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1歳児天使の異世界生活!  作者: 春爛漫
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サチ達エレイザー街の商業ギルドに行く

 サチ達はザイデンを助手席に乗せて車で出発した。


 ザイデンはそこまで着飾っていないので、サチ達一行と違和感は無い。よく見ると良い服を着ているのは分かるが。


 ザイデンは初めて乗る車に感動していた。座り心地の良い椅子に高級感溢れる車内。この感動を家族と店の従業員達と共有したくて仕方がない。目をキラキラさせて振動のない車を見ていた。

 その内、不思議な事に気がついた。車の中に音楽が流れているのも不思議だが、車内が冷えてきたのだ。商業ギルドへの道案内をしながら聞いてみた。


「ああ、車のエアコンですよ。空調設備とでも言いましょうか。暑い夏には冷風にして、寒い冬には暖かい空気を出すように自分で調節するのです」


 1番車に詳しいカイザーが答えた。今日もよそ行きの態度だ。ちょっと気持ち悪い。


 それを聞いたザイデンは雷に打たれたように感動した。この車と言う乗り物、絶対欲しい!暑い夏に倒れそうにならなくてもいいし、寒い冬に凍えなくてもいいだなんて!


 自分の持っている莫大な資産を思い出す。商業ギルドが鑑定して値付けをするのに高い値段を付けるのは分かっている。マジックバッグも欲しいし、車も欲しい。あわよくばバイクも欲しい。ザイデンの心は燃え上がっていた。


 そんなの知らないサチはストローマグで麦茶を飲んでいた。エアコンは喉が渇くのだ。

 ラズにもペットボトルのスポドリを渡す。最近は能力の使い方も結構覚えて快適に過ごせている。


「サチ様、私にもちょうだい!」

「サチ様、私にもください」


 エレナとカイザーにもペットボトルを渡す。カイザー、その口調やめんしゃい。いつまで猫を被るやら。



 内門を出て、少し走ると商業ギルドがあった。商業ギルドって、どこも便利な土地にあるなぁ。


 9時から開くから少し時間がある。並んでいる列の最後尾に乗りつける。車の中ならひんやり涼しい。


 運転席のライデンと助手席のザイデンにも飲み物を渡す。


 ライデンとザイデンには初めてのペットボトルだったので、ラズが開け方と閉め方を教えて渡すとザイデンが感動していた。ペットボトルは環境に悪いから返してね。


 みんなが水分補給をして少し経つとギルドの扉が開き、人と馬車を誘導する。

 私達は車から降りて行くことにした。全員外に出たら車を収納にしまう。ザイデンはそれすらもキラキラした目で見ていた。


 商業ギルドに入って受付に行く。


「おはようございます。ご用件をお伺いします」


 サチはギルド証を受付の兄ちゃんの前に飛ばした。兄ちゃんの手がビクッとしていた。


 ラズがサチの代わりに要件を言ってくれる。


「商品の鑑定と販売をしたいのですが」


「はい、承りました。少しお待ちください」


 受付の後ろでゴソゴソしてる。あ、兄ちゃんが来た。


「お待たせいたしました。2階の12番のお部屋でお待ちください」


「ありがとうございます」


 サチ達は2階に上がり12番の部屋の中に入り待つ。が、鑑定士が来るのが遅いだろうと、おうちを出してトイレ休憩をする。一時的にザイデンも入れるようにすれば、おうちに入った途端空間の広さに驚き、礼拝堂に驚き、サチがおまるでシーしてた時もトイレに驚いていた。


 おうちから出たら、ザイデンはサチにおうちを作って欲しいとお願いしてきた。鑑定士に鑑定してもらう事にする。


 サチはマジックバッグの時間停止、不壊、防汚をつけて、内容量が違うマジックバッグを10個作った。最高の内容量の広さは億ションビルが入るくらい。

 車には音楽が必要だろうと、クラッシックから民謡音楽まで取り揃えたCD(当然、不壊、状態保存)をこちらの言語に直して、魔道具化したCDプレーヤーも各種取り揃えた。(当然、不壊、防汚、状態保存)


 他にも何が必要かなー?と悩んでいる所でノックがしたので返事する。


 中年のおばちゃんとひょろりとした男性が入ってきた。


「お待たせいたしました。鑑定士のリリーと補佐のジャクソンです。鑑定するお品は机の上の物だけでよろしいでしょうか?」


「あのおうちと、しょとでくるまとばいくにょ、かんていもしてほしいでしゅ」


「あの家のような小さいおうちと、くるまとばいくとは何でしょうか?」


 サチじゃ通じないと思ったラズが口を出す。


「馬が引かなくても走る馬車みたいな乗り物です」


「そんな物があるんですね。胸がドキドキします。まずはここにある机の上の物から鑑定しますね」


 おばちゃんに胸がドキドキすると言われてもときめかない面々だった。


 正面のソファにおばちゃん鑑定士とひょろい男性が座って、バッグから見始めた。


「む!」


 おばちゃんが唸った。


「どうしましゅたか?」


「はは、何でもないのよ〜」


 サチを子供扱いした。当然である。


 おばちゃんは震えそうになる手を止めて、じっくりとマジックバッグを鑑定する。値段がついていない。それほどに高価だと言う事か、世に出るのが初めてなのか。おばちゃんは緊張の汗をかいた。


 おばちゃん鑑定士はひょろ補佐にぶつぶつと呟いてメモを取らせる。


 1つが終わったらグレードが上がるマジックバッグに高価な品を鑑定してきたと自負するおばちゃんも唸ってしまう。


 サチ達はよく唸る鑑定士だなーと思っていた。


 待っているのに飽きてきたサチはみんなに3段重ねのアイスクリームをご馳走していた。ライデンとザイデンは初めて食べるアイスクリーム3段重ねに翻弄された。もちろん美味しかったが。


 おばちゃん鑑定士は何とかマジックバッグの鑑定を終わらせた。次は初めて見る物だ。


「こちらはどうやって使うものでしょうか?」


 サチは飛んでおばちゃん鑑定士の耳にイヤホンをぶっ刺した。プレーヤーにCDを入れて再生を押す。


 おばちゃん鑑定士はサチが飛んだ驚きよりも、耳から聴こえてきた音楽にぶったまげる。どこにもオーケストラが居ないのに音楽が聴こえてくる。


 しばらく音楽を聴いていたが、1曲が終わっても次の曲が始まる。目の前のCDの山を見る。これは音楽を聴く魔道具だろう。1人では鑑定出来ない。補佐に空いている鑑定士を呼びに行かせた。


 おばちゃん鑑定士の判断は正しい。CD1枚で1時間は聴くのにかかる。サチが並べた20枚近いCDは鑑定士20人は必要だ。


 ひょろ補佐が呼びに行った鑑定士達が来た。おばちゃん鑑定士は足りないと思ったので、もう一度呼びに行かせた。


「これの取り扱いを鑑定士達に教えてください!」


 おばちゃん鑑定士は今音楽を聴いているから、声が大きくなってしまった。


 座る場所が無いからサチは折りたたみパイプ椅子を出して座らせてから、音楽プレーヤーにCDを入れて聴かせる。立っている鑑定士を座らせて、次々と同じ操作をする。


 目を閉じて音楽を聴く集団が出来上がった。


 一息ついたら、ひょろ補佐がまた人を連れてきた。さっきの人達と同じようにして音楽を聴かせた。


 サチ達は暇だった。机を出してみんなで人生ゲームをやるくらいには暇だった。皆で熱中する。


 かたや音楽を集団で聴き、かたや、人生ゲームをする不思議な空間が出来上がった。1番暇だったのはひょろ補佐かもしれない。




 鑑定士が音楽を聴き終わり、ひょろ補佐に鑑定結果を伝える。それを必死にメモるひょろ補佐。次から次にやってくる。

 鑑定結果を伝えた数人は、まだ聴かれていないCDの音楽を聴いていた。これで終わりだ。あと1時間はかかるが。



 お昼になった。一度休憩だ。音楽を聴いている者とひょろ補佐以外は休憩に行った。おばちゃん鑑定士と13時に再度の約束をして。



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