ナタリーの家(店)にお風呂を作る
店内に戻ると神聖騎士が立っていた。
「使徒様!皆、散髪が終わりました!外におります!」
「ありがとうごじゃいましゅ」
ラズとライデンと外に出る。
ナタリー一家が輝いて見えた。みんな垢抜けたようだ。サチの選んだ髪型は正しかった。というか、思ったより美容師の腕が良い。
ナタリーが近づいてきた。
「サチ様、これをお返しします」
6個のシザーだった。収納に入れる。
「しゃて、てんいでかえりましゅよ」
「お供します」
すかさずラズが言う。
一家に近づいてナタリーの実家に帰るようにイメージする。転移!
店内に着いた。
「あとかりゃ、またきましゅ」
サチの発言を残して消えた。夜の営業は出来そうだ。ナタリー以外。
サチとラズは散髪屋の前に戻ってきた。馬車に乗り込む。
「かえりましゅ!」
サチの掛け声で馬車が動き出す。それにしても、散髪代は高かった。美容師の腕はいいが。次から散髪は中央都市にくるのがいいか、1番初めにシザーを売った店がいいか迷う所である。あっちのカットも悪くなかった。その時の気分で変えようかな?いや、神聖騎士のライデンがいるからここの店の方がいいかな?
その頃、親父店主を散髪した美容師に散髪屋の店主がネックレスの存在を教えてもらって、また号泣していた。宝石の裏にはサチの翼の模様が書いてあった。
宮殿に帰ったサチ達は白の部屋に帰った。
おうちを出して中に入る。そこからナタリーの部屋に全員で行く。ナタリーのプライベートな空間は守られない。
ドアを全員が通れるようにする。
ドアを潜るとナタリーが1人で待っていた。全員で来た私達に驚いている。
「どうしたんですか!?こんなに大勢で!」
来てもサチとエレナだと思っていた。
「おふりょをつくりにきました!」
ババーン!とサチが言う。ナタリーは驚いた!そんなスペース家にはない!
「無理です!」
「だいじょうぶでしゅ!」
「大丈夫ですよ。サチ様は空間拡張が出来るので」
ラズが優しく教えた。とりあえずナタリーはホッとした。
サチは我が物顔で飛んで店まで行く。
従業員の通り道、壁、ここがいい。以前のお家のお風呂を思い出す。ここにスーパー銭湯を作る気はないんだ。ナタリー達家族とお客さんが入れればいい。備品の持ち出しは禁止。タオルはOK。
いでよ!お風呂!温泉は美肌の湯で!
壁に『ゆ』が男女出てきた。まずは女湯に入る。ナタリーの家族は女4人。タオル8枚あればいいかな。後は身体を洗うゴシゴシタオル。
脱衣所に貴重品入れを作る。これはナタリーにも説明する。鍵は腕につけるタイプだよ。
露天風呂に出て、石鹸の木を植える。風情がちょっと失われたけどヨシ!ナタリーに説明する。ナタリーの目が輝いた。
お客さんで子供がいるかもしれないから、子供の湯船を作る。
次は男湯。家族は男3人。タオル6枚とゴシゴシタオル。
貴重品入れを作る。
子供の湯船を作って、露天風呂に石鹸の木を植える。
よしよし。ナタリーに家族を呼んでもらう。
全員が集まった。
「おふりょをつくりましゅた!かじょくではいってもいいし、おきゃくしゃんをよびこんでもいいでしゅ!まじゅは、はいってくだしゃい!」
お客さんを呼び込むで親父店主とお兄さんの顔が変わった。ふっふっふっ。これはお客さんを食事処に増やすチャンスでもあるんですよ!ライデンがせっかくお嫁さんを貰ったのに、実家が潰れたら嫌だからね!
男達はラズ達に任せて、女湯はエレナとナタリーの出番です!私も入るけど。みんなで服を脱ぐ。私は脱がせてもらう。エレナにゴシゴシタオルを渡す。
まずは私が見本である。みんなに裸で眺められる幼児は私です。
まるっと洗い終わったら美肌の湯に浸かる。ヨーロレイホー♪なんか歌ってみたくなっただけ。1番風呂!1番風呂!いつも入ってるけど。
奥さんとお嫁さんと妹ちゃんが苦戦してるね。想像どおり。洗い終わったエレナとナタリーが手伝っている。みんな髪の毛ながいもんなー。今日揃えてすいてもらったけど。
お風呂で身体を動かしてたら、みんな洗い終わったみたいで、湯船に入ってきた。その顔は満足そうだ。ふむ、綺麗になった。
エレナが湯の中でジタバタしてる私を捕まえた。エレナの横にぴたりと引っ付く。分かってるよ。期待してるのは特殊な温泉だって。
浴槽の壁を蹴ってスイミングもどきをする。あまり進まない。エレナにまたキャッチされた。
みんなの肌がつやつやしたら、露天風呂にエレナの抱っこで連れていかれる。どことは言わんが柔らかい。
ナタリー家族は露天風呂に歓声を上げた。計算された自然の中の湯だ。珍しかろう。
「サチ様は何で浮いてるんですか?」
「沈むからでしょう?」
「翼って浮くんですね」
「多分サチ様だけね」
みんな、何かうずうずしてる。!分かったぞ!翼が触りたいんだな!エレナの側から離れてナタリー家族の方へ行く。
「しゃわっていいよ」
「え?」
通じなかった。
「サチ様は触っていいよと言っている。翼を触りたいんだろ?」
「え!いいんですか!?」
「いいよ」
みんな恐る恐る触ってくる。あははっ、くすぐったい。きゃっきゃと笑うと手を引っ込めたが、また触ってくる。どうだ!触り心地が良かろう!自慢の翼だ!
女性達に囲まれる女湯もいいものだ。おっさんくさい発想だった。
みんなゆだってきたら上がる。女性達が肌が綺麗になったと喜んでいる。
ここにも『飲料水を出す魔道具』を置いておこう。看板もつける。「ご自由にお飲みください」これでいいだろう。
エレナにわしゃわしゃと身体を拭かれて服を着せてもらう。
ナタリーが家族にドライヤーの使い方を教えている。まだ、恐る恐るだが私の髪を乾かしてくれた。ありがとう。
私は飛んで男湯に行く。こちらも、もう出るところだった。
「サチ様、どうしたんですか?」
「まどうぐをおきにきましゅた」
机を用意して『飲料水を出す魔道具』を置いて「ご自由にお飲みください」と看板を立てる。よしよし。
飛んで男湯から出ようとしたらラズにキャッチされた。ラズの抱っこの安心感よ。
店内とカウンターの近くだから店内でみんな座る。カウの乳をコップに入れて、みんなに配る。重いから能力でね。
ナタリーの家族が乳と私を見比べている。うちの男どもはもう飲んでいる。ナタリーの家族も恐る恐る飲んだら、顔が綻んだ。ふむ、美味しいものを飲むと人の顔はゆるむのだ。
女性達も来たのでカウの乳を入れた。ナタリーが自慢げに「これ美味しいの!」と言っている。
美味しいで飲まない奴はいない。みんな飲む。風呂上がりはこうでなくちゃね。
ミッションは終えたので、みんなでおうちに帰る。
ライデンとナタリーが「また夜に会おう」と約束していた。けっ!幸せな奴等め!何故かラブラブなカップルを見ると妬んでしまうこの心が憎い。引き合わせたの自分なのに。エレナとカイザーもこれくらいラブラブすればなぁ。それはそれで嫌かもしれない。
ラズは運命の相手に会っても、こうならないと信じているからね!私をほったらかしにしたら泣いちゃうからね!
妹ちゃんとナタリーの部屋のドアから帰った。お邪魔しました。
ー親父店主とお兄さんの会話ー
「お父さん、使徒様、凄いお風呂を作ってくれたね」
「そうだな。身体がスッキリした」
「お客さん入れてもいいみたいなこと言ってたね」
「常連さんにお風呂を使うか確認しよう」
「使用料どうする?」
「銅貨3枚くらいでいいだろう。あまり高いと頻繁に来てくれなくなる」
「それもそうだね」
もう、営業の事を考えていた。お店は安泰だ。
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