実家のお店で結婚祝い!
1時間ほど歩いて、ナタリーの実家に着いた。ナタリーは疲労している。お店に一時的にライデンとナタリーが座るお洒落な机と椅子を出させてもらう。
2人のまえにカルピーを置いた。某高校で作られている物だ。疲れが少し取れる。
2人はグラスの中のカルピーを一気飲みした。相当喉が渇いていたのだろう。
私はみんなにも飲み物を配った。
人心地ついたら、お店を冷やして扉を全開にする。今は10時前だ。外から様子を伺っていた人達がビクッとする。
「おみしぇをかいてんしましゅよー!」
「入っていいんですか!?」
「きょうはおいわいだかりゃ、めにゅーはえりゃべにゃいし、ひとりだいどうかしゃん、さ!んまいにぇ。おしゃけ、おさ!けはのみほうだい!」
「え!本当ですか!」
「家族を呼んでこないと!」
「使徒様と食事だぞ!」
「使徒様の護衛の結婚祝いだってよ!」
「酒が飲み放題だって!」
「お嫁さん綺麗ねー」
「あら、神聖騎士の旦那も格好いいわ!」
教会の列に並んでいる人がついて来たのかな?
店の中に細長い机と、その上に樽酒を出す。柄杓とグラスを沢山用意する。その横に美味しい水とオレンジジュースを出して置く。飲み物飲み放題だ。
まずは、新郎新婦に神◯ビーフのA5ランクのレア肉とパンにスープを用意する。
「めしあがりぇ」
「サチ様!ありがとうございます!」
「サチ様、いただきます」
お祈りしてから2人が美味しそうに食べ出す。んー!美味しそうな顔がいいね!外から良く見える場所だからお客さんが見てる。並んでる?
「はいっていいでしゅよ!」
並んでたお客さんがどっと入って来て席がいっぱいになってしまった。ラズ達と家族には家の中で食べてもらおう。
「みんにゃ!しゅきに!にょ、の!み!も!の!をの!ん!で!く!だ!さ!い!お!か!わ!り!も!じ!ゆ!う!で!す!よ!」
サチは声を張り上げて頑張った。はぁはぁ言っている。客達が自由に飲み物を持って行く。
まずはナタリーの家族とラズ達のごはんだ。家の中に入ってライデンとナタリーと同じ食事と、2人にはまだ出してない1人用の豪華なウェディングケーキを机の上にどんどん出していく。
「みんにゃはここでたべてくだしゃいね」
「サチ様は?」
「わたちはりゃいでんたちといっしょにいましゅ」
「分かりました」
店に戻ったサチはライデンとナタリーにウェディングケーキを出した。ナタリーから歓声が上がる。
「すごーい!綺麗!」
どうだ!豪華だろー!美味しそうだろー!
それから、店の隅からお金を貰って、ライデン達に出したステーキセットとウェディングケーキを人数分お客さんに出していく。
食べた人達から驚きの声が聞こえる。店の中は美味しい匂いでいっぱいだ。カウンターの中にサチが座る椅子も用意する。サチはふーっと一服してストローマグを首から下げる。今日は結婚だからストローマグは下げてなかったのだ。麦茶をいつものように飲む。
お客さんが飲み物を取りに来るついでにサチをチラッチラッと見て行く。いいのだ。今日はお祝いだから。ひらひらと手を振る。小さく歓声が上がる。
いいねぇ、みんな幸せそう。
お客さんが出て行ったら、並んでいるお客さんを入れて、汚れた机と食器を綺麗にして、お金を貰って料理を出す。それを繰り返す。
途中でナタリーがトイレに行きたいと言ったので、お風呂場の脱衣所でドレスを脱いでトイレに入った。
ナタリーの家族やラズ達が店番に駆けつけてくれたが、そう人はいらないから、お客さんが出て行ったら列のお客さんを入れてもらう為にお兄さんだけ手伝ってもらった。
サチ式接客は早いのだ。だって料理は決まっているから。ライデンとナタリーにはフレッシュミックスジュースをお洒落なグラスに入れてお届け。
途中でナタリーの化粧直しをする。ライデンが興味深そうに見ていた。ライデンもしやA型男子か?それとも好きな子の秘密を知りたいとか?化粧は女の子の秘密だよ。でもお化粧する男がいたから、興味はあるのかもね。
みんなライデンとナタリーを見て「綺麗ねぇ、カッコイイね」と通り過ぎていく。子供なんかはウェディングドレスを触りに来た子もいた。ふわふわに見えるよね。
ちょっと外に出て列を確認に行ったら、凄い事になっていた。途中でぶったぎらないと。
カイザーをちょいちょいと呼んで『満員御礼!ここで終わり』と書いた看板を持って列に並んでもらった。カイザーの仕事。
樽酒が空になったので、新しいお酒を置く。同じお酒じゃ面白くないもんね。オレンジジュースもたす。お水は結構残ってる。
お昼だから、そんなにベロンベロンに酔うお客さんはいない。ケーキもあるしね。ケーキを食べながらお酒を飲む人はいないと思う。
でも、人の喜ぶ顔って良いなぁ。
夫婦。夫婦かぁ。羨ましい。私も、もう一回恋愛したいなぁ。赤ちゃん、じゃない、幼児の私がこんな事考えてるなんて、みんな笑うだろうな。足をぷらぷらさせる。
お、お客さんのお帰りだ。ぺこっと礼をされたので、手を振ってお見送りする。神聖教国、良い人が多いなぁ。
「サチ!面白い事はない!?シャーロ退屈なの!」
シャーロが来たので、私は人生ゲーム貴族版を渡した。
「こりぇであしょんできてくだしゃい」
「貰っていくわ!」
シャーロは来るのも唐突なら帰るのも速い。
新しいお客さんが入ってきた。食事をお届けしないと。
結局、営業が終わったのは15時頃だった。親父店主が鍵を掛けてくれる。
10時頃に昼食を食べたから小腹が空く頃だ。なんか食べよう。たこ焼きだな。今猛烈に◯たこのたこ焼きが食べたくなった。マヨネーズはかける派。
みんなの前にたこ焼きと冷たい麦茶を置く。みんなお店に出て来た。ライデンとナタリーの格好も見納めだよ。結婚をたこ焼きで〆るって笑い事だけど。
ライデンが立ち上がる。
「この度は私共の結婚の儀式を祝っていただきありがとうございました。夫婦となった私達は協力して生きていきたいと思います!これからもよろしくお願いします!サチ様!いろいろありがとうございました!」
「いいよー。おしあわしぇにね」
「はい!」
みんなたこ焼きを食べる。フォークでたこ焼きも面白い。一口でまるまる一個食べたいけど、私の口には大きくて入らない。あ、タコが2個入ってる。美味しい。たまにたこ焼き。幸せ。
ラズとシャーロとにこにこ食べる。この船の器の形を考えた人天才だよね。丸いたこ焼きが転がっていかない。
美味しい軽食も食べ終わって、みんなで服を着替えてお風呂に入る。ナタリーは家族と入るらしいから、化粧落としと洗顔料を渡して使い方を教える。よく洗うように言った。
私はおうちを出して久しぶりにラズとお風呂に入る。みんな着替えを部屋に取りに行った。私はソファに座って待つ。結婚ていいなぁ。シャーロも年頃の娘さんだよね。里でいい人いないのかな?
机の上に魔道具化したフォトプリンターとデジカメを置く。プリントしようとしたところでみんなが来た。
ラズ達と男湯に入る。そういや、ライデンの新しい服を注文に行ってない。いつ行こうかな?
安心丁寧なラズの手で服を脱がされて洗い場まで行く。
久しぶりのラズの手。気持ちいい〜。この痒い所に手が届く感じ、やっぱりいい。もう私ラズ無しじゃいられないわ〜。
「サチ様、機嫌が良いですね」
「りゃずにありゃってもりゃってりゅかりゃでしゅ」
「嬉しいですね」
ラズの手が優しくあわあわの頭を撫でた。パパーー!って言いたくなる。ラズパパ最高です!ぜひお子さんが出来たら抱っこさせてください!あ、無理だわ私、潰される。
いつ中央都市から出ようかなー?もう結構いる感じがする。目的の教皇様に会うはクリアしたし、いつでも瞬間移動で来れる。
ライデンが来て護衛が3人になったから1人ずつお休みを取らせてもいいかもしれない。
「サチ様、洗い終わりましたよ」
考え事してたらラズの手を堪能するのを忘れてしまった。うかつな私。湯船に飛んでいく。
湯に浸かって翼でぷかぷか浮く。ライデンは明日結婚休暇だな。お祝いお祝い。
お、ライデンとカイザーが来た。
「りゃいでん!あしたはけっこんきゅうかでしゅ」
「結婚休暇ですか?お休みです?」
「しょうでしゅ!」
「おーおー、よかったじゃねぇか。ナタリーとゆっくりしろよ!」
「はい!」
素直な好青年だ。まぶちい。あ、心まで赤ちゃん言葉になってしまった。いけないいけない。中身中年だっちゅーの。
「かいじゃー、しんしぇいきしはかえりましたか?」
「おー、返しましたよ。何時になるか分からないから、自分達で帰るって言っておきました」
「ありがとうごじゃいましゅ」
「サチ様もライデンも今日は疲れたろ?」
「だいじょうぶでしゅよ」
「はい、心地いい疲れです。お客さんにも色んな人に祝福してもらいました。人生最高の日です」
お?お湯に浸かってるからか、ライデンが素直だぞ。いや、いつも素直だけど、お堅いのか。今は気持ちが緩んでるな。によによ。
ラズが入ってきた。
「ラズ、ライデンは明日休みだとよ!」
「それはいいです。結婚の翌日くらいはゆっくりするものです」
ラズがお湯で顔を洗いながら言った。そうだよねー。
ラズとまったり色んな湯に浸かって、緊張がほぐれた。私、緊張してたんだなぁ。部下の結婚式になるのか。お風呂から出たらライデンにご祝儀渡さないと。
岩盤浴で寝そうな所をラズに起こされた。いつも寝ちゃう。
お風呂から上がって、髪まで乾かしてもらったら、ライデンにご祝儀をあげた。
「りゃいでん、けっこんいわいでしゅ。てをだしてくだしゃい」
「?」
ライデンが手を出したので大金貨1枚を手の上に乗せた。ライデンがびっくりして落としそうになっていた。
「さ、サチ様!こんな大金困ります!」
「こまりましぇん。かていをもつとはおかにぇがかかりゅにょでしゅ。ためておいてくだしゃい。みりゃいにょかじょくにょために」
「サチ様……ありがとうございます!」
サチ語を少しずつマスターしているライデンだった。
お風呂場から出たら、まだ、女性達はいなかった。
カウの乳を出して男達と飲む。
「机のこれはサチ様か?」
「そうでしゅ!きょうにょしゃしんをとりました!」
声を張るとちょっと普通に話せる。カイザーがプリンターをつついている。
サチはカウの乳を一気飲みして、プリンターにデジカメのデータを移す。すると選択画面が出て来たので選択してプリントする。
綺麗な写真が2枚出て来た。それをシンプルな写真立てに入れてライデンに渡す。
ライデンは写真を見て少し顔を赤らめた。ナタリーと仲良く2人笑顔で写っている。
もう1枚は可愛い写真立てに入れる。ナタリー用だ。サチは他にもプリントしていく。サチはアルバムを作ってその中に写真を収めていく。
「へー、不思議なもんだなぁ。あ、俺も居る!」
カイザーが自分を見つけて笑った。みんな写したんだよ。
シャーロとエレナも出て来た。カウの乳をコップに入れてあげる。
「何盛り上がってたのよー。あら!これ凄い綺麗!絵?」
「わ!綺麗だわ!」
「しゃしんていうんだよ」
「しゃしんね。凄い綺麗ね。いいなードレス」
あれ、今カイザーがピクッとしたような?気のせいかな?
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