイザックは久しぶりにサチを見て驚いた。


「おお!サチ様!今日はこちらでおやすみになられますか?」


「あいじゃっくとにぇましゅ」


「それじゃあ、ベッドに行きましょうね」


 前のように敬うだけでなく、自然とサチを子供扱いしているアイザックだ。サチはアイザックとの自然なやりとりが好ましい。


 靴を脱がされてベッドに横になると、シンジュを森林空間から出した。アイザックに初めてのお目見えである。


「サチ様、スライムをテイムしたのですか?」


「ていむしましゅた。にゃまえはしんじゅでしゅ」


「シンジュですか。よろしくなシンジュ」


 アイザックはプルプルしているシンジュを触って挨拶をした。シンジュはアイザックから離れて、サチに食事の催促をした。サチが空のペットボトルを食べさせる。


「しんじゅ、あいしゃつをしゃれたら、あいしゃつしにゃいといけにゃいでしゅよ」


 サチは躾をした。シンジュは分かってるのか分かって無いのか、のびのびしてる。

 サチの手の中に収まるシンジュは何をしても可愛いだけである。


「可愛いけど気分屋ですな。さぁ、寝ましょう」


 アイザックも布団の中に入ってきて一緒に横になる。サチはぴとっとアイザックに引っ付いた。シンジュは部屋の探検をしている。


「可愛いサチ様、眠りましょう」


 サチを撫でてからアイザックは眠る体勢になった。サチも眠気に抗わずに眠る。シンジュだけが動いていた。





 翌日は最近恒例となったシンジュアタックで起きたサチ。アイザックはあまりの可愛いさに笑い出しそうになった。素直に面白いって言えばいいのに。


「サチ様、おはようございます。今日は普通に起きられましたな」


「おはようごじゃいまちゅ。しんじゅがわりゅいんでちゅ」


 アイザックは笑い出しそうになりながらも、サチに靴を履かせて抱っこした。シンジュが飛び乗ってきた。


「ラズが待っているから帰りましょう」


「あい」


 ドアを開けるとラズが待っていた。サチはラズに手渡される。


「おはようございます、サチ様。今日は寝起きがいいようで」


「おはようりゃず」


「それじゃあサチ様、またお会いしましょう」


「あいじゃっく、ばいばい」


 ドアを開けてソファに降ろされたサチはシンジュのごはんを森林空間に出してシンジュを入れた。シンジュはコロコロと転がって行った。森林空間を閉じる。


 サチは朝の準備をしてから、カウの乳を祭壇にお供えして祈った。ラズも祈る。すぅーっとカウの乳が消えた。神様もミルクを飲むんだなと感心した。


 サチはおうちから出て、みんなの前で宣言した。


「こんげつかりゃ、おきゅうりょうは、きんか2まいでしゅ!」


「おお!倍かよ!ありがとう!サチ様!」


「最近、サチ様儲かってるものね。おこぼれよ!」


「ありがとうございますサチ様」


「サチ様、ありがとうございます」


 みんなに感謝された。そうなのだ。サチは最近儲けすぎているので、みんなに還元するのである。1番身近な仲間に。これからもサチの収支によってお給料が上がる予定だ。


 今日は1日(ついたち)なので、みんなにお給料の金貨2枚を渡していく。

 みんな嬉しそうにおうちの部屋にしまいに行った。


 メイドさんが部屋に来たので、みんなで朝食を食べに行く。


 リー家のみんなに挨拶する。

 今日の朝食は丸パンのサンドイッチだ。口の小さなサチには大きいパンと硬いパンは難関なので、ナイフで薄く切って食べる事にする。


 スープが具沢山で美味しそうだ。サチはサービスでフルーツ入りのヨーグルトをみんなの前に出した。


 昨夜のイカの煮込みの件があるので、みんなの視線が集まった。ヨーグルトには身体に悪い物は入っていない、娘の離乳食の時に身体に良いヨーグルトと生のブルーベリーをミキサーにかけた物だ。横着だから自分の分もと沢山作ったんだ。


「よーぐりゅとでしゅ。おいしいでしゅよ」


「サチ様、よーぐるとですね?」


「そうでしゅ」


 やっぱり噛むサチだった。


「それではいただきましょうか」


「あら!美味しいわ!ほのかに甘いし」


「フルーツが入ってるのよ!」


「おいしい」


 みんな美味しく頂いてくれたようだ。サチも久しぶりのヨーグルトに口が勝手に開いてしまう。正直な口だ。次をよこせと口が開く。カトラリーはサチの意思通りに動く。赤ちゃんが離乳食を食べているみたいだ。幼児だが。



 朝食を終えたら、サチは厨房に案内してもらった。差し入れをする為だ。


 サチの来訪にシェフはかしこまって出迎えた。


「ぎがんでしゅにょ、にくをしゃしいりぇにきましゅた。にくはどこにおいたりゃ、いいでしゅか?」


「は?」


「ギガンデスと言う竜の肉を差し入れに来ました。何処に置けばいいですか?と申されています」


「竜!?あ、あ、こ、ここに置いてください」


 サチは肉の塊をドシンドシンと2つ出した。1塊の肉が大きすぎである。


「きょうにょりょうりに、つかってくだしゃい」


 これはシェフにも分かった。


「はい!使わせていただきます!」


「やしきにょひとたちも、たべてくだしゃいにぇ」


「ありがとうございます!」


 感動したシェフだった。使用人にまで気を使ってくださるとは。飛んでいるから、この方が通達にあった創造神の使徒様だろう。

 シェフは竜の肉と創造神の使徒様に出会って、一生分の運を使い果たした気がした。



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